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ロマサガ2のリメイクは、「可視化」によって遊びやすさが恐ろしく増した良作である話

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ロマサガ2のリメイクは、「可視化」によって遊びやすさが恐ろしく増した良作である話

もしかすると私は、「偉大な未完成作品」が令和の今になって完成するところを見ているのかも知れない。そう感動しているところなんです。

この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。


・「ロマサガ2」のリメイク版である「ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン」が先日発売されました
・ロマサガ2はとても面白かったのですが、いくつか欠点もあゲームでした
・得意武器と自己申告と閃き適性が食い違いまくるシステム今でもちょっと恨んでます
・特にノーマッド♂だけは許さない
・リベサガ、その辺が丸々可視化されていてめちゃくちゃ面白いです
・閃きの派生表と戦闘中の閃き可否が表示されるシステム快適過ぎる
・全般的に遊びやすさがもの凄く向上していて、追加要素やグラフィックもとてもいい感じ。特に忍者が可愛いです
・皆さんリベサガ遊んでください


以上です。よろしくお願いします。

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。


まず、SFC版「ロマンシング サ・ガ2(以下ロマサガ2)」の話をさせてください。

ロマサガ2は、初代ロマサガのフリーシナリオシステムを更に発展させ、「バレンヌ帝国の興亡と、七英雄との戦いの歴史を自分で作っていく」という、非常にスケールの大きなRPGでした。


ロマサガ2はもちろん非常に面白く、私も一時期死ぬ程遊んだんですが、とはいえ荒削りな部分もあれば、人を選ぶ部分もありました。

私が考えるロマサガ2の最大の欠点は、「攻略の根幹部分が殆どマスクデータとして秘匿されているのに、それを判断する為のゲーム内の情報があちこち間違って(控えめに言ってもミスリードを誘う内容になって)いる」ということです。


特に大きなポイントとして挙げたいのが、「閃きシステム」です。


ご存知の通り、ロマサガシリーズ、特にロマサガ2の戦闘バランスはかなり辛めに作られています。敵の攻撃は序盤からどんどん苛烈になりますし、嫌らしい攻撃をしてくる敵もじゃんじゃか増えていきます。しかもロマサガ2では戦闘回数を重ねるごとに敵がパワーアップしていく為、終盤には「下手な七英雄よりもその辺歩いてる雑魚敵の方が強い」などと言われる程のバランスになります。


となると当然「なるべく敵に行動させずに倒し切りたい」となる訳ですが、敵モンスターは耐久的にもかなりタフです。通常攻撃でちんたら戦っていたら、相手を倒しきるまでにあっという間にHPが削られて、パーティはあっさり半壊するし、LPはベキベキ減りまくるわけです。次回、「ソウシ死す」デュエルスタンバイ!


その為、ロマサガ2攻略の上での鉄則は「リソースを惜しみなく使って、可能な限り速く敵を倒す」「それが無理なら、戦闘回数を重ねない為にも戦闘自体を避ける」というものでした。先手必勝、速攻必殺。だからこそ、ラピッドストリーム(必ず先制出来る陣形)があんなに強力だったのです。


そこで最重要なのが、武器ごとの「技」と「閃き」でした。


ロマサガ2では、敵を攻撃していると、ある程度の確率で「技」を閃いて、強力な攻撃をすることが出来ます。豆電球がついて、「きゅぴーん!」って音がするアレです。この「技を閃く」瞬間が滅茶苦茶気持ちよくって、これだけでロマサガ2をやり込む理由になるくらい中毒的だったんですよ。「ロマサガ2」というゲームの面白さの、その中核になるエッセンスだったと言っても良いでしょう。

例えば流し斬り。例えば無双三段。高速ナブラ。不動剣。削岩撃。ファイナルレター。強力な技は、もちろん見た目もかっこいいですし、「速攻必殺」が鉄則なロマサガ2では、攻略する上でも非常に重要でした。「ある程度強い武器と強力な技があるかどうか」で攻略難度が天地の差になるのです。


ただ、ロマサガ2のゲーム中では、「閃き」に関する情報は丸々マスクデータで、ほぼ一切開示されていませんでした。

実はロマサガ2では、職業とは別にキャラクターごとに「閃き適性」と「閃きタイプ」というものが設定されていて、「ある技を閃く可能性があるかどうか」は事前に全部決まっているのです。


