村上和成ボイコットなど大会前からハプニング続出! 11/5『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.31』新宿FACE大会の見どころはここだ!
初代タイガーマスク佐山サトル率いるストロングスタイルプロレス(SSPW)が11月5日(火)、『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.31【THE ONE AND ONLY SAYAMA TIGER】』を新宿FACE(東京都)で開催する。
この大会は、12月5日(木)に行われる後楽園ホール大会を前に、急きょ組まれたスペシャルイベント。SSPWではレジェンド王座が間下隼人から村上和成の手に渡り、女子戦線では、タイガー・クイーンを育てたSSPW女子タッグ王者のジャガー横田が「一選手に専念したい」と相談役を退任した。
今後の動向が注目されるなか、年末の大一番につながる意味でも見逃せない大会となりそうだ。11月14日に生誕100年を迎える日本プロレス界の始祖・力道山のトリビュートセレモニーも行われる今大会の見どころを探ってみたい。
■『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.31【THE ONE AND ONLY SAYAMA TIGER】』
日時:11月5日(火)試合開始18:30
場所:新宿FACE(東京都)
※「力道山先生・生誕100年記念セレモニー」も実施
■対戦カード
▼タッグマッチ30分1本勝負
ジャガー横田(SSPW女子タッグ王者/CRYSIS/ワールド女子プロレス・ディアナ)&Sareee(フリー)
vs
タイガー・クイーン(SSPW)&薮下めぐみ(SSPW女子タッグ王者/CRYSIS/フリー)
今大会の開催が発表された10月15日の会見で事件は起こった。SSPWの相談役としても活動していたジャガー横田が突然席を立ち退任を一方的に表明、会見場から立ち去ってしまったのだ。
これは“過激な仕掛人”新間寿会長の凶器使用についてのコメントに端を発してのものだったが、それ以前からジャガーは自身がマッチメークを担当することに難色を示し始めていたという。その話をあらかじめ聞いていた平井代表はジャガーの意志を尊重し、今後は一選手として試合出場のオファーをしていくと苦渋の決断。これにより、今大会はジャガーが女子の試合をマッチメークする最後の大会ということにもなる。
その試合は、ジャガー&Sareee組vsタイガー・クイーン&薮下めぐみ組となった。ジャガーの考えが顕著に表れたカードと言っていいだろう。というのも、ジャガーはSSPW女子タッグ王者チームの薮下と組むのが当然だ。が、ジャガーはあくまでも選手としての立場に固執し、薮下とはあえて闘うことを選んだ。
ここには、後楽園大会とは異なるスペシャルイベントという意識もあったのかもしれない。だからこそ、通常では見られないチームを組んだとも考えられる。タイトルマッチは後楽園で、ということなのではなかろうか。
そして、もうひとりの相手は自身が佐山サトルとともに育て上げたタイガー・クイーンだ。クイーンとはかねてから闘う意思を見せており、SSPW女子タッグ王座決定トーナメントでは、決勝戦でジャガーがクイーンを破っている。この闘いもこれからが本番と考えてのことだろう。
そして今回、ジャガーが組むのはもうひとりの弟子であるSareeeだ。現在、ジャガーはヒールユニットCRYSISを率いている。そもそもCRYSISとはディアナ時代のSareeeらの成長を促すため、若手と敵対する方向性を示したヒール軍なのだ。そのSareeeが女子プロ界の中心人物のひとりとなったいまだからこそ、隣に立って成長を体感したいとの思いもあるのではないか。
ジャガーと組むSareeeからすれば、クイーンとの一騎打ちをこんどこそ実現させたいとの思いが大きい。両者は昨年10月のアズーリプロレス祭りで初遭遇(このときもSareeeのパートナーはジャガーだった)。以後、SSPWの3・21後楽園、6・20後楽園でタッグ対戦。決着の機運が高まったのだが、9・26後楽園にクイーンの姿はなかった。ジャガー横田の相談役退任のきっかけにもなってしまった、新間会長の反応も気になる試合である。
▼タッグマッチ30分1本勝負
村上和成(第18代レジェンド王者/フリー)&ダーク・ウルフ(DarkerZ)
vs
スーパー・タイガー(SSPW)&関本大介(大日本プロレス)
“平成のテロリスト”が華麗に復活、令和のストロングスタイルを乗っ取ってみせた。6・20後楽園で村上和成が間下隼人を破り、レジェンド王座を初戴冠。タイトルには無縁だった男が、ついにベルトを巻くときが来たのである。しかも村上は、「初代タイガーマスク佐山サトルの一番弟子である」と豪語。これにSSPWのスーパー・タイガーが黙っているわけがなく、今大会でタッグながらも試合が組まれることになったのだ。
しかし、王者・村上は不服として対戦カード発表会見を直前でボイコット。会見場には姿を見せたものの、カードを知って怒りが爆発し、姿を消してしまったのである。それでも「佐山先生の一番弟子を名乗るなら団体の発表カードに従ってほしい」とする平井丈雅代表の説得に折れ、11・5新宿にはなんとか出場の運びとなった。とはいえ、カード自体に納得したわけではないと思われるだけに、テロリストのさらなるテロ行為も懸念される。
村上自身は今大会でのタイトルマッチ、あるいはシングルを希望していたと思われるだけに、このカードの先の何かを画策しているのではなかろうか。だからこそ、スーパーとしては団体のエースの名に懸けても、そして佐山総監の一番弟子という自負にかけても、なんとしても村上を振り向かせることが求められる。
村上のパートナーはDarkerZのダーク・ウルフで、スーパーは元レジェンド王者の関本大介とタッグを組む。関本と村上の遭遇にも危険な香りがあり、関本とウルフのド迫力のぶつかり合いも興味深い。そのなかで村上がどんな行動をとり、スーパーが何を仕掛けるのか。12・5後楽園に向けて、何かが起こる?
