ラーメンハウス 〜 こだわりの個性派ラーメン4種が人気!長年地元で愛されている老舗ラーメン店
ラーメンを食べようと思ったら、どんな味のラーメンを思い浮かべますか?
福山だったら醤油ラーメンや豚骨ラーメンの店が多いので、醤油や豚骨を想像するかもしれません。
しかし福山市内には、醤油も豚骨もなく、独自のラーメンで人気の老舗ラーメン店があるのです。
それが千田町(せんだちょう)にある「ラーメンハウス」。
カレーラーメンや味噌ラーメンなど、福山では少数派のラーメンをラインナップしており、40年以上のあいだ地元で人気なのです。
長く福山で愛されているラーメンハウスの、こだわりや魅力について紹介していきましょう。
ラーメンハウスは昭和57年創業の老舗ラーメン店
ラーメンハウスは福山市千田町、国道313号線沿いにあります。
昭和57年(1982年)に創業し、夫婦で営んでいる老舗のラーメン店です。
店内はカウンターのみですが、幹線道路沿いで近くに高校もあり、地元のお客さんがたくさん訪れます。
しかも男女問わず、幅広い世代のお客さんに人気なのです。
ラーメンハウスの特徴は、メニューが個性的なこと。
尾道ラーメン系などの醤油ラーメン、さらに豚骨ラーメン系が多い福山市にあって、ラーメンハウスは醤油ラーメンも豚骨ラーメンもありません。
次の章では、そんなラーメンハウスのメニュー構成を紹介します。
ラーメンハウスのメニュー
価格は消費税込。2023年(令和5年)12月時点の情報
さきほど紹介したように、ラーメンハウスでは福山で多い醤油・豚骨系のラーメンはありません。
ラーメンは、以下の4種類です。
・味噌ラーメン(950円)
・塩ラーメン(950円)
・カレーラーメン(950円)
・冷やしラーメン(1100円)
意表を突くメニュー構成ではないでしょうか。
さらに、いずれもラーメンハウス独特の個性が生かされたラーメンなのです。
また、ラーメンのトッピングも豊富にラインナップしています。
ラーメンのほかには「やきめし」(並 950円、小 500円)や「焼きギョーザ」(480円)などのサイドメニュー、ラーメンとおかずのセットもそろっています。
お店イチオシの人気サイドメニューが「チャーシューオード」(800円)。
チャーシューとタップリのモヤシを炒めた料理です。
やきめしは、ごはんと玉子を絡めた”やきめし用ごはん”から炒めていくのがポイント。
しかも、米は自家栽培のコシヒカリです。
また焼きギョーザは、名古屋の人気ギョウザ店「隆祥房(りゅうしょうぼう)」の皮を使用しているのがこだわり。
なおメニューは、一部をのぞいて持ち帰りできます。
ただし容器代が必要です。
ラーメンハウスのおすすめ
ラーメンハウスの4種類のラーメンを紹介していきましょう。
4種のうち、味噌・カレー・塩には、具材として炒めた野菜が入るのが特徴です。
これによって香ばしさや野菜のやさしい甘味などがスープに加わり、たまらない味わいとなります。
入る野菜は、キャベツ・モヤシ・ニンジン・タマネギ。
また麺は、すべて極細のストレートです。
「味噌ラーメン」は一番人気の看板メニュー
「味噌ラーメン」は、長年ラーメンハウスの一番人気となっている看板メニューです。
運ばれてくると、炒められた野菜の香ばしい匂いがしてきて、すでに食べる前からおいしく感じます。
スープを飲むと、味噌特有のまろやかでコクのある甘味とほどよい塩味が口の中に広がります。
そして、野菜の甘味と香ばしさも加わってきました。
野菜はシンナリとしながら、適度にシャキシャキとした食感も残っていて、アクセントになります。
味噌ラーメンで極細ストレート麺は、めずらしいと思います。
チャーシューは厚めで赤身がメインです。
焦げ茶色をしていて、シッカリと甘めの味が染みていました。
肉のうまみも感じられて、とてもおいしいチャーシューです。
ラーメンハウスの味噌ラーメンは、ほかの味噌ラーメンと違ったクセになる味わい。
食べたあとも、野菜の甘味や香ばしさの余韻(よいん)が楽しめます。
「カレーラーメン」は根強いファンが多いメニュー
ラーメンハウスでは「カレーラーメン」も人気で、ファンが多いです。
ラーメンとカレーという二大人気食が融合した、魅惑のメニューではないでしょうか。
年配のかたに人気なのは、カレーが一般化し、カレーが人気メニューになり始めた世代だからかもしれません。
運ばれてくるとカレーの食欲をそそる良い香りがしてきて、たまりません。
