【福岡カフェ巡り】もうすぐ20年目を迎える西新の正統派カフェ
さまざまなスタイルのカフェが続々とオープンし、新たなカフェブームの兆しを感じる福岡。新鋭店も気になりますが、今回は長く愛されているカフェを訪れてみました。
2006年8月に西新・中西商店街に誕生した「NORYNO(ノリーノ)」は、カフェやレストランで腕を磨いた川﨑規弘さんと長く飲食業に携わってきた妻・睦美さんご夫妻が営むカフェ。開店当時、私は西新で仕事をすることが多かったので、合間に休憩したり、取材におじゃますることもあった思い出のお店でもあります。
西新・中西商店街にオープンした当初はカフェ営業に加え、夜はお酒と食事を楽しむスタイルでしたが、お子さんの誕生や2021年に祖原へ移転したことを機に、カフェ中心の営業にシフトチェンジ。2019年には早良区飯倉に姉妹店の焼菓子と喫茶のお店「vingtsix(ヴァンシス)」をオープンし、どちらも多くの人が集う人気店となっています。
静かな住宅街の一角にある「NORYNO」は店内の雰囲気もゆったり。以前は事務所として使われていた場所を改装した空間には、主に警固の「krank」で揃えた家具や古いオブジェなどが配され、アンティークならではの味わい深さを感じられます。アンティーク好きの川﨑さんは近ごろ古い壺が気になるそうで、店内にもいくつか飾られていました。
大きなカウンターには、クッキーやスコーンなど「vingtsix」の焼菓子が並んでいます。飯倉のお店に行く時間がない時も西新で購入できるのがうれしいですね。ショーケースには人気のロールケーキや季節のタルトなどケーキ類が充実しています。
ランチ(1,980円)は月ごとに内容が替わり、2025年6月は「自家製サルシッチャとズッキーニのキッシュ」(パン、サラダ、デリ、ドリンク付き)。旬の食材を活かしながら、その時期に食べたくなるようなメニューを毎月考案しているそうです。
さまざまな料理のなかでも生地から手作りするキッシュはオープン当初から人気の一品。今月のキッシュは自家製サルシッチャとズッキーニがたっぷり入り、おいしさも満足度も抜群です。そしてラタトゥイユなどのデリ、新鮮なサラダ、ヴィシソワーズなど、プレートに盛られた料理の一つ一つも丁寧に作られていることがわかる味わい。野菜は糸島に買いに行くなど地元のものが中心で、睦美さんの実家で無農薬栽培したものを使うこともあるそうです。セットドリンクは店内で購入もできる「キャンベルズ・パーフェクト・ティー」の茶葉を使ったアイスティーを選びました。
「NORYNO」のデザートといえば季節のクレープが定番ですが、「vingtsix」で提供しているクラシカルなプリンにフルーツやアイスクリームを添えた「プリンアラモード」(1,600円、ドリンク付き)も見逃せません。とろりと濃厚なカラメルソースをまとい、卵の風味をしっかり感じる固めのプリンはまさに理想の味わい。終了時期は決まっていませんが限定メニューなので、気になる方は早めにどうぞ。筑紫野市「珈琲Chiba」によるオリジナルブレンドのアイスコーヒーもデザートのおいしさを引き立ててくれます。
コーヒーだけ、デザートだけというカフェが増えているなか、食事と甘いものの両方を楽しめる正統派のカフェは貴重な存在ですね。西新には「NORYNO」があるという安心感と共に20年を迎え、その先もずっと続いて欲しいカフェです。
NORYNO
福岡市早良区祖原11-10
092-404-1600