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早くも今年のハイライトに!? エクリプス日本公演 2024.2.19@渋谷WWW

YOUNG

エクリプス来日公演2024

2月下旬、スウェーデンの4人組:エクリプスが来日! 東名阪にて3公演を行なった。2022年9月の前回来日から約1年半振り、彼等にとって通算4度目のジャパン・ツアーで、バンド・ラインナップは前回から変わらず。オリジナル・メンバーのエリック・モーテンソン(g vo)とマグナス・ヘンリクソン(g)に加え、リズム隊にヴィクター(b)&フィリップ(dr)のクルスナー兄弟というメンツは、もはや日本のファンにもお馴染みだろう。尚ここでは、ツアー初日:渋谷WWWでの東京公演の模様をお伝えする。

開演予定時刻の19時を少し過ぎた頃、暗転するとまずイントロSEとして流れたのは、往年のHR/HM人気曲のサワリを網羅したメドレー。ディープ・パープル、レインボーからAC/DC、スコーピオンズ、ハロウィン、モトリー・クルーなどなど、まるでラジオのクラシック・ロック/メタル専門局をザッピングしているかのムードの中、「Roses On Your Grave」(2021年『WIRED』収録)のイントロが響いてきて、手拍子を煽りながらフィリップが登場すると、他のメンバーもそれに続き──大歓声に包まれショウがスタート!!

1曲目からエリックはギター兼任で熱唱。手にした赤いB.C.リッチ“Mockingbird”は、何と日本に着いてから訪れた楽器店で衝動買いし、急遽ピックアップを付け替えてこの日の本番に臨んだというからビックリだ。いや、エリックだけではない。その横で白いSTシェイプを掻き鳴らすマグナスも、最初は持参したフェルナンデス製モデル(黒のピックガード付き)を弾いていたが、途中で何度か持ち替えていたシャーベル(これも白だが、レリック加工でピックガードなし)は、やはり日本到着後に購入したのだとか。いやはや、2人とも何とフレキシブルなことよ。

Erik Mårtensson(g vo)

Magnus Henriksson(g)

エリックはもう1本、白のギブソン・エクスプローラーを持参し、途中から曲によってそちらに持ち替えていたが──前回来日時は、グレッチのセミアコ“G6136 White Falcon”がメイン・ギターだったから、随分とイメージが異なる。また、「Runaways」(2015年『ARMAGEDDONIZE』収録)や「Never Look Back」(2017年『MONUMENTUM』収録)などではギターを持たずに歌い、「Black Rain」(『MONUMENTUM』収録)では、“Mockingbird”を弾きながらも最初のヴァースはハンド・マイクで歌ったり、中間部で披露された「Jaded」(『MONUMENTUM』収録)と「Battlegrounds」(2012年『BLEED & SCREAM』収録)は、プロモーターが用意したテイラーのアコで弾き語ったり…と、正に変幻自在。ヴィクターがリード・ヴォーカルを執る「High Road」(2023年『MEGALOMANIUM』収録)などではギター・ソロも任されていた。

Victor Crusner(b vo)

そんな風に忙しく色々な役割を担い、常にオーディエンスとのコミュニケートも欠かさないエリックとは違い、マグナスはもっぱら自らのプレイに専念し、エリックの熱血&フレンドリーな様子とは対照的に、基本クールな印象。ただしリード・パートでは俄然エモーショナルになり、時にブルージーなセンスも少し滲ませ、どの曲でも見事にギターを歌わせていた。注目したいのは、HR/HMシーンの名ギタリストたちのエッセンスを絶妙に摂り込みつつすっかり自分流に昇華させていた点。例えば「Anthem」(『MEGALOMANIUM』収録)ではゲイリー・ムーア、「The Masquerade」(2019年『PARADIGM』収録)ではリッチー・ブラックモアやマティアス・ヤプス(スコーピオンズ)、「I Don’t Wanna Say I’m Sorry」(『ARMAGEDDONIZE』収録)ではランディ・ローズ…といった具合に。