深いダシの風味に、スパイシーで甘味のあるカレーの味わいで、ドンドンとスープを飲み進めてしまいます。
海苔の風味との相性も抜群です。
ピリ辛さはあまり感じないので、辛いのが苦手でも楽しめると思います。
カレーラーメンのスープと野菜の相性もバッチリで、たまりません。
味噌ラーメンと同じ極細ストレート麺も、スープと合います。
ラーメンハウスのカレーラーメンは、ファンが多いのも納得の味わいです。
福山あたりでカレーラーメンを置いている店が少なく、個性が光るメニューだと思います。
「塩ラーメン」は岩塩を使ったこだわりメニュー
味噌・カレーのほかに「塩ラーメン」もあります。
塩ラーメンも固定ファンが多いメニューです。
塩のスープといえば白っぽかったり透明感があったりする印象ですが、ラーメンハウスの塩ラーメンは薄ベージュ色をしています。
スープを飲むと、炒めた野菜のタマネギやキャベツなどのやさしい甘味と、なんともいえない香ばしい風味が口の中いっぱいに広がりました。
そしてスッキリとした塩味とともに、野菜のシャキシャキとした食感がやってきます。
チャーシューに染みた甘めの濃い味付けは、塩スープとの相性がいいと思います。
塩ラーメンはアッサリとした薄味のイメージがありましたが、ラーメンハウスの塩ラーメンはひと味違いました。
シッカリとしたうま味と野菜の味わい・香ばしさがありながら濃すぎない味が絶妙だと思います。
「冷やしラーメン」はほかでは味わえない独自のもの
ラーメンハウスのラーメンのなかで、一番独特なのが「冷やしラーメン」。
しかも一般的な冷やしラーメンとは異なる、ラーメンハウスオリジナルのラーメンです。
麺はほかと同じ極細ストレート麺。
チャーシューも同じものですが、短冊状にカットされています。
上には千切りキャベツやカイワレなどの野菜が山盛りで、その上には刻み海苔が載り、まるでサラダのよう。
スープは、ほかのラーメンとベースが同じですが、白っぽい色をしていてまったく違った味わいです。
個性的で、クセになるおいしさのラーメンハウスのラーメン。
店主の三代地啓治(みよち けいじ)さんにインタビューをしました。
ラーメンハウスの店主・三代地 啓治さんにインタビュー
個性的で、クセになるおいしさのラーメンハウスのラーメン。
店主の三代地啓治(みよち けいじ)さんに開業の経緯やラーメンのこだわり、店の運営で大切にしていることなどの話を聞きました。
インタビューは2021年7月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
大分県での修業を経て、地元福山で昭和57年に開業
──開業の経緯を知りたい。
三代地(敬称略)──
大分県の大学に通っていて、卒業後に大分のラーメン店に就職しました。
けっこう規模が大きくて、人気のお店でしたね。
そのラーメン店の創業者の起業家精神や人生訓などに感銘を受けまして、それまで考えていたラーメン店のイメージが変わったんです。
それでラーメン店もいいなと思ったのが、ラーメンの世界に入ったキッカケですね。
大分のラーメン店で修業を積んだあと、地元の福山に帰郷して開いたのがラーメンハウスです。
開業したのは、昭和57年(1982年)6月14日。
途中で店舗のリニューアルをしましたが、同じ場所でずっと営業しています。
メニューのブラッシュアップを続けた結果、今のラインナップに
──ラーメンハウスのラーメンのラインナップは、福山のラーメン店のなかではユニークな印象がある。
三代地──
実は、創業時はもっとメニューのラインナップはたくさんありました。
でも今もメインとしているラーメンも、そのラインナップのなかにあったんですよ。
創業時は豚骨スープのラーメンがメインでした。
それを中心にいろいろな種類があったんです。
ほとんどが、修業先の大分のラーメン店で学んだメニューでした。
ちなみにその当時、福山で豚骨系のラーメン店は当店のほかは、もう1店くらいしかなかったですね。
その後、徐々にラインナップを見直していき、現在の4種類になったんです。
4種類になったのは、2000年代前半くらいだったと思います。
前は焼肉ラーメンとか焼そばとか、カレー味の中華丼なんかもありましたね。
それぞれの味に具材のバリエーションがあったりしたんですが、それは今はトッピングするという形でできますよ。
──味噌・カレー・塩ラーメンは炒めた野菜が入るのが印象的だが、これはいつから始めた?
