健康診断で正常でも要注意!?血圧の急変動「血圧サージ」に気をつけよう!
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。
新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
ゲストは、医療ジャーナリストで医師の森田豊さん!
みんなは大丈夫?「血圧」について
血圧というものは、心臓のポンプの働きによって、血液が動脈を通って全身に送られ、各臓器などで役割を果たし、静脈を通り心臓に戻ってきます。この血液が血管の中を通るとき、血管の壁に内側から圧力がかかっているんです。この圧力のことを「血圧」と呼びます。またよく聞く、「血圧の上と下」ですが、心臓がギュッと収縮して血液を送り出すときの血圧を「上の血圧」「最高血圧」、反対に、血液が心臓に戻ってきて、心臓が膨らんでいるときの血圧を「下の血圧」「最低血圧」と呼ぶんですね。健康診断などで「血圧高めですねー!」なんて言われたことがある人も多いかと思います。
もちろん年齢によって平均値は違いますが、だいたい上の血圧が140以上、下の血圧が90以上、どちらかがこの値以上であれば「高血圧」と診断されるんですね。ちなみに「低血圧」は上が100以下の場合に診断されます。この血圧で特に注目しないといけないのは、「高血圧の人は4000万人あまりいる」と考えられていて、とても多いですよね。そして高血圧が長く続くと、血管がいつも張り詰めた状態に置かれ、次第に厚く硬くなってしまい、動脈硬化、脳卒中、心疾患、慢性腎臓病などのリスクが高まってしまいます。今回は、この高血圧の対策と予防、注意点などを中心に教えていただきました!
『まずは、自分の年齢の平均値を知ろう!』
血圧には年齢によって基準値があります。
※年齢の基準値や、どれくらいの方が正常値なのか、チェックしてみると・・・
まずはスーさん(50代)と小笠原さん(50代)から。
・50代女性の平均は上が123、下が75。
・50代男性の平均は上が131、下が82。
・男性だとおよそ40%、女性だとおよそ20%の方が高血圧だと診断されています。
・一般的に男性は40代から、女性は50代から血管の老化が進むと言われているので、もし正常値の範囲内の方でも注意し始めなければいけません。
森田先生(60代)
・60代男性の平均は上が135、下が78。
・男性でおよそ40%、女性でおよそ30%の方が高血圧だと診断されています。
・まずは、自分の年齢の平均値を知って、自分の血圧が高いのか、低いのかを確認してみてください。血圧を測る環境によっても数値が変動してしまいますので、何度か測ってみるといいかと思います。
『健康診断で正常でも要注意!?血圧の急変動「血圧サージ」に気をつけよう!』
「血圧サージ」とは、健康診断で血圧が正常とされるのに、あるタイミングだけ、まるで高波のような血圧の急変動を起こしている、という状況のことです。
例えば5日間、朝に血圧を測って最も高い日の値と、最も低い日の値の差が20以上高波のような血圧の急変動である場合です。あるいは、一日に何回か血圧を測り、最高血の差が、20以上ある場合などです。
この血圧サージですが、神経が昂りやすい、すなわち交感神経が活発に働きやく、早朝の血圧測定でわかることが多いです。朝、目覚めた後にトイレを済ませ、起床後1時間以内に血圧を2回測る、ということを5日間続けてみてください。ノートなどに記入し、最高血圧同士の差が、20以上あるようなら注意が必要です。ノートに書き込んだものを循環器内科に持参して、受診してください。
また、血圧サージのある人は、正常の2.5倍も脳卒中や心臓病になりやすいという報告があります。ちなみに高血圧の人は、正常の方の1.4倍の危険度なので、血圧サージがとても危険なことがわかりますね。血圧サージのリスクを抱える人はおよそ1000万人に及ぶと言われていて、健康診断で判明しにくいのにそんなに多いんです。
もちろん、4000万人以上といわれる高血圧の人は、もちろん注意が必要です。
・原因は、塩分摂取過多、喫煙、運動不足、太りすぎ、ストレスなど。
また、この生活習慣とは別に、リスクが高まる「行動パターン」があるということです。「早口でおしゃべりする」「せっかち」「周囲の評価を求める」「食事のスピードが速い」「一度に多くのことをやろうとする」などの行動パターンに多く当てはまる人は、血圧の変動が大きく、心筋梗塞を発症するリスクが、2倍~3倍高いとされています。性格は直すことは難しいですが、行動パターンを意識して修正してみてはどうでしょうか。
『ハンドグリップ法で高血圧や血圧サージを予防!』
・日常的にできる予防法について。
アメリカの心臓学会が高血圧対策の健康法およそ1000件を分析したところ、有酸素運動と並び、このハンドグリップ法が効果を認めたとのことです。
やり方はとても簡単!所要時間は12分程度です。手のひらでタオルを握るのですが、
①まず、親指と他の指がつかない太さになるようにタオルを折りたたんで準備します。
②自分の最大握力の30%程度の力で、2分握って1分休む、ということを左右2回ずつやります。
握ることで、手のひらの血液の流れが滞ります。その後、手を緩めると一気に血液が流れますよね。その時に、血管の内側にある内皮細胞というところから、血管の老化を抑える一酸化窒素が出ると報告されています。1日おきに、4週間続けると効果が出てくると考えられています。血圧が気になっている方は試してみてください。
また、今このラジオを運転しながら聴いている方もいるかと思いますが、「運転でも血圧が上がる」と言われているので、注意が必要です。例えば時速30~40キロ程度の安全運転時でも、平均すると最高血圧が25程度上がり、時速60~80キロで運転をすると、最高血圧が平均で43も上昇するという報告があります。とても高い数値ですよね。
特に高速道路での運転や、追い越しなどの運転は、血圧上昇の原因になりやすいので注意が必要です。主な原因は緊張からくるストレスなので、知らない間にも神経が昂っているのでしょう。さらに別の調査では、運転開始から100分程度までは、走行環境に適応するために脈拍などの心身機能が高まりやすいこともわかっています。
対策としては、
・日ごろの血圧管理をしっかりしておく。
・ドライブ中は早めに休憩をとり、体の緊張をほぐしたりして、ストレス解消をする。
・自分に過度のストレスを掛ける危険な運転をしない。
・よその車に対しては「譲る」気持ちを持って、ゆとりある運転をする。
以上のことに気をつけながら運転してください。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)