▼シングルマッチ30分1本勝負
船木誠勝(フリー)
vs
間下隼人(SSPW)
少し前までなら間下隼人のチャレンジマッチになりかねなかった船木誠勝との一騎打ちが、まったく異なる意味合いで実現する。間下は、23年2・22後楽園ホールにおいて真霜拳號を破りSSPWの至宝を団体に取り戻すとともに、入門から17年目で悲願の初戴冠を成し遂げた。その後3度の防衛を重ねるも、“平成のテロリスト”村上和成に敗れ、1年4ヵ月に及ぶ政権にピリオドを打たれてしまった。
9・26後楽園では、新日本プロレス永田裕志との初対戦で新日本のストロングスタイルを体感した間下。だからこそ、元王者であこがれの存在でもあった船木との一戦は重要な意味を持つ闘いになるだろう。「今後のSSPWの舵を取るような試合になってくると思う」と間下は言う。もはやチャレンジマッチではなく、現王者・村上を意識した闘いでもあるということだ。対する船木も、「自分自身が挑戦する試合だと思っています」と、ベルトを巻き、多くを経験してきた間下の成長を警戒している。緊張感あふれるリングとなることは間違いないだろう。
▼シングルマッチ30分1本勝負
雪妃真矢(フリー)
vs
ChiChi(Evolution)
※ダーク・ウナギ選手が怪我の為欠場、対戦カードが変更となった。
全日本プロレスの諏訪魔と全日本からフリー転向の石川修司が、女子レスラーを育成するEvolution(エヴォ女)。男子レスラーの王道スタイルを注入された女子レスラーということで、エヴォ女所属の選手は各団体から引っ張りだことなっている。SSPWでも9・26後楽園にZONES(ゾネス)が初参戦、Sareeeとのシングルマッチで高評価を獲得した。
そして今回、エヴォ女ツートップのもうひとりであるChiChi(チーチー)が初めてストロングスタイルのリングに上がる。エヴォ女のツートップといっても、ChiChiとZONESはあまりにも対照的だ。ZONESが硬派な肉体派なら、ChiChiは「闘うバービー人形」の異名を持つ。個性豊かなルックスはZONESと同様だが、ファイトスタイルはZONESとは正反対。一度見たら忘れられないインパクトがあることは間違いない。センダイガールズプロレスリングが主宰する、キャリア3年未満の大会「じゃじゃ馬トーナメント」での優勝も、ChiChiの追い風になりそうだ。
そんなChiChiが対するのは、“クリスタルスノー”雪妃真矢。ストロングスタイルでの評判が非常に高いレスラーである。ダーク・ウナギ(DarkerZ)の欠場により、急遽参戦が決定した。雪妃はこの試合でストロングスタイルでの地位を不動のものにするのか!いずれにしても、強烈な個性を放つ女子選手による一騎打ちは見逃せない。
▼シングルマッチ30分1本勝負
日高郁人
vs
ガイア・フォックス
オープニングマッチとなる日高郁人vsガイア・フォックスの一騎打ちは、今年2月16日に神奈川・川崎ポスト・ディ・アミスタッドで行われた『第6回タイガーサポーターズマッチ』の再戦だ。この試合でフォックスがSSPW初参戦した。
フォックスは台湾出身のジュニア戦士で、SSPW登場前はフリーダムズ、OWE、大日本プロレス、みちのくプロレスなどにも参戦していた。この試合で見せた日高相手への健闘が認められ、晴れて本戦のSSPWナンバーシリーズ登場となる。これを機に、後楽園でのレギュラー大会へとコマを進めたいところだろう。SSPWのコーチ役も担っている日高の査定も、この試合の見どころとなりそうだ。
(文:新井宏)