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乃木坂46 中西アルノ、「自分の新しい一面を見つけてくれる番組」音楽番組『Spicy Sessions』最新収録レポート

Pop’n’Roll

乃木坂46 中西アルノ、「自分の新しい一面を見つけてくれる番組」音楽番組『Spicy Sessions』最新収録レポート

CS放送『TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画』にて毎月放送中の音楽番組『Spicy Sessions』。

今月行なわれた9月、10月放送回の収録を、ゴスペラーズをデビュー当時からよく知り、数々のアーティストのオフィシャルライターを務める音楽ライター・伊藤亜希が取材。

本記事では、収録後のMCインタビューと合わせて番組の魅力を伝える第4弾をお届けする。

・中西アルノの写真 11枚

■収録レポート

“音楽が出来上がっていく様”を観客の目の前で魅せる音楽番組『Spicy Sessions』。MCを黒沢薫(ゴスペラーズ)と中西アルノ(乃木坂46)が務めるこの番組は、音楽番組でありながらドキュメント番組であり、そしてライブそのものでもある。音楽という生き物に、真正面から向き合う非常に稀有なテレビ番組だ。昨年12月、CS放送TBS チャンネル1でスタートして以降、音楽ファンから注目を集め、観覧募集には毎回1000通を超える応募がある。観覧者が現場で生きた音楽に触れた感動をSNSでポストすることも増えている中、先日、地上波での総集編の放送、さらには無料配信サービス『TVer』でも配信され、認知度が一気に高まった『Spicy Sessions』。同番組の魅力を改めてお伝えしていきたい。

番組のキーパーソン的存在の黒沢は、ゲスト候補選びから始まり、コラボレーション候補曲のチョイスやアレンジ、歌割り、ハーモニーの振り分け、中西が自身で選ぶソロ歌唱曲のアレンジ、収録音源のミックスダウンの立ち合いなど、収録当日以外でも八面六臂の活躍を見せる。彼は、プライベートで<黒沢カレー会>という、自身のオリジナルカレーをふるまうパーティを開催しているが、そこには多彩なジャンルの友人・知人が集う。もちろんミュージシャンも多い。 その幅広い交友関係が『Spicy Sessions』というステージを通し、音楽、しいてはエンタテインメントに到達する様子は、この番組の見どころの1つである。ジャンルの幅の広さ、そして、ゲストやコラボレーション曲に合わせて、歌のアプローチや歌声の響かせ方を使い分ける歌い手・黒沢薫のスキルは間違いなく『Spicy Sessions』でしか観られない醍醐味と言える。第9回 (9月放送分)、第10回(10月放送分)の収録現場の様子とともに、MC2人の収録後のコメントをお届けする。

9月放送のゲストはSIRUP。『Spicy Sessions』は毎回、カレー好きの黒沢がゲストをスパイスに例えることが恒例だが、黒沢はSIRUPの“カッコいい”“本格的”な印象をあるスパイスで表現する。例えを受けて登場したSIRUPは、CM曲にもなった「Do Well」を披露。両手を挙げてスルーハンズする観客の姿もあった。黒沢と中西も、バウンシーなグルーヴに乗り、楽しむ。曲の最後には、番組初のコール&レスポンスも飛び出した。 SIRUPと中西のセッション曲は、宇多田ヒカルの「In My Room」。セットチェンジの間も宇多田ヒカルの曲のよさについて話すSIRUP、黒沢、中西の3人。その会話は、音楽好きの普段の会話そのもの。黒沢は同時にバンドメンバーと演奏の相談を具体的にしながら、セッション曲を作り上げていく。

実際のセッションでは中西がSIRUPのアドリブに、アドリブで応えるシーンも。“(SIRUPから)パスが来たので、やるしかないと思って!”と笑顔を見せる中西に、黒沢も“すごい!”と驚く。 黒沢がSIRUPと一緒に歌いたい曲として選んだのは、ゴスペラーズの「永遠(とわ)に」。ゴスペラーズ初のトリビュートアルバム『The Gospellers 25th Anniversary tribute 「BOYS meet HARMONY」』(2019年)でSIRUPがトリビュートした1曲を2人で歌唱。黒沢のハイトーンを的確に分析するSIRUPのコメントもチェックしてほしい。黒沢と中西のデュエットで「Beauty and the Beast」も披露。 MC2人がピアノ伴奏で歌唱した8回目の放送で、2人のデュエット曲を試しながら歌っていく中で決まった1曲。お互いの歌をしっかり聴きながら、歌い、ハモるその様子は、まさにセッション。中西の歌声を活かしながら、声量やニュアンスをコントロールする黒沢の引き出しの多さ、そして一筋の光のように綺麗に輝く中西アルノのロングトーン。この2人の組み合わせだからこそ生まれた、スペシャルな「Beauty and the Beast」がそこにあった。