三代地──
炒めた野菜が入るのは、ちゃんぽんをヒントにしています。
当店はちゃんぽんもメニューにありました。
そして味噌・カレー・塩ラーメンのバリエーションとして、それぞれ味噌ちゃんぽん・カレーちゃんぽん・塩ちゃんぽんがあったんです。
でも通常のラーメンよりちゃんぽんのほうが人気があるし、野菜の甘味や香ばしさも加わっておいしいので、ちゃんぽんを通常のラーメンとして出したほうがいいのではないかと思いました。
それで味噌ちゃんぽん・カレーちゃんぽん・塩ちゃんぽんを、味噌ラーメン・カレーラーメン・塩ラーメンとしたんです。
ちなみにちゃんぽんも当店にあったんですが、ラーメンの麺で提供する「ちゃんめん」というのもありましたよ。
──店頭にカレーラーメンの看板があるが、売りはやはりカレーラーメン?
三代地──
実は、当店の長年の一番人気は味噌ラーメンなんです。
2000年代前半に店舗をリニューアルした際、知人と話をしているときにアドバイスをいただきました。
カレーラーメンはほかに競合が少ないので、写真入りの看板を掲げてみたらいいんじゃないかと。
そのかたが当店のカレーラーメンのファンでもあったのもありますが(笑)。
看板を見て入店しカレーラーメンを食べられるかたも多いですし、口コミで噂が広がってカレーラーメンを食べられるかたもいます。
看板には「これが噂のカレーラーメン」と書いてあるんですが、実際は逆で、看板を掲げたあとにカレーラーメンの噂が広がりました。
これは作戦が成功しましたね!
「ラーメンハウスでなければ食べられない」と思っていただけるように研鑽を続ける
──ラーメンのこだわりやポイントを教えてほしい
三代地──
4つのラーメンのスープは、ベースはいっしょです。
現在の当店のラーメンスープは、私は「肉系」と呼んでいます。
というのも、ダシのメインに牛テールを使っているんですよ。
だいたい、4キログラムくらい使いますね。
当初は、さきほど話したように豚骨をメインに使っていました。
あるとき家の食事で、妻がとてもおいしいスープをつくったんです。
妻に聞いてみたら、牛テールでダシを取ったと。
だったら、試しにラーメンにも使ってみようと思いつき、やってみたらとてもおいしかったんです。
それで本格的に牛テールをダシに使ったスープをつくり、完成させました。
牛テールをメインにしだしたのは、2000年代半ばごろだったと思います。
福山はラーメン店が多いので、味の研鑽(けんさん)は欠かせません。
味のマイナーチェンジはたびたびおこなっていますよ。
やっぱり「ラーメンハウスでなければ食べられない」と思っていただけるようにしていくことが大切だと思っています。
──麺には、こだわりはある?
三代地──
麺は、北海道産「春よ恋」という小麦粉を100パーセント使っています。
春よ恋は、なかなか手に入りにくい小麦粉です。
あるとき製麺業者から紹介され、使うことにしました。
それを当店用に製麺してもらっています。
やっぱり小麦粉は国産がいいし、なかでも北海道産がいいですね。
小麦の香りが全然違うんです。
春よ恋は、2010年代前半くらいから取り入れました。
──ラーメンハウスの麺は極細麺だが、理由は?
三代地──
これは、完全に私たち夫婦の好みですね(笑)。
ラーメンをはじめ、うどんも・そば・スパゲッティーなど、麺類全般において細麺が好きなんです。
大切なのは安心・安全な食材を使うことと店の清潔さを保つこと
──店の運営で気をつけていることがあれば、知りたい。
三代地──
やはり、安心安全な食材を使うようにしています。
水は、創業時から電気分解された還元水をずっと使用しているんです。
野菜は国産のものを使います。
だから、国内でも時季によって産地が移ろいますよ。
同じ食材でも、時季や産地によって特徴が異なりおもしろいです。
チャーシューの豚肉は、国産の「もち豚」を使います。
昔は、どんな安い食材でもおいしく調理できることがプロの料理人でした。
今は違います。
お客様が安心・安全だと思える食材を使って料理を提供するのが、プロの料理人だと思います。
あとは整理・整頓をきちんとおこない、清潔さを保つことに気を配っていますね。
飲食店である以上、衛生面は気をつけなければいけません。
ですからこれからも安心安全な食材にこだわり、衛生面に気をつけながら、味の研鑽をしていくのが今後の展望ですね。
長いあいだ地元で愛されているラーメンハウス
とにかくラーメンハウスのカレー・味噌・塩ラーメンは、炒められた野菜の甘味や香ばしさがクセになります。
食べたあとの野菜の香ばしさの余韻も心地よいです。
また冷やしラーメンもほかにない個性的なもので、インパクトがあります。
ぜひラーメンハウスで長年地元から愛されている、ほかにないラーメンを堪能してみてください。