いづも巳之助の一株コラム:プライム市場で大暴れして欲しかったが、韓国企業の傘下になってしまったADK
再上場のウワサがあったが、結局、韓国企業への売却とは残念至極だ。IPコンテンツをこなせる大きな代理店なので、プライム市場で大暴れして欲しかった。広告代理店業界では、この件、結構な大事件になっているはず。
思い返せば、2017年ベインキャピタルのADK買収劇は、まあADKも望んでいたことだ。その頃にADKの部長さんに「大丈夫?」と聞いたら「環境は何も変わらないが、ファンドにアシストしてもらって、世界まで仕事の幅を拡げるよ」と余裕の返答だった。
その後、電通との提携関係も解消、非上場でスピードを上げ、海外の代理店やデータ分析会社などを次々買収・提携していった記憶がある。ここまでは、なかなかADKにも勢いがあった。
でも結局、今回ベインは8年もかかって、買収額の半額の750億円で韓国のクラフトン社に売却。ドル建ての売却であっても、これは損をしているハズ。不幸なことにコロナ騒動中にテレビや新聞、雑誌などのマス媒体が弱体化して、広告代理店がますます儲からなくなっちゃったからね。SNS全盛の世の中は、純粋な広告代理店機能では、もはや太刀打ちできない。
さて、クラフトン社は、主にゲームソフト開発で世界進出をしている会社だ。日本のアニメコンテンツに強いADKが傘下に入るのは、クラフトン社サイドから眺めると確かに方向性は正しい。昨年の売上高は3000億円程度だが、倍々ゲームのような勢いで成長しているので、この買収も一気に決まったフシがある。
ADKは、「ドラえもん」の版権は持たないが、正しく世界に流通させる責任がある。「どこでもドア」は結構、故障率が高い(笑)ことでも有名だが、これからもきちんとドラえもんが行きたい所に着地させてほしいね。
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前から分散投資を手がけ、まもなく保有株式評価額1億円。流通株を得意としている。たまに神社仏閣への祈祷、お祓い、占い、風水などスピリチュアルな方法で、売買を決定する時がある。