最低賃金50円引き上げ 藤井氏「それだけを聞くと大変結構なように見えるんですけど……」
7月25日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、最低賃金の引き上げに関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「逆に苦しくなって倒産する企業が増えるリスクもある」
今年度の最低賃金(時給)について、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は24日、引き上げ額の目安を全国平均で50円(5・0%)とすることを決めた。目安通りに改定されれば、最低賃金の全国平均は現在の1004円から1054円となる。物価高などを背景に、引き上げ額は昨年度の43円を上回り、過去最大となった。
最低賃金は、企業が労働者に支払わなければならない下限額。先月から始まった議論で、労働者側は、物価高や最近の賃上げ傾向を踏まえ、60円超の大幅引き上げを主張。一方、使用者側は、「経営が苦しい中小企業に配慮する必要がある」として、20円程度の抑制的な上げ幅を求めていた。
寺島アナ「今年度の最低賃金について、引き上げ額の目安を全国の平均で、50円とするということなんですが、藤井さん、これはどうご覧になりますか?」
藤井氏「最低賃金が上がるのは、それだけを聞くと大変結構なように見えるんですけど、実はこれ、最低賃金上げたところで守れない企業が増えるだけという側面もあって、賃上げに貢献する側面は僕はあると言えるとは思うんですけど、最低賃金っていうのは決まらないですよね。だからいろんな要素のうちの小っちゃな1個が最低賃金っていうものであって、いろんなもので決まってますから。
だから逆に苦しくなって倒産するような企業が増えたりすることが心配されますから。そんだけ払えないっていうことでね。払えないような企業は人が集まらなくなって、さらに潰れてしまう可能性も高くなるっていうリスクもあるでしょうから、最低賃金を上げることに加えて、しっかり賃金が上がる状況にするために、何度も申し上げますが消費税の減税の話をしたり、保険料やいろんな税金を引き下げたり、デフレ脱却のための大型公共投資を行ったり、そういうことを併せてやらないと効果は薄いでしょうね」
政府は今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の中で、「2030年代半ばまでのより早期に全国平均1500円を目指す」としている。
寺島アナ「負担がものすごくのしかかるという企業もあるわけですから、このあたりをじゃあどうしていくのか。最低賃金っていうのは最低賃金法っていうのがありますから、守らないと50万円以下の罰金が違反した使用者には課せられるわけですよね。だけれども『いや、そんなこと言ったって払えないんだもの』といったところは、藤井さん先ほどおっしゃった通り、倒産っていうことになっていくんですものね」
藤井氏「そうです。そうならざるを得なくなるということですね」
寺島アナ「そこをじゃあどう考えていくのかというところですね。言うのは簡単だけど上げるのはなかなか難しい会社もあるぞ、ということですね」