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震災、コロナ乗り越え13回目「全国虎舞フェスティバル」 後継者育成へ初の体験会も

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 第13回全国虎舞フェスティバル(釜石観光物産協会、釜石市主催)は25日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。市内外の11団体が出演。伝統の演舞で観客を楽しませた。2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で中止や延期、無観客での映像配信と足踏み状態が続いたが、今年ようやく通常開催に戻った。少子高齢化が進み、各団体の後継者不足が顕著になってくる中、担い手育成への第一歩にと初めて虎舞体験会も開かれた。

 同フェスは1992年の「三陸・海の博覧会」釜石会場(平田埋立地)で初開催後、2010年から年次事業として定着。東日本大震災があった11年も開催し、復興の歩みとともに回を重ねてきた。今回は市内の9団体のほか、大槌町、宮城県気仙沼市から各1団体が出演。地域で受け継がれる伝統の舞を一堂に披露し、楽しみに足を運んだ約1100人の観客を魅了した。

 釜石市内には沿岸、内陸部合わせ14の虎舞伝承団体があり、5団体(片岸、両石、錦町、尾崎町、鵜住居)が市の無形民俗文化財に指定されている。幼児施設や小学校、高校の活動にも虎舞が取り入れられていて市民に身近な芸能。今回のステージには幼児から高齢者まで幅広い年代のメンバーが集った。

釜石市の無形民俗文化財に指定されている「尾崎町虎舞」(尾崎青友会)


釜石市内で唯一、白虎を使っている「只越虎舞」


 箱崎町白浜地区の「白浜虎舞」は総勢約20人で参加した。兄弟演舞を見せたのは阿部結耀君(9)と榮耀君(7)。2人とも物心つく前から虎舞に親しむ。虎頭を振った榮耀君は「ちょっとだけ立ちっぱなしになったところがあるので50点ぐらいかな」と自己評価。お囃子の太鼓もこなす結耀君は「これからもっと練習し、かっこ良く踊れるようになりたい」と意気込んだ。

 兄弟の父阿部駿さん(30)は昨年、白浜虎舞好友会の会長に就任。「地元の祭り以外に踊りを披露できる場があるのはありがたい。“全国”の冠がつくと発信力も高まる」と同フェス開催を歓迎する。継承の課題は他団体と同様、担い手不足。今は地元出身でも他地区に暮らすメンバーが多い。「人数はいても踊れる人が少ないのが現状。伝統を引き継いでいくには子どもたちの参加が欠かせない。小さいころから経験を積ませ、将来につなげていきたい」と望む。

白浜虎舞は1980年ごろ、鵜住居虎舞の指導を受けて発足。踊りでは子どもたちも躍動(右下)


 気仙沼市から参加した平磯芸能保存会(熊谷茂会長)は打囃と虎舞を伝承し、地域の祭りやイベント、商店の開店祝いなどで踊りを披露している。釜石の同フェス出演は震災後の2016年(会場:シープラザ遊)以来。今回は幼児から60代の30人が来釜した。大人数のお囃子は子どもたちが担当。虎は客席も回り、観客を喜ばせた。

 同会の芳賀孝司さん(54)は「虎舞の本場・釜石で一緒に出演できることをみんな楽しみにしてきた。子どもたちもいい刺激を受けている」と感謝。コロナ禍のここ数年は他地域に出向いての演舞の機会も減っていただけに貴重な機会を喜ぶ。過去に岩手方面から踊りを習い覚えた経緯もあり、「これからも虎舞を通じたつながりを大事にしていきたい」と交流の継続を願った。

宮城県気仙沼市から招かれた「平磯虎舞」(平磯芸能保存会)。2016年以来の釜石での演舞


太鼓のお囃子は子どもたちが中心。元気な掛け声とともに…


観客は各団体の素晴らしい演舞に惜しみない拍手を送った


 この日は終演後、初めての試みとなる虎舞体験会も開かれた。人口減や少子化で、伝承団体の地域内だけでは担い手確保が難しくなってきている現状を踏まえ、広く体験してもらうことで興味、関心喚起につながればと企画。釜石虎舞保存連合会(岩間久一会長)のメンバーらが希望者に虎頭や幕の操り方、太鼓のたたき方などを教えた。

釜石虎舞保存連合会の岩間久一会長が踊り方などを教えた


 同市の鈴木仁丸君(5)は「踊るの、楽しかった。虎舞大好き。もっとやりたい」と目を輝かせた。母紗都子さん(45)によると、昨年の釜石まつりで初めて虎舞を見て大はまり。ユーチューブ動画で繰り返し見るほどお気に入りだという。同フェスにも初めて足を運んだ。複数の団体の競演に「それぞれにお囃子や踊り方が違うのを初めて知った。お囃子を聞くと心が躍る。すごくすてき」と紗都子さん。仁丸君が喜ぶ姿に笑顔を広げ、「本人が望んだら、ぜひやらせてあげたい」と親心をのぞかせた。

メンバーの手ほどきを受け太鼓をたたいてみる子ども


伝承団体の子どもメンバーも体験会をお手伝い。仲間が増えることを願って…

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