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猫猫のような“強い人”ではない。翠苓を作り上げた過去を振り返るーー『薬屋のひとりごと』第2期、翠苓役・名塚佳織さんインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

大人気後宮謎解きエンターテインメント『薬屋のひとりごと』のTVアニメ第2期が放送中! 第1期から続く未解決の謎が後宮を不穏な空気に包む中、猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)の前に新たな難事件が立ちふさがります。

今回、第1期から物語の裏で暗躍していた翠苓(スイレイ)を演じる名塚佳織さんにインタビュー! 作品についてはもちろん、ついに明かされた翠苓の過去を振り返ったお話を伺いました。

 

 

【写真】『薬屋のひとりごと』第2期インタビュー:名塚佳織

猫猫はヒロインではなくヒーロー

──作品の印象をお聞かせください。

名塚:謎解きも魅力的ですけど、やっぱり猫猫がいいですね。時に蔑まれながらも、たくましく生きている姿に憧れます。

──憧れですか。

名塚:彼女みたいに自分の信念を貫き通すことって、本当に強くないとできないんですよ。周りからどう見られてもいいと思えるくらい自分をしっかり持っていないといけないですし。それでいて彼女は周りのことをしっかり考えたうえで我が道を進んでいるからすごいですよね。

──なんだかんだでお人好しなところもここ数話で描かれました。

名塚:そうですね。第45話で響迂が猫猫を逃がそうとした時も、他人事だと切り捨てればいいのに「この砦から逃がすようにと、私がその子供に頼みました」と買って出ました。正義感が強く、ヒロインというよりヒーローだと思います。

──ほかにお気に入りのキャラクターはいますか?

名塚:私個人としては猫猫が一番好きです。ただ翠苓を演じさせていただいている身としては子翠がとても気になってしまいます。翠苓からすると子翠にはもっと自分を大事にしてほしいし、もっと大事にされるべき人だと思っているはずなんですよね。だけど色々なことがあって、そう思わない選択ができるようになったばかりにもどかしくなってしまって。翠苓を演じていると彼女と同じ気持ちになってしまって、現場でも子翠の動きばっかり気になってしまいました。

 

翠苓を作り上げた過去

──最初に翠苓というキャラクターをご覧になった際はどんなことを感じましたか?

名塚:身長が高く、目鼻立ちがハッキリしていて、中性的な美しさもあるので、どこか壬氏に似ているなと。だから自分の意志をしっかり持っている人なのかなと思ったんですけど、実は後半になってそうではないことがわかって。演じるうえでは、そこが視聴者の方を裏切るような見え方になっていたら面白いなと思いました。

 

 

──クールでミステリアスな人物ではありますが、この数話でだいぶ印象が変わりました。

名塚:一見クールでミステリアスですが、幼少期の抑圧から自分を隠して生きてきたため、実は猫猫のような強い信念を持つ人物ではないんですよね。色々なことを動かしているように見えましたけど、それも実は指示されていただけで、そこに自分の意識はなくて。そういった面は、この数話で浮き彫りになったんじゃないかなと思います。

──翠苓は第13話からの登場でした。今とはキャラクターの印象がだいぶ異なりますが、そこも加味して演技プランを組み立てたのでしょうか?

名塚:そうですね。翠苓は裏で色々と仕掛けているので、本来は目立ってはいけないんですよね。だけど第1期では物語のフックとして視聴者の印象に残らないといけないので、そのバランス調整はすごく難しかったです。

あと「蘇りの薬」とか、キーとなる言葉が猫猫に引っかかってもらわないといけないんです。なので第1期のセリフは全体的に猫猫のことを意識して作りました。猫猫に引っかかってもらえれば、きっと視聴者にも気付いてもらえるので。

──そして第40話で再び猫猫の前に立ちふさがり、誘拐してしまうという展開は驚きました。

名塚:今思うとあそこの翠苓は無理していたのかもしれませんね。表情からはわかりませんけど、心の中では「これでいいのかな?」とか、後悔の念があったんじゃないかなって思います。

 

 

──舞台が砦に移ってから複雑な生い立ちが明かされました。

名塚:子供は生まれる場所を選べないと言いますけど、まさにその言葉のとおりでしたね。ただ、幼いうちからあんな環境にいたからこそ、そこが普通ではないと気付くのに時間がかかったんじゃないかなって。それもあって自分の人生を悲観するわけでも、抵抗するわけでもない人格が出来上がったのかもしれません。

