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「事前の避難行動計画を」 近藤戸塚区長に聞く

タウンニュース

水害対策を語る近藤区長

台風7号・10号が8月、連続して関東地方などに被害をもたらした。ゲリラ豪雨など、近年、予想を超えた大雨に見舞われていることは周知の通り。日頃からの準備が何より重要だ。本紙では近藤武戸塚区長に区の水害の対策、区民の避難行動・事前対策の方法などについて聞いた。

――台風シーズンを迎えています。区民に注意喚起を促したいことから教えてください。

「河川の氾濫や内水氾濫(下水道の処理能力を超えて雨が降った際にマンホール・側溝から水が溢れ出すこと)が考えられます。また、土壌に雨水が浸透することによって崖地が崩れるなど土砂災害が起きる可能性があるほか、強風により倒木や物が飛来してくることが考えられます。

台風は発生や進路を、事前にある程度予測することができます。天気予報で台風の接近が見込まれる場合には、事前の備えを。いざ風水害が発生した場合には、自分の命を守るため、早めの避難行動をお願いします」

――事前の備えを具体的に。

「まずはハザードマップで自宅や学校、職場などの水害リスクの確認を。もし洪水や内水氾濫、崖崩れの危険性が高い場所だったら、どのタイミングでどういった避難行動を取るか、あらかじめ決めましょう。天気予報で夜に大雨が降る見込みであれば、昼の間に避難の準備をしておく。大雨警報が出たらすぐに親戚宅へ移動するなどです。

市作成の『マイ・タイムライン作成シート』を使えば、地域や家族構成に合わせた避難行動計画を簡単に立てられます。市ホームページでの掲載や区役所での配布のほか、アプリ「横浜市避難ナビ」でも作成できます。

排水溝の清掃や飛ばされやすいものの片付けなど、自宅周りの確認も合わせてぜひ。

戸塚区では、今年8月に区内の洪水リスクが高い場所にある電柱に、その場所の洪水浸水深を示す標識『まるごとまちごとハザードマップ』を設置。浸水が想定される高さに水色のテープを巻き付けています。ぜひ実際の高さを体感いただきたいと思います」

――各種警報、発令時の区の対応は。

「区役所としては、大雨警報や水防警報(河川の水位が一定程度上昇した際の警報)の発令に伴い、即時に職員が参集し災害対策警戒本部を立ち上げ、各種情報収集を実施。区ホームページやX(旧ツイッター)などを活用し適時適切な情報提供を行うほか、河川の氾濫や土砂災害の危険性が高まる見通しが立った場合には、避難所を開設します」

内水氾濫にも注意

――戸塚区の水害で心配することは。

「柏尾川やその他7つの2級河川で、多量の大雨が長時間継続して降った場合の氾濫が心配の一つ。マンホールや側溝などから水が溢れ出す内水氾濫の危険性もあります。また、区内には崖地が多く存在し、土砂災害の発生も危惧しています」

――戸塚区の内水氾濫の危険性について教えてください。

「内水氾濫は河川から離れた場所においても発生する恐れがあり、区内では最大2・0mを超えて浸水する可能性がある場所も存在します。家の近くに河川がないからと油断してはいけません。内水ハザードマップをご確認ください。マンホールから水が噴き出るなどの兆候があった場合には、避難の検討をお願いします」

――大雨時に下水道から溢れた水が地下街などへ流入する浸水被害が危ぶまれています。2014年10月には台風18号により柏尾川の水が戸塚駅に流れ込みました。2024年度末から戸塚駅周辺で下水道管内水位の情報提供が開始されると聞いています。

「河川の水位と異なり、下水道管内の水位を直接見ることはできません。そこで、マンホール内に水位計を設置し、計測したデータをウェブサイト上でリアルタイムに公表するシステムを公開する予定です。区民の皆様や戸塚駅周辺地下施設管理者の皆様が、避難行動や水防活動を開始いただく際の、判断材料になります。今後、水位計の設置工事、配信テストを実施し、今年度末までに情報提供を開始する予定です」

――区内の地形から土砂災害も心配です。

「台風により大雨が降っている際や晴れたあとも時間があまり経っていないときには、崖地に近づいてはいけません。崖から小石がパラパラ落下し、斜面に亀裂や湧き水が発生しているときは、安全な場所へ避難してください。一方、夜間で大雨が降っており、外に出ることがかえって危険な状況の場合は、家の中で少しでも崖地から離れた部屋に移動するなどの行動を」

――最後に区長から区民に求めたい(特に自助)対策を教えてください。

「自分事として避難行動計画を立て、日ごろからの備えをお願いします」

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