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20年ぶりに食べるアメ村『甲賀流』の “ねぎポン” は人生の味がした / 大阪出身の私が無性に食べたくなる「たこ焼き屋」はここだけ

ロケットニュース24

気づいたら上京して20年が経っていた。生きるのに必死すぎて一瞬だった気もするけど、上京した時のことを思い出すとここまでもの凄く長い道のりだった気もする。なにせ食事が10円の豆腐1丁とご飯のみだったし、節約しても電気・ガス・水道が止まってる時もあるくらい金がなかった。

っていうか、20年のうち10年くらいそんな危うい暮らしだったから、改めて考えたらよく生き延びたものである。思わず、この20年の感慨が湧きあがってきたのは、先日、大阪アメ村の三角公園に行った時のことだった

行列できてた

・三角公園と言えば

高校生の頃、アメ村に通っていた私(中澤)。と言っても別にオシャレだったわけじゃなくて、やることがなかったからブラついていただけだ。私の地元にはブラつくだけで気が紛れる場所がなかったのでアメ村に行っていた感じ。

高校生なので当然金はない。ゆえに、三角公園に座ってダラダラするだけで1日が終わったりする。それでも、「今日は三角公園でダラダラした」という多少の満足感が家にいるよりはマシだった

その当時、時間を潰すお供みたいな感じで、無い金を絞って食べていたのが三角公園の前にあるたこ焼き屋『甲賀流』である。たこ焼きだからめちゃくちゃウマイってわけじゃないけど、三角公園で食べるものとしては程よい味と価格。当時は隣にマクドナルドがあって、三角公園の民はほぼ甲賀流かマクドナルドを食べてたっけ

・1杯のたこ焼き

特にたこ焼きにプライドとかはない。でも、甲賀流だけは上京した後も無性に食べたくなる時がある。そこで先日、バンド『si,irene(シー・アイリーン)』のツアーでアメ村を訪れた際、甲賀流に行ってみた。

もちろん、これまでも別のバンドのツアーでアメ村でライブをしたことはある。しかし、大阪ツアーを頻繁にしてた時期はやはり買い食いをする金なんてなかった。そう言えば、バンドメンバーと金を出し合って最安のソースマヨを1箱だけ買って一緒に食べたことあったな

・あの頃流行ってた味を食べてみた

ちなみに、アメ村に通ってた当時、周りでウマイと評判だった甲賀流のたこ焼きは「ねぎポン」だった。ねぎポンは価格が少し高めなので、当時も奮発する気分で買ってたけど、親元を離れてからは一度も食べれてない。

そんなねぎポンは現在、10個入りで税込700円。昔は400円くらいだったことを考えると高くなったものだが、それも今なら買える

あの頃と同じように三角公園に座って食べる。染みるポン酢の酸味。色んなことがあったな。たった700円、されど700円。自分の稼ぎでねぎポンを買うのに20年もかかってしまった。

・甲賀流は人生

マクドナルドは無くなっても、レコード屋が無くなっても、三角公園の雰囲気は変わらない。たこ焼きの上に盛られたねぎのように絶え間なく行き交う人の中に、当時の自分の姿を見た気がした。青い

人は誰しも、自分だけの道を歩いて甲賀流にたどり着く。20年ぶりに食べるねぎポンは人生の味がしたのであった。

大阪の本場たこ焼きと言えば、有名なのは関東にも展開されている『くくる』だと思われる。だが、私は完全に『甲賀流』派。大阪に行くことがあったら是非食べてみて欲しい。

・今回紹介した店舗の情報

店名 大阪アメリカ村 甲賀流本店
住所 大阪市中央区西心斎橋2-18-4
営業時間 10:30~20:30(土・祝前日21:30)
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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