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背景も大切にした物撮りにこだわるフォトグラファー「森下一」。

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背景も大切にした物撮りにこだわるフォトグラファー「森下一」。

ポスターやカタログに使う商品写真の撮影を「物撮り(ぶつどり)」といいます。今回紹介するのは「物撮り」を専門にしているフォトグラファーの森下一さんです。なぜ物撮りを専門にし、どんなこだわりで撮影しているのか、スタジオにお邪魔してお話を聞いてきました。

MORISHITA HAJIME PHOTO STUDIO

森下 一 Hajime Morishita

1987年三条市生まれ。2007年より他界した父に代わり、金属部品メーカーの経営に携わったのち2022年に引退。フォトグラファーとして独立し「MORISHITA HAJIME PHOTO STUDIO」を立ち上げる。映画やドラマを見ることが好きで、現在は「ドクターX」にどハマり中。

金属メーカーの経営者がフォトグラファーとして独立。

——森下さんは独立してスタジオを立ち上げる前も、フォトグラファーをやってこられたんですか?

森下さん:鉄道や自動車などに使う、金属部品のメーカーを経営していました。20歳のときに父が他界したので家業を継いだんです。

——まさか社長さんだったとは。どうしてフォトグラファーとして独立する道を選んだんでしょうか?

森下さん:会社の経営を受け継いだのと同じ頃に、難病指定されている潰瘍性大腸炎にかかってしまったんです。急にトイレに行きたくなることが多くなって、通勤や出張の途中でトイレを探して大変な思いをするようになったんですよね。調子の悪いときにはすぐに風邪をひいたり熱を出したりもするんです。

——それは大変ですね……。

森下さん:会社を大きくするために努力してきましたが、身体だけじゃなく精神的にもキツくなってきたので、会社の経営から離れて独立することにしたんです。

——そうだったんですね。でもフォトグラファーの道を選んだのは、どうしてなんでしょう。

森下さん:前の会社では、工場や部品の写真を自分で撮影していたんですよ。妻から勧められたこともあって、フォトグラファーとして独立することにしました。

——写真撮影はいつ頃からやってきたんですか?

森下さん:13歳のときに、父からアナログの一眼レフカメラをもらったのがきっかけで写真を撮るようになり、17歳の頃には自分で中古のデジタル一眼レフカメラを買ったんです。

——最初から物撮りを?

森下さん:当時は人物や風景を撮っていました。物撮りは、前の会社で撮影をお願いしていたフォトグラファーさんが亡くなったこともあって、自分で撮るようになったんです。

製品に込められた思いを、写真で表現。

——フォトグラファーとして独立する際に、物撮りをメインに選んだのはどうしてなんですか?

森下さん:前の会社で部品などの写真を撮ってきたということもありますが、まぐれでは撮ることはできない職人技に近いものを物撮りに感じたからなんです。

——今まで撮影したなかで印象に残っているものはありますか?

森下さん:30kg以上の重量があるフィットネスバイクの撮影では苦労しました(笑)。山のなかや海辺での撮影もあったんですが、僕は人を雇わないと決めていたので、ひとりでフィットネスバイクを担いであちこちに移動しなければならなかったんです。

——それは大変でしたね(笑)。他にも印象に残っている仕事があったら教えてください。

森下さん:新潟市の洋菓子店でフィナンシェを撮影したのは、僕が初めてお菓子を撮影した仕事だったこともあり難しかったです。お菓子やケーキの写真はありふれているので、そのまま撮影しても当たり前の写真になっちゃうんですよ。どう見せたら魅力が伝わるのか悩みましたね。

——結局どのように撮影したんでしょう?

森下さん:オーナーのお父さんがつくっているハチミツを使ったお菓子だったので、それをフィナンシェにかけて撮影しました。オーナーには喜んでいただけたようで、いろんなところでその写真を使ってくれているのは嬉しいですね。

——そこまで考えていろいろ工夫して撮影するんですね。

森下さん:金属部品ひとつとっても、その部品のどこがすごいのか、製造する際はどんなところが大変なのか、製品に込められたクライアントの思いを理解した上で、それをどのように表現できるのか考えるようにしています。

——製品の背景まで撮影しようとしているんですね。他にもこだわっていることはあるんでしょうか?

森下さん:見た人から「で?」とか「だから何?」とか思われないような写真を撮るように心掛けています。そのためにも納得いくまで作り込んで撮影しているんですよ。特に光のコントロールが難しいと思っています。

——ただ綺麗に撮ればいいというわけでもないんですね。

森下さん:低料金で写真の撮影をするフォトグラファーも多いなか、けっして安くはない僕にオファーをしてくれるというのは、製品に対する強いこだわりがあるからだと思います。だからこそ大きなプレッシャーを感じますし、それに応えたいという気持ちも強いんです。

——物撮りに対する強いこだわりが伝わってきます。

森下さん:家族写真やウェディング写真に比べて、物撮りをしっかりやるスタジオって新潟県内には少ないと思うんです。特に一日中商品と向き合って、どう撮ろうか考えるようなスタジオは数軒しかないんじゃないかな。だからこそ大事な商品の写真を撮りたいときには、ぜひ相談していただきたいと思います。

MORISHITA HAJIME PHOTO STUDIO

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