あと2ヶ月なのに「名物は屋根」? 大阪・関西万博の「失敗」に迫る
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、2月12日の放送にノンフィクションライターの松本創(まつもと はじむ)がリモート出演。昨年8月発売、5人の書き手が関西万博の問題を多角的に検証した本『大阪・関西万博 「失敗」の本質』の編著を務めた松本が、そのタイトルにもある大阪・関西万博の現状を語った。
大竹まこと「松本さんの御本は『大阪・関西万博 「失敗」の本質』というタイトルですけど、いまは2ヶ月前。まだ関西万博が始まっていません。先に“失敗の本質”と書いてしまうのは……?」
松本創「よく言われますけど、あえて“失敗”と言い切っているところがありまして。東京五輪なんかもそうだと思うんですけど、国家規模のメガイベントとなると、開幕前に批判すれば『楽しみにしている人もいるのに』『皆、成功に向けてがんばっているのに足を引っ張るのか』。かといって終わってから批判すれば『今さら遅い』『いつまで言っているんだ』という話になる」
大竹「なるほど」
松本「そういう世間の空気みたいなもののでき方が非常に気になっていまして。そういう空気ができると計画を強引に進めたり、なし崩し的に進めたりした人たちも『大成功だった』と言う。自分の手柄だ、などと言い募る、といったことが散見される。東京五輪もそうだったと聞きます」
大竹「そうですねえ」
松本「ただ実際には汚職談合事件があとから発覚するなど、準備段階でいろいろな迷走や無駄遣いがいっぱいあったわけですよね。あえて“失敗”という批判的な立場から問題点を整理して指摘していこう、と。終わってからだと、なんとなく『終わってよかったね』みたいな話になりがちなので」
大竹「借金だけ残って、それを何年にもわたって返して、という話にもなりますね。解説の建設費が最初のころと違って、上がっていますよね」
松本「はい。最初の計画段階、誘致段階では1250億円と言っていたのが、一度ドン、と上がって。それが有名な木造リングなんかをつくる、という話になって、1850億円に上がり。さらに資材の高騰だなんだ、ということで2350億円。会場建設だけでほぼ倍になっているんですね。それだけではなく運営費、いろんな関連する費用が軒並み上がっています」
大竹「維新の方に質問、名物というかウリはなんですか、と聞いたら『屋根じゃないですか』みたいなことをおっしゃっていました」
松本「名物はいまの時点でもそう。それぐらいしか言うことがないというか、情報がない。展示の内容がまったくわからない状況で。目に見えてわかりやすいのが大規模な木造建築、ということなので」
大竹「遠くから見てもわかりやすいといえばわかりやすい。しかし見通しが2倍に、というのはずいぶん甘い想定でしたね」
松本「メガイベント、国家事業だから、ということで、そういうこともなし崩し的に許容されていく。国と大阪府・市と民間企業が3分の1ずつ出しているので、確実に費用の中に税金は含まれている。そういう税金の拠出も『メガイベントを成功させるためだから』となるとなんとなく許容される、というのも非常に問題だなと思っています」
大阪・関西万博が抱える問題点について、さらに詳しい解説はradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。