巨人・岡本和真7年連続30発ピンチ データから見えた「昨季40発のイメージを追う主砲」
8月打率.224、1本塁打の岡本和真
8月6日からの9連戦を5勝3敗1分けで乗り切った巨人。首位・広島と1ゲーム差の2位につけており、逆転優勝に向けてここからが勝負どころだろう。
そんな中、心配の種が岡本和真の不振だ。8月は月間打率.224、1本塁打、2打点。本塁打は8月3日の17号を最後に途絶えており、本塁打王争いでもトップの村上宗隆(ヤクルト)に4本差をつけらている。
優勝争いで主砲の活躍が不可欠なのはもちろん、個人としても昨季まで6年連続でマークしている30本塁打に届かない可能性が出てきた。
調べてみて気になったのが打球方向データ。初めて30発を放った2018年以降のシーズン別打球方向を左翼、左中間、中堅、右中間、右翼に5分割したのが下の表だ。
右方向への本塁打が極端に少ない昨季と今季
長距離砲らしくどの年も左翼へ引っ張った打球が多いが、今季は過去最多タイの39%。逆に右翼方向への打球は過去最少の10%、右中間への打球も最少タイの9%しかない。
昨季は自身初の40発をクリア(41本塁打)。今季はそれ以上を狙うあまり、力んでフォームを崩しているのではないだろうか。
実際、シーズン別で2番目に多い39本塁打を放った2021年は中堅が19%、右中間が18%と7年間で最も多く、逆に左翼は24%と最も少なかった。右方向へおっつける意識が好結果につながったと推察できる。
そこでシーズンごとの本塁打の打球方向を調べてみた。
やはり予想通りの結果が出た。昨季は41本中、左翼方向が断トツの25本。左中間も11本で、引っ張った本塁打が合計36本もあった。逆に中堅から右方向には5本しか打っていない。
逆に右方向への打球が多く39本塁打を放った2021年は左翼10本、左中間10本で合わせてもほぼ半分の20本。逆に中堅には9本と多く、右翼と右中間も合わせて10本打っている。
2019年は5方向のうち右翼が最多の9本。右方向へのアーチを量産することでコンスタントに結果を残してきたことが分かる。
それが今季は右翼と右中間を合わせてもたった1本。17本中15本は左翼と左中間方向だ。昨季は強引にでも引っ張って初めて40発をクリアしたため、今季もそれを追うあまりフォームを崩している、という推測が成り立つ。
外角球も引っ張って相手投手の術中にハマる?
引っ張る打球が多いということは真ん中から内寄りのボールを好打しているのかと思いきや、決してそうではない。
今季の相手投手の投球を9分割したコース別打率で、岡本が最も高いのはど真ん中の打率.414、3本塁打。それは分かるとして、次いで高いのが外角高めの打率.314、3本塁打、3番目に高いのが外角ベルトラインの打率.303、1本塁打となっており、打率3割を超えているのはこの3コースだけだ。
逆に内角は高めから順に打率.207、1本塁打、打率.250、本塁打なし、打率.148、1本塁打。元々、内角をさばくのがそれほど得意な打者ではないが、今季は真ん中から外寄りのボールも強引に引っ張っている。
ちなみに外角低めは打率.159と、9コースの中で内角低めに次いで低く、三振は28個と断トツで多い。外角も引っ張りにかかるため変化球を振らされているのだ。
実際に外角低めのストレートはスイング率22.9%とあまり手を出していないが、コンタクト率は95.8%と高いのに対し、外角低めの変化球はスイング率39.5%と振りにいっている割に、コンタクト率は55.1%と低い。
やはり昨季の良いイメージを追って外角球も引っ張りにかかるため、相手投手は低めの変化球で料理している構図が読み取れる。
逆に言えば、岡本は中堅から右方向への打球が増えれば上昇の余地がある。残り少ないシーズン、短期間での修正は難しいかもしれないが、主砲復活は右翼席に放り込めるかどうかがカギと言えそうだ。
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記事:SPAIA編集部