【浜松市美術館の「7人のミューズ展 ~日本の切り絵~」】迫りくるオウムガイ
静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、浜松市中央区の浜松市美術館で9月15日まで開催中の企画展「7人のミューズ展 ~日本の切り絵~」。国内の女性切り絵作家7人が代表作を競う。
緻密なドローイングを基にした福井利佐さん(静岡市出身)の人物、動物が秀逸。双璧の印象を残したのが、切り剣 Masayoさんのモノクロームの作品群だ。シャープペン、カッター、マット、ライト、紙しか使っていないのにクラゲ、オウムガイ、深海魚などが「そこにいる」ように迫りくる。動物の表面は米先住民族の意匠のような描かれ方をしていて、決してリアリズム一辺倒ではない。二律背反の両立に、作家の高い技量を感じた。(は)