犬が急に高い鳴き声をあげる理由4つ 心や体に異常がある可能性も?対処法までご紹介
犬が急に高い鳴き声をあげる理由4つ
犬が高い鳴き声をあげる理由には、犬の本能や感情、体調が関係していることが多いため、まずはその背景を知ることが大切です。以下に、主な理由をいくつか挙げて解説します。
1.急な痛みやケガ
犬が突然高い鳴き声をあげる場合、最も多い原因の一つが「痛み」です。
例えば、散歩中に足の裏にトゲが刺さったり、体の一部をどこかにぶつけたりすると、驚きとともに高い声を出すことがあります。また、関節や筋肉にトラブルが起きた場合でも同様です。
✔家の中で飼い主が誤って足を踏んでしまった
✔遊んでいるときに物にぶつかってしまった
✔急に抱き上げたときに体のどこかが痛んだ
このような状況では、一瞬の鳴き声で済む場合もありますが、痛みが続くようであれば注意が必要です。
2.不安や恐怖
犬は予期せぬ出来事に遭遇すると、不安や恐怖の感情が高まり、高い鳴き声をあげることがあります。
特に雷や花火などの大きな音、突然の環境の変化(引っ越しや家具の移動など)が原因となりやすいです。
✔突然の雷の音に驚く
✔初めて見る大きな物(掃除機など)に怯える
✔家族が急に大きな声を出したり、物音を立てた
こうした場合、犬はその場を離れようとしたり、震えたりすることもあります。犬が怖がっている様子が見られる場合は、安心感を与えることが大切です。
3.注意を引きたい
犬は賢い生き物で、飼い主の気を引きたいときに、わざと高い鳴き声をあげることがあります。遊びたい、おやつが欲しい、散歩に行きたいといった要求が通らないとき、このような行動をとることがあります。
✔ごはんの時間が近づいていて、早く食べたくて鳴く
✔飼い主がスマホやテレビに夢中になっているときに、注目を引くために鳴く
✔ボール遊びの途中でやめてしまったときに、もっと続けてほしいと鳴く
このような「注意を引くための鳴き声」は、特に子犬の時期に多い傾向がありますが、成犬になっても見られることがあります。
4.高齢化による認知症の可能性
犬も人間と同じように、年齢を重ねるにつれて認知症を発症することがあります。その結果、混乱したり、不安を感じたりして高い鳴き声をあげることがあります。特に夜間に突然鳴き出す場合は、認知症が原因である可能性があります。
✔夜中に急に鳴き出し、落ち着かなくなる
✔部屋の中で迷子のように歩き回る
✔飼い主がそばにいても、理由もなく鳴き続ける
高齢犬の認知症は、飼い主が戸惑うことも多いですが、適切なケアや生活環境の工夫で改善できる場合もあります。
犬が高い鳴き声をあげた際の対処法
犬が急に高い鳴き声をあげると、飼い主としてどう対応すべきか迷うこともあるでしょう。適切な対処法を知っておくことで、犬の不安や痛みを和らげ、状況を悪化させずに済むことがあります。
ここでは、鳴き声の原因に応じた具体的な対処法をご紹介します。
原因を確認し、場合によって応急処置を行う
鳴き声の原因がケガや体の不調の場合、状況に応じて応急処置が必要なことがあります。
ケガをして出血がある場合は、出血している箇所を確認し、清潔なガーゼや布で圧迫して止血します。ただし、血が止まらない場合や深い傷の場合は、すぐに動物病院に相談してください。
足を引きずっている場合は足を無理に動かさず、歩かせないようにしてください。症状が続く場合は病院で診察を受けましょう。
足の裏にトゲが刺さっているなどの異物が原因であれば、慎重に取り除きましょう。ピンセットを使用する際は犬が動かないように注意してください。取り除けない場合は、獣医師に任せるのが安全です。
吐き気や下痢、震えなどが伴う場合は、すぐに動物病院に相談してください。これらの症状は内臓疾患や中毒などの可能性があり、早急な対応が求められることがあります。
すぐに犬を落ち着かせる方法
犬が驚いたり不安を感じている場合、まずは落ち着かせることが大切です。犬は飼い主の言動や雰囲気に敏感なため、飼い主が慌ててしまうと犬の不安がさらに強まる可能性があります。
過度にならない程度に「大丈夫だよ」「安心して」といった優しいトーンの声で話しかけてください。大きな声を出すのは逆効果です。犬が触られることを嫌がらない場合は、優しくなでてあげましょう。触ることで安心感を与えることができます。
また、犬が怖がっている場合は、静かで安全な場所(例:犬用のケージやお気に入りの寝床)に移動させ、落ち着ける環境を整えます。
動物病院に行くべきタイミング
犬が鳴き声をあげた原因が明確でない場合や、適切な対処法が分からない場合は、迷わず動物病院に相談することをおすすめします。
✔鳴き声が止まらない場合や、頻繁に繰り返される場合
✔怪我が深刻である、または内出血の可能性がある場合
✔呼吸が荒い、ぐったりしている、体温が高い(または低い)場合
受診時には、鳴き声をあげた状況や時間(例:「何かを踏んだ後に急に鳴いた」「夜中に突然鳴き始めた」など)や鳴き声以外の症状(震え、吐き気、食欲不振など)、その日に与えた食べ物や、犬が口にした可能性のある物などの情報があると、獣医師がスムーズに診断を進めることができます。
夜間の鳴き声に対処する方法(高齢犬の場合)
もし高齢犬が夜間に鳴き声をあげる場合、認知症が原因の可能性もあります。この場合、犬の不安を和らげるケアが重要です。
散歩や食事の時間を一定にし、安心感を与える習慣を作ることが大切です。また、認知症ケア用のサプリメントやフードが効果がある場合もあります。獣医師に相談してみましょう。
まとめ
犬が急に高い鳴き声をあげるのには、さまざまな理由があります。痛みや怪我、不安や恐怖、高齢による認知症など、その背景は多岐にわたります。
この記事を参考に、犬の行動を正しく理解し、適切な対応を心がけてください。
(獣医師監修:葛野宗)