【川崎市麻生区】柿生中考古学研究部 古墳研究の足跡たどる 郷土史料館で企画展
生徒が横穴古墳を発見したことがきっかけとなり、1977年から13年間、柿生中学校(麻生区)で活動していた考古学研究部。同部の研究を紹介する企画展が、同校内にある柿生郷土史料館で開催されている。
同部の前身は、授業時間に行われていたクラブ活動の一つ「社会研究クラブ」。クラブ員は当時、連合文化祭で「古墳時代の柿生」をテーマにしたスライドを発表したほか、柿生地区の古墳分布図の作成などに取り組んでいた。スライドを見た1年生のメンバーが、通学路だった麻生台団地の造成工事現場に横穴古墳によく似た穴があることに気づき、クラブで報告。放課後に全員で確かめにいき、教員を通じて川崎市教育委員会文化財課に通報した。生徒らはその後も調査を続け、あわせて3基の古墳を発見。現場に脚立を持参して望遠レンズで撮影し、古墳内に「明和二年(1765年)と読める文字も確認した。同課の調査の結果、鉄刀や土器片なども出土し、横穴古墳であることが判明。麻生台団地横穴古墳群の発見に貢献した。
調査に立ち会った生徒らの士気は高まり、「もっと古墳があるのではないか」と地域住民への聞き取りを開始。78年2月には亀井、花島、早野、王禅寺口、仲村、真福寺で横穴古墳を発見し、同年4月にクラブを「考古学研究部」に改めた。市教委の本格調査に協力したほか、81年には市の報告書作成のため柿生の横穴古墳の実測図作成を依頼され、測り方や作図の方法を学び、週末や長期休みを利用して1年ほどかけて調査した。
写真や実測図も
今回の企画展は、当時の顧問や卒業生から活動記録の寄贈を受けて実現した。同部が82年度までの6年間をかけて行った横穴古墳の研究を紹介している。同部の活動内容のほか、生徒たちが発見した古墳の当時の写真、住民らへの聞き取りを書きとったノートのコピーなどを展示している。柿生の横穴古墳群の実測原本も貼りだされ、生徒たちの手による緻密な記録を鑑賞することができる。また、81年の連合文化祭に出品され、市教委の調査報告書のベースとなった「古墳時代の柿生〜柿生の横穴古墳群の特色」も展示中。同館の企画を担当する小林基男さんは「教員の指導があったとはいえ、かつての中学生がこれだけの調査をまとめあげ、考古学界に貢献した事実を知ってほしい。素晴らしい成果を見てもらえたら」と話している。
企画展は11月9日(日)まで、同館(麻生区上麻生6の40の1/柿生中学校内)で開催。開館日は原則週1回、奇数月の日曜日と偶数月の土曜日で、9月は7日、14日、21日、28日に開館。時間は午前10時から午後3時まで。問い合わせは同館【電話】070・1503・6401。