もちろん客観的に見たら折檻を受けたりして可哀想ではあります。だけど、彼女にとってそれは当然のことなので、自分で自分を可哀想な人間なんだとは思っていないと思うんです。これがある日突然、幸せな日々が奪われたという話であれば別なんですけど、彼女は昔から卑しい血が流れていると刷り込まれているので…。

──クールな振る舞いも、ある意味自然に身についたのかもしれませんね。

名塚:そうですね。暴力を受けるのは当たり前で、それに対していまさら抵抗する気はないという描写がされていますよね。

そんな中でもやっぱり子翠の存在は大きかったでしょうね。彼女が慕ってくれるからこそ、そこまで悲観して生きていたわけではないんだろうなって思います。まさに救いの存在ですね。

 

 

──そんな姉妹を苦しめる母・神美の迫力には驚かされました。

名塚:すごく圧がありますよね。神美とのシーンは現場でもすごく緊張感が走っていました。今後もいろいろと引き起こしてくれるはずです(笑)。

──先ほどお話しいただいたように、子翠とは複雑な姉妹関係ですが、ふたりは信頼し合っています。

名塚:翠苓にとって子翠は救いのような存在です。彼女がいるからここまで頑張れたんじゃないかなと思います。翠苓の立場からしたら、普通、可愛がられている子翠のことが羨ましかったり、憎かったりするんじゃないかなということも過りましたが、そんな気持ちが全くないのは、子翠からの純粋な優しさが伝わってきたり、単純に妹が可愛いという思いが強いからなんじゃないかなって思います。

でも子翠が母・神美に下女と間違えられたエピソードを見て、子翠のほうが辛かっただろうなと感じました。翠苓は憎まれているからこそ神美に間違えられることは絶対にないけど、人形扱いの子翠はちゃんと認識されていない。子翠もこの時の出来事を今でも気にかけているように、ショックが大きかったんだと思います。

──その発想はなかったです。

名塚:親に見てもらえていないというのは相当ショックだと思います。ここから歪みが生まれたという意味でも印象深いですね。

 

 

正体が判明し、受け身の演技に変化

──正体が明らかになるにつれて演技に変化を加えたり?

名塚:正直、この辺りから演技面でなにかすることはなかったんですよね。基本的に翠苓は自分の意思で行動しているわけではなく、どちらかと言うと周りに翻弄される人ということがわかりましたし、むしろ自分からなにかを発することもなくなったので。

気持ちを動かす時は神美になにかを言われた時くらいでしょうか。だからここ数話は神美に対してどう言葉を返すのかを考えることが主軸となりました。そういう意味では演じ方に変化があったんじゃないかなと思います。

 

 

──翠苓の立ち位置は受け身に変わっていますよね。

名塚:そうですね。自分の意志を示すことはあまりなく、周りの状況を見てどう立ち回るのかを考えているので、お芝居もそれに合わせています。

──名塚さんからご覧になった本作の現場の雰囲気はいかがでしたか?

名塚:現場の空気はとても素敵です。休憩中はみんなで作品の話をしてリラックスしていました。

──どんな話を?

名塚:「猫猫かわいいよね」とか「ここの壬氏様の顔が面白い」とか、結構ラフな内容です(笑)。でも本番が始まると一気に空気感が出来上がるんですよね。本来聞こえるはずのないBGMが頭をよぎるほどで、お祭りのシーンはどこか陽気な音楽が聞こえたり、楼蘭の表情がお面みたいに変わる瞬間は空気が重くなったり。それこそ神美が出てきた時は無音がさらに無音になるような緊張感が漂っていました。私としては集中して挑めましたし、時間もあっという間に感じた現場です。

 

 

──最後に今後の放送を楽しみにされている方々へメッセージをお願いします。

名塚:今、翠苓の周りのキャラクターたちは本当に大変なことになっています(笑)。

──(笑)

名塚:それぞれのキャラクターに注目してほしいのはもちろんですけど、その中でやっぱり猫猫がかっこいいんですよね。第45話で子翠を助けるところは完全にヒーローでした。私としても「かっこよすぎる」と感動したので、みなさんにも今後の彼女の活躍に期待してもらいたいです。そして最後まで一緒に子翠を見守っていただきたいです。

 
[取材・文 MoA]

 

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