日本さかな専門学校でワーム製作実習と魚や自然科学について講義。金型を使った本格的な実習に生徒も興味津々
神奈川県三浦市にある「日本さかな専門学校」は2023年4月に開校した日本初の「さかな」に関することを総合的に学ぶ専門学校。神奈川県の三浦半島先端に位置していて、校舎の2階は目の前に城ケ島と広大な相模灘が一望できる。
校舎の1階部分はたくさんの水槽が並び、魚の飼育や観察、実験を行うための広いスペースが設けられている。2階部分には明るい教室と職員室、そして調理、解剖、制作、実験などを行う部屋が並んでいる。
建物の1階部分は大型水槽が並び学生が熱心に日々飼育している魚を観察している。この1階部分は職員や学生の命を守るための配慮がされていて、万一の津波が起きたとき、外壁が外れ津波を逃がす構造となっている。
「釣りと魚の科学」の講義とワーム製作のワークショップ
10月7―8日は昨年に続いて「釣りと魚の科学」というタイトルでの講義と、ワークショップで金型を用いたソフトルアー製作実習を行った。講義は初日が午前と午後、2日目は午前ということで合計3回、合計9時間となった。
今回対象となったのは1年生の学生さん3クラスだった。昨年に続き山田博和先生と村﨑謙太先生、また新たに緒方悠輝也先生の3名がそれぞれの講義と実習に分担して立ち会って頂いた。
開学2年目となる職員室と教室が並ぶ2階は、きれいに管理されているが、調理室や実験室、各教室の至る所に熱心な学生の姿があった。教室の隅には使用する教材が並んでいて、新1年生の入学により昨年の倍以上の学生数となり、更に活気が強まっていると感じた。
私が訪問させて頂いたこの時期は、釣りに関する学習カリキュラムが組まれていて、フライタイイング、スプーンのプレートなど、釣り好きなら誰もが見入ってしまうツールがそこかしこに見られた。
昨年も紹介させて頂いたが、こちらの理念は魚に関する飼育、調理、漁業、観光レジャーなど魚に関する知識と実技を幅広く学ぶ場を提供し、人と魚がよりよいカタチで共生していくことを目指している。
そのため、釣り具メーカー、有名釣り師、漁業関係者、流通関係者、魚の専門家といった方々が講師として授業を行うだけでなく、関係機関に訪問して見学や実体験を行うといった中身の濃い授業が毎日実施されている。
3時間の中で講義は約90分、ソフトルアー製作実習も90分という配分で行ったが、やはり本物の金型を使って製作することは全員が初めてということで生徒たちは大変に強い興味を持ってくれ、大きな盛り上がりを見せた。
魚だけでなく環境問題についての講義も実施
今回の講義でも日本釣振興会で取り組んでいる淡水魚減少対策プロジェクトで作成したネオニコチノイド系農薬について新たに作成した「沈黙の水辺」も放映した。これについてのアンケート調査の結果では8名の学生が既に知っていたと答えていた。
今回のアンケートには新たに希望の職種について返答していただき、一番多かったのは水族館関係で、釣り具業界は2番目に多く、次いで魚の料理関係、漁師、環境関連と続いた。
釣り関係企業を志望する学生が増えることも期待
担当の先生によれば、1年生は色々な授業を積み重ねるごとに進路志望が幅広くなっていて、幅広い知識と実習による知識の蓄積が進路の選択肢を広げているようだとお話ししてくれた。今実施されている釣りに関するカリキュラムにより、釣り関係に志望される学生さんが増えることも期待できそうだ。
2日間で3回に渡り実施した講義と実習はあっという間に時間が経過したが、質疑など製作実習の合間や休憩時間にも設けさせて頂いたが、雑談を交えた中にも将来についての質問も多く、学生の皆様の意識の高さが感じられた。
山田先生をはじめとした、担当の先生方も、再来年には一期生が卒業となりいよいよ社会に巣立っていくが、卒業生がこれから歴史を創っていくことが出来るよう、日々心を砕いておられる様子が随所から伝わってくる。
僭越ながら業界関係の皆様にも即戦力として大いに期待できる、お魚に関係する幅広い知識と実習を学んだ生徒の皆様を近い将来受け入れて頂くことを念願している。
【提供:長岡寛・編集:釣具新聞】
関連記事 → 今年4月開校、話題の「日本さかな専門学校」で特別授業。「釣りと魚の科学」テーマに講義、ワーム製作実習も | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト