駅伝女子 ラストランに向けて 谷佳純(大分西3年) 【大分県】
「まだまだ走りたい気持ち」と「やり切った思い」の狭間で揺れ動いたが、「大学で走るイメージができなかった」と、この冬で陸上競技生活を終えることを決断した谷佳純。高校3年間の目標としていた都大路(全国高校駅伝競走大会)の出場はかなわなかったが、県予選ではエース区間の1区で区間賞を取り、意地を見せた。
中学まで新体操に打ち込んでいた谷は、助っ人として走った県中学駅伝の好走が評価され、大分西高に入学した。それまで本格的な陸上の指導を受けたことがなかった谷は、走る度に自己記録を更新し、1年生の6月に県高校総体女子3000mで4位となり、脚光を集めるようになる。
全国高校駅伝競走大会県予選で区間賞を獲得した
1年の頃は無我夢中で先輩の背中を追い、記録も伸びたが、けがが多くなった2年時は苦しんだ。練習ができず、記録が伸びない。それでも周囲の期待は高く、プレッシャーに押しつぶされそうになった。谷は「エースと言われるようになり、気持ちと実力が折り合わなかった」と振り返る。他の選手に比べ陸上経験が浅く、引き出しが少ない。けがとの向き合い方も分からなかった。退部届けを握りしめたのは一度や二度ではない。それでもやめずに踏みとどまったのは、駅伝の楽しさを忘れることができなかったからだ。「トラック競技は個人戦だが、駅伝はみんなでタスキをつなぐ。団結してゴールを目指して走る感覚はこれまでに感じたことがないものだった」。
最終学年となってからは、下級生を引っ張る立場になった。これまでと違う悩みはあったが、「毎日練習の質を高めることだけを考えた」。目標タイムを設定して、黙々と走る。練習後はマッサージをして、食事や睡眠で回復に努める。常に全力の姿勢を下級生に示した。
「1年の秋の九州新人がベストだった」(谷)。ここ2年間は満足のいく走りはできていないが、理想のフォームに近づきつつある。今週末の九州高校駅伝を経て、来年1月の全国都道府県対抗駅伝がラストランになる予定。「残りのレースは楽しんで走りたい。もちろん結果を求め、納得のできる走りをしたい」と力強く語った。
「悔いなく競技を終えたい」と語った谷佳純
(柚野真也)