10月放送のゲストには、夏川りみが登場。最初は、三線(さんしん)を弾きながら「涙そうそう」を聴かせる。しなやかで包容力のあるクリアな歌声が、観客の心を解きほぐす。彼女の歌声で解きほぐされたのは黒沢と中西も然り。束の間のセットチェンジ中も夏川の歌声について話す、黒沢と中西の姿があった。8回目の放送を経て、お互い歌に対する向き合い方の再確認ができたのだろう。特に中西の進化が著しく、これまであまり表には出ていなかった“セッションを謳歌している”様子が、その表情に現れていたように思う。 ゲストのアーティストとしての歴史と音楽的ルーツを深掘りして伝えるのも『Spicy Sessions』の肝だ。丁寧にゲストから音楽的ルーツを引き出していく。トーク中に、夏川りみの歌声に初めて触れた時のゴスペラーズの反応など、黒沢が誰も知らないようなネタをちょいちょい差し込んでくるのが、また面白い。隠れたチェックポイントだ。

“この番組が決まった時から、いつかアルノさんとりみさんが一緒に歌っているのを観たかった”という黒沢の念願を果たした(?)夏川と中西のセッション曲はテレサ・テン「時の流れに身をまかせ」。2006年からテレサ・テンの出身地でもある台湾を始め、シンガポール、上海、ブラジル、ペルーなどでもライブを行なっている夏川りみ。台湾公演は延べ10回に及び、北京語も積極的に練習しているという。この日は、曲の一部を北京語で披露するにあたり、コーラスで参加する黒沢のための夏川による北京語講座が始まった。夏川に発音を確認しながら、譜面に懸命に書き込んでいく黒沢が、観客に“すみませんね、いつもこんな感じでやってます(笑)”と声をかけ笑わせる。北京語の部分を“1回練習ね”と歌い始める夏川と黒沢。見事なハモりに観客からは拍手が起こった。「時の流れに身をまかせ」をセッションしたあとには、さらに大きな拍手が起こる。黒沢の“バンドのニュアンスもよかった! 絶妙に力が抜けてて”という言葉に、バンドマスターの佐藤雄大が“歌がよすぎて。余計な音、弾きたくないって感じでした”と返すと、その会話にも拍手が起こった。

夏川と黒沢のセッション曲は「You’ve Got A Friend」。キャロル・キングが1971 年にリリースし、これまで各国で多くのアーティストがカバーしている名曲だ。キャロル・キングをルーツの1人に挙げた夏川りみ。黒沢と夏川が披露したのはロバータ・フラックとダニー・ハサウェイのデュエットバージョンだが、黒沢が夏川に対して「キャロル・キングっぽく歌って」とリクエストし、夏川がOKというような笑顔を見せるシーンも。 中西は、2人の最高のセッションを目の当たりにし“おふたりの歌声の親和性がすごい! 私が触れてこなかった音楽で、未知の体験でした”と目を輝かせていた。

そんな中西アルノがソロ歌唱曲に選んだのは、松原みき「真夜中のドア~stay with me」だ。1979年にリリースされたこの曲は、2020年頃から始まったシティポップリバイバルの代表的な1曲として、サブスクで世界的なロングヒットを続けている。楽曲紹介にあたり、黒沢が簡潔にシティポップを説明し音楽マニアぶりを発揮。 “この曲はコーラスでモダンさが出るから”と自らがコーラスを担当すると言ったあと、“もう1回、確認させて”と譜面を確認してバンドメンバーや中西を笑わせる。セッションが始まると、伸びやかな中西の歌声に応えるように、バンドアンサンブルが徐々に音圧を上げ、軽快に転がっていく。中西はそこに合わせ、発音で力強さを加えていく。コーラスをしながら、バンドと中西を順番に見て、黒沢が幸せそうな表情を見せる。曲がどんどん中西に寄り添っていく。否、中西が歌を引き寄せていると言った方がいいだろう。 歌とバンドサウンドが会話をしながら、表情を増やしていく。演奏が終わったあとには、ステージと客席が一斉に中西に拍手を送った。“ちゃんとバンドの音に反応して歌ってたよね!”と言った黒沢に“♪ジャジャッジャジャッ……ってバンドの(キメの)音に、気持ちいいって思って!”と返した中西。きっと2人は、今、お互いの心の中でハイタッチしてるよなぁと思った瞬間であった。

