“けた違い”の拡大「1時間ごと苦しくて飛び起きる」百日せきの予防ポイント
全国で異例の拡大を見せている「百日せき」。
その名のとおり、激しいせきが続く感染症で、北海道でも感染者数が高止まりしています。
とよひら公園内科クリニックの藤本晶子院長は「本当にひどい月だと20人くらい出た月もあって、開業して21年目だが、多分初めてのこと」と話します。
異例の感染拡大となっている、百日せきを深掘りします。
連載「じぶんごとニュース」
北海道の百日せきの感染者数は、6月以降、8週連続で100人を超えていて、2025年は7月27日までに、1575人に上っています。
2024年1年間と比べても3.6倍の多さです。
そもそも百日せきは、文字通り”激しいせき”が特徴の「気道感染症」で、飛まつや患者との接触で広がります。
主に乳幼児や子どもがかかるとされ、乳児は重症化したり、まれに死亡したりする場合もあります。
大人がかかった場合は、重症化することは少ないとされています。
しかし、感染した40代の女性は「のどの閉塞感が特にすごくて、1時間ごとに苦しくて飛び起きるのが1週間ぐらい続いた」とその辛さを話します。
「1人暮らしなので、このまま息が止まってしまうという恐怖から、119番をセットして、携帯を枕元に置いて寝るという、本当に精神がやられました」
さらに、症状が落ち着いたあともこんな影響が。
「(今も)飲み込みにくかったり、あとは辛い冷たいとかそういう刺激に弱くなってしまったとは感じる。気管支が弱くなってしまったので、薬は毎日1日1回は欠かさず飲んでいる」
いつもと「何かが違う」せき
とよひら公園内科クリニックの藤本院長は、2025年の「百日せき」の感染拡大は”けた違い”で、乳幼児や子どもだけでなく、大人も多く感染しているといいます。
「せきの症状で診察に来る患者も『何か違う』という言う人が多い。『こんな咳したことがない』というか、コンコンってのどから出るせきではなく、ゲホゲホとえづくような」
大人世代は、子どものころに3種混合や4種混合で百日せきのワクチンを打っている人が多いのでそこまで重症化することは少ないものの、「いつもとは違うせき」を訴える人が多いのだそうです。
お盆の帰省などで、人の移動が増えるこれからの時期、症状が出た場合には、マスクの着用を徹底し、早めの受診を心がけてほしいと呼びかけています。
「周りの何でもない人にマスクをしてくださいというのは難しいので、患者側になったときはしっかりマスクをつけてほしい」
特に「コロナ明け」以降の最近は、病院への受診の際のマスクなどの対策の意識が薄くなり、病院に普通に来る人が増えているのだといいます。
「病院に電話を1本かけるくせを、今一度思い出していただきたいなと思いますね」
百日せきの特徴は
百日せきの特徴を見ていきましょう。
厚生労働省によりますと、
▽感染経路は、飛沫感染や感染者との接触感染
▽症状は風邪の症状に始まり、次第に激しいせきへ。肺炎や脳症といった合併症の恐れもあり、乳児はまれに死亡することも。
▽回復には2~3か月ほど
さらに、子どもがかかった場合は、こんな影響も。
▽学校・幼稚園は特有のせきが消えるまで、または5日間の抗菌薬療法が終わるまで出席停止(札幌市の場合)
▽保育園は「政府のガイドラインに基づき対応し、医師の見立てなども含め総合的に判断」
藤本院長による予防のポイントは…
◆マスクの常備を
◆症状が出たらマスクの着用徹底を
今回取材に協力してもらった藤本院長のクリニックでは百日せきに加えて、「新型コロナ」の感染者も相次いでいるといいます。
改めて、できる範囲で”感染対策”をしていきましょう。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年8月6日)の情報に基づきます。