ゲイリー・ムーアといえば、メロディック・ハードの雄として人気を博す彼等はケルティックな曲想も得意にしている。曲名からして意味深な「Run For Cover」(そう…ゲイリーのカヴァーではなく、『WIRED』収録)や「The Downfall Of Eden」(『MONUMENTUM』収録)、アコ披露された「Battlegrounds」などからは北欧トラッドに通ずるムードも感じられ、アコ・セットの前には、インタールードとして母国のフォーク・バンド:ORSA SPELMÄNのまったりチューン「Koppången」を流して、ショウの流れに変化を付けていたのも技アリだった。

Philip Crusner(dr)

そういえば──「Black Rain」を始める前にブラック・サバスの「Heaven And Hell」(1980年『HEAVEN AND HELL』収録)のサワリをやって、それからエリック主導でアルペジオのイントロを奏で、ヘヴィなリフへと移行していたが、あれは定番の演出(?)なのだろうか? ライヴならでは…としては、同期音源を駆使したフィリップのドラム・ソロも特筆しておきたい。カール・オルフの『CARMINA BURANA』から「O Fortuna」などを盛り込んだ、文字通り“魅せる”あのドラム・ソロは過去にも披露され、それこそ定番となっているが、何度観ても見応えたっぷりだ。

一部照明(ドラム・セット背後左右の、まるで羽を広げたかのアレとか)までバンド自身で持ち込み、色々とサービス精神盛り盛りの多彩なるライヴに、オーディエンスのテンションはひたすら爆上がりまくり。多くの曲で大合唱が起こり、リックに合わせて「オ〜オ〜オ〜♪」といった唱和も発生し、上述の「Heaven And Hell」でさえすかさずみんなリフを歌い、サビで曲名を叫んで…と──ショウを通じて、会場内は昂揚感と一体感に満ち満ちていた。

まだ序盤の6曲目「Bleed And Scream」(『BLEED & SCREAM』収録)を演奏する前、エリックが「前回来日した時はまだコロナ禍で、みんなマスクを付けていて、声出しもNGだったけど、今夜はあの時の分まで大きな声で、いつもの2倍…いや5倍歌い、叫んでくれ!!」とMCしたのも、場の連帯意識をさらに高めたことだろう。その数曲あとにもエリックは、「美しい日本へ、東京へ戻って来られて最高だ! 今年のハイライトになった!!」と思わず言い放ったが──2024年になってまだ2ヵ月しか経ってないんですけど…というツッコミは置いておいて、それは紛れもなく本心だったのだろう。

そうして──この渋谷WWWではアンコール含め全22曲(+ドラム・ソロ)が演奏され、実に1時間50分にも及んだ。さらに翌日以降、名古屋公演で「The Storm」(『ARMAGEDDONIZE』収録)に代わって「Mary Leigh」(『PARADIGM』収録)をやったり、大阪公演でアコ・パートの1曲目が「Dying Breed」(『WIRED』収録)になっていたり…と、若干セットリストに変化を付けていたようで、そういった点も実に心憎い。

最高のライヴ・バンドによる、本当に最高としか言いようがない極上のロング・セット──その随所から、“日本のファンを楽しませたい!”との真摯で熱い思いが強く強く伝わってきた。次回来日もそう遠くない将来に実現するよう、今から祈っておきたい…!!

エクリプス 2024.2.19@渋谷WWW セットリスト

1. Intro(SE)〜Roses On Your Grave
2. Got It!
3. The Hardest Part Is Losing You
4. Run For Cover
5. The Storm
6. Bleed And Scream
7. High Road
8. Hurt
9. Children Of The Night
10. Anthem
11. Runaways
12. The Masquerade
13. Drum Solo
14. Saturday Night(Hallelujah)
15. Interlude:Koppången(by ORSA SPELMÄN)(SE)
16. Jaded *
17. Battlegrounds *
18. The Downfall Of Eden
19. Black Rain
20. Never Look Back
21. Twilight
[Encore]
22. I Don’t Wanna Say I’m Sorry
23. Viva La Victoria
24. Outro:Battlegrounds(Acoustic Version)(SE)

*…アコースティック・ヴァージョン

(レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura 写真●Yuki Kuroyanagi)

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