■MCインタビュー
収録を終えた黒沢 薫と中西アルノに感想を訊いた。

成長に終わりはない

ーー8回目の放送はピアノと黒沢さん、アルノさんの2人のセッションでしたが、まずはその感想を。

黒沢:
実はあの収録まで、アルノさんの音楽的ルーツとかをしっかり聞いてなかったので、そこをちゃんと聞けたのがよかったですね。それでちょっと距離感が縮まった感じはありましたね。

ーーそうですね。今日の収録でも、セットチェンジの間とか、2人ともずっと音楽の話をしてましたよね。あと「Beauty and the Beast」が素晴らしかったです。

中西:
ありがとうございます。嬉しいです。

黒沢:
今回の「Beauty and the Beast」って、本当に大きな挑戦だったんです。アルノさんの歌に対する集中力、歌の力を信じて歌ったんですけど、実際に歌ったあとは達成感がすごかったですね。

中西:
(うん、うんと頷きながら)ホント……「Beauty and the Beast」については、終わって、まず肩の荷が下りたなっていうのが率直な感想です(笑)。曲と向き合うっていう意味では、すごくエネルギーを使う楽曲だったし。1曲で10曲分ぐらいのエネルギーが必要だったくらい。本当にいっぱい聴いて、たくさんエネルギーを使って1曲に向き合ったなと思いますね。

黒沢:
「Beauty and the Beast」のアルノさんの歌は、技術も十分足りていたと思うんです。でも技術だけじゃダメで、やっぱり(曲と)向き合う姿勢っていうのはとても大切で。2人で一緒に1つの曲を作り上げていく曲だったということもあって、2人の曲への向き合い方が近くなっているなと感じますね。これは番組が始まる前から言ってることなんですけど、やっぱり、ただの歌うま(=歌がウマい人)を目指しているわけじゃないから。そうじゃなくて、もっと音楽してるんです。それが改めてわかったことがすごく嬉しいです。

中西:
今回10回目の収録で、バンドの音が大きくなった時に、自分もこうして(……と自分の目の前で右手で斜め上に向かうような線を描くジェスチャー)……盛り上がっていくとか。曲の中での緩急をバンドメンバーや黒沢さんと一緒に作っているって感覚がすごくあって。キメのところも、それ以外の強弱の部分も、意識しなくても音と合っていくなって感じましたね。

黒沢:
毎回、まったく違うタイプのゲストアーティストに対して、どんな風にアプローチしていけば、いい形、いい番組にしていけるかっていうのが、バンドも含めて番組を作るチームが、説明しなくても同じ方向に向かうようになって来たのもすごく大きいと思うんです。アルノさんもチームの一員なので、いつも頼もしくてめちゃくちゃありがたい!

――ちょうど10回放送分の収録を終えて『Spicy Sessions』という番組が、次のフェーズに入って行くって感じでしょうか。

黒沢:
そうですね。アルノさんへの無茶ぶりが、もはや無茶ぶりじゃなくなってるから(笑)。

中西:
いやいや(笑)。無茶ぶりですよ!

黒沢:
いやいや、ハーモニーを捕まえてから(自分の)モノにするスピードが全然違う。今日はためらいがまったくなかった!

中西:
ははははは(笑)。

黒沢:
だから無茶ぶりじゃなくて、一緒に作り上げていくっていう形を今後は模索していくことになるでしょうね。

中西:
はい、そうですね。『Spicy Sessions』が始まって、最初の頃は“どうしよう、どうしよう”って思うばかりだったのが、本当にちょっとずつ、スッて挑戦できるようになったり。あとは、ほかのお仕事とかでも、物怖じしなくなったなぁと自分でも思いますね。そういうところはこの番組で培ったところだと思いますし、あとは本当に(黒沢さんが)おっしゃっていたみたいに、今までは“こういうことに挑戦してみよう、あぁいうことに挑戦してみよう”っていうのだったものから、今回「Beauty and the Beast」っていうとても難しい楽曲を、時間をかけて作り上げるっていう。これだけ時間をかけて曲と向き合うのも、また新しかったんですよ。

黒沢:
そうだね。確かに。いつもよりも、向き合う時間を取れたっていうのも大きいよね。

中西:
本当に。だから、成長に終わりはない、どういう形であっても伸び続けられるっていう……そう思うことが出来るのが『Spicy Sessions』ですし、自分の新しい一面を見つけてくれる番組だなと、改めて思いました。

『Spicy Sessions with SIRUP』

2024年9月28日(土)深夜0:00~1:00

『Spicy Sessions with 夏川りみ』

2024年10月26日(土)23:30~0:30

放送チャンネル:CS放送TBSチャンネル1

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