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「塩分ロス」って知っていますか?まだまだ暑いこの季節、熱中症を防ぐためにやるべきこと

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「塩分ロス」って知っていますか?まだまだ暑いこの季節、熱中症を防ぐためにやるべきこと

8月ももう終わりですが、まだまだ続くこの暑さ。暦の上では秋になったからと油断してしまうと、熱中症になってしまう可能性が大。そんな今の時期、熱中症対策のために水分補給を心がけている人も多いと思いますが、意外と見落としがちなのが「塩分補給」。では、なぜ水分だけでなく塩分補給が重要なのでしょうか? 今回は、この時期見落としがちな「塩分ロス」のリスクや、正しい塩分補給の方法を、ご紹介します!

年々危険度を増す日本の暑さ! しかし3人に1人が「塩分補給が必要と知りつつも補給せず」という実態

毎年記録的な暑さが続き、熱中症対策が不可欠な日本の夏。9月に入っても暑さは続くため、もう秋だからと油断は禁物です。「塩分チャージタブレッツ」などで人気の菓子メーカー、カバヤ食品が2023年の8月に14633人に実施した調査によると、熱中症対策としての塩分補給をしているかという質問に対し、52.4%と過半数の人が「塩分補給をしていない」と回答しました。その中でも、全体の3人に1人にあたる36.7%が「塩分補給が必要と知りながらも、塩分補給をしていない」という結果が明らかに。

塩分補給をすることで熱中症のリスクを下げることは知っていても、正しく実践できている人はまだまだ少ない様子がうかがえます。

減塩志向もあり、塩分はとりすぎにばかり注意しがちですが、じつは、今の時期は日常生活の意外な場面で塩分が不足する「一時的脱塩症(塩分ロス)」という症状の危険があると、帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長の三宅康史先生は語ります。

「夏本番、座っているだけでも汗をかく日がつづきますね。そんな時、水分をとることだけに注意していませんか? 意外と見落とされがちなのが『塩分補給』です。暑い夏では、たくさん水分を取って、たくさん汗をかきます。飲む水と出す汗の違いは、塩分が含まれているかどうかです。たくさん汗をかいても、それを水だけで補っていると、当然体内の塩分が減ってきてしまいます。
体内に正常な水分を蓄えておくためには、塩分が必要不可欠です。塩分に含まれるナトリウムには、体内の水分をキープする重要な役割があります。
そのため、汗などで体から大量の水分が失われ、ナトリウムが不足した一時的『塩分ロス』の状態だと、水分補給だけでは体内に水分を保持することが出来ません。体内の水分量を正常に保つためには、水分と共に適切な塩分補給を行い、一時的な『塩分ロス』を避けることが重要になります」(三宅康史先生)

一時的な「塩分ロス」とは“ふだんは足りているはずの塩分が、一時的に塩分不足になっている状態”が引き起こす脱水症の原因となる症状のことで、まさにこれが熱中症を引き起こしてしまう危険な状態なのです…!

頭痛、だるい、めまい… もしかして一時的な「塩分ロス」かも⁉

食事で塩分が足りていたとしても、暑い季節は汗を大量にかいたり暑さで食欲が減り食事量が減るという人も多いのではないでしょうか。また、健康やむくみ対策で減塩したり、ダイエットのために塩を抜くなど減塩し過ぎてしまうと、一時的に塩分が不足した状態になる可能性があります。

このようなタイミングで適切な塩分補給を怠ると塩分不足に陥り、「塩分ロス」となる危険性があるため、頭痛やだるさなどを感じたら塩分補給を心がけることが大切です!

まずは熱中対策の基本を知ろう!大事なのは「水分」+「塩分」

人の体は、塩分と水分の割合が一定となるように常にバランスをとっていますが、汗や尿などと一緒に塩分は排出されてしまいます。
三宅康史先生の解説にあったように、「塩分ロス」の状態で水分だけを補給すると、もとの体液量に戻る前に体液濃度が正常化してしまいます。この状態で水を飲み続けても体内に水を保持するナトリウムが不足しているため、摂取した水分を保持できず、体内の水分量が正常化しません

ですので、たとえば汗をかいて(500ml程度)食事を抜いた場合は、500mlのペットボトル1本の水に加えて、塩を1つまみ(0.5~1g前後)を一緒にとるといいでしょう。

また、塩分補給に定番のスポーツドリンク塩分入りタブレットのほか、塩昆布浅漬け梅干しなどの食材も塩分補給方法としておすすめです。

体内の水分量を正常化するためにも、熱中症対策は「水分補給」と一緒に「塩分補給」も心がけるようにしましょう!

エアコンが効いている室内にいれば塩分は不要? 無自覚でかいている汗に要注意!

汗をかくのはもちろん屋外だけではありません。人は寝ている間におよそコップ1杯程度の汗をかいたり、料理中や掃除中にも汗をかきます。また、暑い日には駅までの道中や満員電車など、いろいろな場面で無自覚にじわじわと汗をかいています。

さらにここで気をつけたいのが、湿度が高い日や風が弱くて皮膚表面に気流が届かない状況での発汗です。このような状況では汗が蒸発しにくくなり気化熱の働きが十分に発揮できなくなるため、さらに汗の量が多くなってしまいます。室内にいるから大丈夫、と油断せずに暑い季節は、ふだん以上に水分と塩分補給を心がけ「塩分ロス」に注意しましょう。

夏から秋にかけては、アウトドアなどのレジャーやスポーツなど楽しいことが盛りだくさんですが、それと同時に熱中症の対策も必要な季節です。屋外屋内に関わらず「水分」+「塩分」を忘れずに、楽しく、そして元気に毎日を過ごしていきましょう!

医師プロフィール

三宅 康史先生
帝京大学医学部教授
帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長
日本救急医学会評議員・専門医・指導医
熱中症に関する委員会委員

協力/カバヤ食品
参考/環境省「熱中症 環境保健マニュアル 2022」、厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」
文/FYTTE編集部

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