例えば大剣の強力な技である「無明剣」を閃けるのはこの閃きタイプのキャラだけとか、敵のレベルがいくつ以上でこの技を使った時に派生技を閃く可能性があるとか、そういうのは隠し設定として隠匿されていたんですね。(余談ですが、続編の「3」ではこの辺がだいぶ緩和されていて、適性がないキャラでも一定条件で特定の技を閃く可能性があり、3が遊びやすかった理由の一つでもありました)


もちろん、これはゲームを遊ぶ上での醍醐味でもありました。マスクデータというのは「探す楽しさ、掘り起こす快感がある」ということでもあり、我々は技探しの為にわくわくしながら武器を振り続けていましたし、「こんな技閃いた!」という情報の共有は、宝探しみたいでわくわくすることでもありました。


ただ、その「閃き」についてゲーム内で開示される情報が、あまりにミスリードまみれだったことについては、当時ロマサガ2を遊んでいた人たちの間では認識が一致しているところでしょう。当時は「キャラの職業」によって得意な武器が分かれているとされていて、当然技の閃きもそれに準じていると思っていたのに、実は「閃きタイプは職業ごとではなく、キャラクター一人一人違った設定がされている」という、強烈な罠仕様があったのです。


すいません、今からちょっと早口になるので、飲み屋で熱量高め厄介のオタクが好きなゲームの愚痴を高速語りしているのを隣のテーブルから眺めるつもりで、以下段落を読み流していただきたいんですが、


とにかく各仲間キャラクターの「大剣が得意な私を連れていってください!」とか「弓が得意です」みたいな自己アピールが本当の本当に嘘ばっかで、こっちは閃き適性を判断する情報がないから自己申告の得意武器をあてにするしかないのに、スネイル以外の帝国重装歩兵は線切りどころか二段斬りすら閃かないし、帝国軽装歩兵♂の半分くらいは大剣適性じゃなくて剣適性だし、槍が得意なキャラはアマゾネス以外は各職に散らばっていて訳が分からないし、ノーマッド♂に至っては「弓が得意です」とか言っておきながら弓適性のキャラは一人もおらず殆どが斧適性で、お前ら本当エントリーシート書いて面接に臨む前にまず自分探しの一つもしてこいやと思うばかりで、武装商船団のガマで何時間トマホーク投げ続けても一生スカイドライブは覚えず、何故かアマゾネスのトモエにやらせてみたら一瞬で閃いて膝から崩れ落ちるわけです。

本当、ノーマッド♂だけは絶対に許さない。あと、バレンヌはヤウダからイーストガードを呼んできてフリーファイターとして採用しろ。


ロマサガ2の罠仕様はこればかりではなく、例えば防具の数値が斬耐性しか表示されてないとか敵の強さレベルが開示されないとか、国の収入がいくらになるのか分かり辛いとか、まあ色々とあったわけです。

それでも十分以上に面白かったのが、逆説的にロマサガ2の凄いところなのですが。


さて。

まず特筆したいのが、今回のロマサガ2リメイクである「リベンジオブザセブン」(以下リベサガ)、上記の問題の殆どが「可視化」によって解消されていることです。


今回、キャラクター画面で各技を参照すると、「その技が何に派生するか」「このキャラはその技を閃く可能性があるか」ということが全て可視化されています。

しかも、戦闘中も「今この技を使うと新しい技を閃く可能性がある」ということが明示されているので、斧適性がないキャラでアルビオン相手に一晩トマホークを投げ続けるとか、そういう悲劇が一切起こり得なくなっているわけです。もう超快適。閃きが捗り過ぎる。

敵には様々な弱点属性が設定されているのですが、それが「一度弱点を突くと以降可視化される」という、オクトパストラベラーと同様の形式になっていることも挙げておくべきでしょう。特定の技がクリティカルになる際もそれが事前に表示されるようになり、「やり込んでる人なら強さを理解出来る」武器だった弓や小剣の使い勝手が大幅に上がっています。


更に、帝国の現収入や敵の強さレベル、継承後の各キャラの基本値となる武器や術のマスターレベルまで、原作でマスクデータになっている部分が殆どメニューで参照出来るようになりました。

ファストトラベルの使い勝手も向上しており、ダンジョンからでも各町やアバロンの拠点に直で移動出来る他、武器や合成術の開発についても、「完成した」どころか「開発出来る状態になった」ということすら通知してくれるので、もう遊びやすさが天元突破しています。


