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沼垂商店街で100年以上続いてきた老舗「茶・せともの 渡辺商店」。

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沼垂商店街で100年以上続いてきた老舗「茶・せともの 渡辺商店」。

一度は時代の流れとともに寂しくなっていったものの、「沼垂テラス商店街」を中心に新しいお店ができ、再び活気のある町となった沼垂地区。そこで100年以上もの長きに渡って営業を続けてきたのが、「茶・せともの 渡辺商店」です。四代目店主を受け継いだばかりの渡辺さんを訪ね、いろいろなお話を聞いてきました。

茶・せともの 渡辺商店

渡辺 篤彦 Atsuhiko Watanabe

1959年佐賀県生まれ。

中央大学経済学部を卒業し、競輪を統括する団体で42年間働く。2024年より「茶・せともの 渡辺商店」を四代目店主として受け継ぐ。趣味は映画鑑賞で、好きな作品は「ブレイブハート」。

大正から続く老舗商店を受け継いだ、四代目。

——ずいぶんたくさんの瀬戸物を扱っているんですね。

渡辺さん:茶器や茶碗はもちろん、酒器や鉢、灰皿、仏具、置物など幅広く取り扱っているんですよ。

——いつ頃からこういった瀬戸物を?

渡辺さん:大正7年の創業時から、お茶と一緒に扱っていたようです。

——大正7年ということは……創業して107年も続く老舗なんですね。ずっとこの場所で営業されてきたんでしょうか?

渡辺さん:そうです。創業時から変わらずにこの場所で営業してきました。昭和の終わり頃に一度改築してからは、そのままずっと続いてきたんですよ。

——ちなみに、渡辺さんは何代目の店主になるんですか?

渡辺さん:私で四代目になります。この店は家内の実家なんですよ。先代の義父が亡くなって私が跡を継いでから、まだ1年くらいしか経っていないんです。

——そうだったんですね。渡辺さんはその前はどんな仕事をされていたんでしょう?

渡辺さん:競輪を統括する団体に42年間勤めてきました。主に審判員をやっていたんです。

——へぇ〜。ずいぶん長いことお勤めになったんですね。

渡辺さん:大学を卒業してから定年まで働いて、その後も再雇用で4年間働きましたね。

——商店を継ぐために退職されたんでしょうか。

渡辺さん:義父が倒れて以来、義母だけで商店をやっていたんですけど、私も会社勤めする傍ら配達の手伝いをしていたんです。そうしているうちに義母だけで営業を続けるのは大変だろうと思って、商店を受け継ぐ決心をしました。

——お店を受け継いでみて、いかがでした?

渡辺さん:義父の代から旅館や飲食店、一般家庭への配達をはじめたんですが、一般家庭の取引先とは昔からの長い付き合いがあったので、新茶の時期になると注文をいただかなくても配達していたんです。ところが一般家庭も高齢化に伴って代替わりをしたことで、そうした密接な関係性が変化してきてしまいました。

——なるほど、お茶の需要の変化だったり、昔ながらの商売が難しくなってきたわけですか……。

渡辺さん:そうなんです。その上、コロナ禍以降は急須でお茶を入れる会社が減ってきて、ペットボトルのまま出したり、自動給茶機を導入したりするところが増えているんです。そんななかで、昔から続いてきた注文を待っているだけの商いは難しいと感じるようになりましたね。

——なかなか厳しい状況ですね……。

渡辺さん:ですから新規のお客様を増やすため、お茶のサンプルを持って飲食店や旅館に足を運んで営業をすることにしました。家内からはもっと営業に力を入れるよう発破をかけられていますけど、今まで接客とは無縁の仕事をしてきたので苦労しています(笑)。それでもご縁ができて、定期的にご注文いただけるようになると苦労も報われますね。

時代の流れに苦戦する一方、海外で起こった日本茶ブーム。

——瀬戸物の産地には、こだわっているんですか?

渡辺さん:そうですね。いちばん多く扱っているのは瀬戸焼です。他には有田焼、信楽焼、常滑焼、美濃焼、九谷焼を置いています。九谷焼は少し価格が高めにはなりますが、愛好家にはとても人気があるんですよ。

——美しい絵柄で人気がありそうですね。よく売れているのは、どんな商品なんでしょう?

渡辺さん:やはり日常的に使う機会の多い、湯飲みやご飯茶碗ですね。先代の頃は年末になると、新年を新しい食器で迎えようとする人たちが行列をつくったそうですが、そんな習慣も時代と共に廃れてしまいましたからねぇ……。

——時代の影響はやはり大きいですか?

渡辺さん:習慣や食生活の変化もありますし、今では100円均一ショップで安い日用品が手に入りますからね。お茶にしてもペットボトルで手軽に飲むことができますから……。

——なるほど、確かに厳しいですね。

渡辺さん:ただ、コーヒーを豆から挽いて楽しむ人がいるように、日本茶も急須で自分好みに煎れて楽しむことで、日々の暮らしが豊かに感じられると思うんです。急須で煎れたお茶はペットボトルのお茶とは味も香りも違いますし、煎れ方によってもいろいろな楽しみ方ができます。それをお気に入りの湯飲みで楽しんでいただきたいですね。

——そうした時間を楽しむことも大切ですよね。ちなみに、どんなお客さんが多いんですか?

渡辺さん:地元に住む年配のお客さんが多いですね。ただ、最近は外国人観光客が増えてきているんです。

——外国の方が?

渡辺さん:海外では抹茶を中心に日本茶の人気が上がっているんです。当店にも外国人観光客が抹茶を探しに来たんですけど、そのときはまだ抹茶の取り扱いをしていなかったんですよ。京都の問屋さんは抹茶が品薄になっていて、値上がりしたり、仕入れ制限がされるほどなんです。

——インバウンドの影響でしょうか。それにしてもすごい人気ですね。

渡辺さん:京都のお茶屋さんでは、開店前から外国人の行列ができているそうです。当店でも取引先からの紹介で、ようやく抹茶を仕入れることができるようになりました。

——それほどの日本茶ブームが起こっているとは知りませんでした。

渡辺さん:ですから当店のホームページも、外国人向けにAIを駆使して英語表記をつけるようにしたんです(笑)

——なるほど(笑)。ちなみに、渡辺さんオススメのお茶があったら教えてください。

渡辺さん:「京都宇治 玉露芽茶(ぎょくろめちゃ)」ですね。玉露の芽だけを使ったお茶で、うま味成分が凝縮されている上まろやかな口当たりが特徴なんです。旅館にも置いていただいています。

——旅館も認めるお茶なんですね。外国人旅行者が来ることで、このエリアに活気が戻るといいですね。

渡辺さん:当店でお茶を買った後、近所の酒蔵へ足を運ぶ方も多いんです。そんなふうにお互いに連携しながら地域を盛り上げていけたらいいですね。「沼垂テラス商店街」で第一日曜に開催される朝市のときは、当店も店を開けてお茶以外の商品を全品2割引きにしています。お立ち寄りいただけたら嬉しいです。

茶・せともの 渡辺商店

新潟市中央区沼垂東1-9-19

025-244-2901

9:00-16:00

土日曜祝日休

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