元々「すげー面白いけど色々遊びにくい部分もある」名作だったロマサガ2の、その「遊びにくい」部分がほぼ丸々解消されてしまったわけです。これ大変なことじゃないでしょうか?開発者の「ロマサガ2」というゲームに対する理解度が凄い。


システムやストーリーはなにせ元々面白いので言うことないんですが、やはり「各地のイベントを好きな順で攻略していって、帝国を繁栄させていく」というゲームの作りは面白いことこの上ない。攻略順を工夫する楽しさもありますし、いきなり遠くに行って強力な武器を得て無双する楽しさもあります。


ただ、今更の話ですが、バレンヌの皇帝って外征や外交どころか、偵察や災害対応、害獣駆除、遺跡調査や開拓まで全部皇帝と側近だけでやっちゃうんですが、あの国の皇帝職ブラック過ぎじゃないでしょうか。国のトップが他国で死にまくるのって帝政の国として許されるのか。


あと、これも今更の話ですが、「あんた帝国最強だから、囮出してる間にボクオーンに突っ込んでください」と自国のトップに平然と提案して名軍師扱いされてる軍師がいまひとつ納得いかない。まあ今回、リメイク元よりはちゃんと理由説明されたので良いのですが……。


最新機種でのリメイクということもあって、グラフィックや追加要素も文句のないところです。「聖剣3」のリメイクの頃から、キャラクター造形のセンスが天井知らずに向上し続けていると思うんですが、今回も各キャラの美麗さが素晴らしい。

元々ホーリーオーダー♀が好きだったんですが、今回忍者のデザインがあまりに良すぎまして、体術は忍者をスタメン固定しました。これだけの為にヤウダ攻略の優先度上げました。

ただ一点、これはどうもSwitch版の問題らしいのですが、「拠点の出入りや場面転換時のロード時間がやや気になる」というところは指摘しておく必要があるかと思います。新たに追加された七英雄の記憶シーンの前後にも妙に長い転換シーンがありまして、昔のCD媒体のゲーム程ではないにせよ、最近のゲームにしては若干テンポに影響出てるかなと思うレベルです。PS5やSteam版ではその辺の問題はないらしいので、その辺ご確認ください。


個人的な雑感として、一周クリアした段階での各武器種についての所感も触れておきます。SFC版だと武器種ごとのバランスがやや極端だったんですが、今回様々な武器にてこ入れが入っていて、「使えない」「育てて後悔する」というような武器種はないと言ってしまってよいでしょう。


とはいえ「使いやすさと強さのバランス」という意味だと若干武器種ごとの差はあって、一周したくらいの進捗度で考えると、


体術:序盤から終盤までずっと強い。技も強いし、格闘家と忍者がいるので閃きにも苦労しない。ベルセルクを考慮しなくても最強武器種候補と言えそう
大剣:強い武器が手に入りやすく、体術に次いで使いやすく、強い。イーストガードが入るまでは、閃き適性がやや散らばっているのが難点か
斧:大剣と同様、武器と技がバランスよく強く、威力面で主軸に出来る。武装商船団はどうせ一度は皇帝にするのでその際鍛えるのがよさそう
小剣:序盤はやや控えめだが、特攻技が多く閃きにも苦労しない。威力が高い武器もまあまあ手に入りやすい為、中盤以降は強力で最後まで使える
こん棒:補助技と威力技がバランスよく揃っている。ただ、閃き適性があるキャラに腕力が高いキャラが少ない為、中盤主軸にするなら早めにナゼールを制圧してサイゴ族が欲しいか
剣:適性があるキャラが各職に散らばっており、十文字斬り以降の技の閃きにちょっと苦労する。その為中盤やや使いにくい印象。技がそろえば強い
槍:足払いを上手く使えるかで序盤の攻略難度が大きく変わる。ただ、剣と同様閃き適性が散らかっているのが難点。無双三段を早めに覚えられれば非常に強い。大車輪が欲しい
弓:序盤のでたらめ矢、中盤の落鳳破など強いことは強いのだが、普通に進めていると強い弓がなかなか手に入らず、中盤威力が伸び悩みやや扱い辛い。強く使うのにひと工夫必要


こんな感じになるでしょうか。ご参考まで。

ということで、長々書いて参りましたが、書きたかったことは

「リベンジオブザセブンは、ロマサガ2の遊びにくかった部分を殆ど解消していてもの凄く面白いので買って損はありません皆さん遊んでください」

だけであり、他に言いたいことは特にありません。よろしくお願いします。


今日書きたいことはそれくらいです。

***


【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo:Nori Norisa

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