「月見商戦」初本格参入のファミマが、大胆にも「月見バーガー」を売り出していたので食べてみた
月見商戦も落ち着いてきたかと思いきや、このたび2025年9月30日にファミリーマートが名乗りを上げた。同店は「月見背徳メシ」と銘打って、「から揚げ&豚焼肉月見丼」や「月見唐揚げ にんにくマヨパスタ」など、全10種類のラインナップを展開している。
その中に一つ、異質な商品を見つけた。すなわち「チーズに溺れろ! 月見チーズバーガー」である。並みいるバーガーショップの争いの場にコンビニが踏み込んでいる格好だが、ここで注目すべきは、ファミマが月見商戦に本格参入するのは今回が初となる点だ。
初陣で古豪たちを相手取る胆力に、筆者は驚いた。もし今年の月見商戦が映画化されたら、「ファミマが出てくるあの場面がアツい」と、ファンのあいだで語り草になりそうな一幕である。たとえ映画化されなくとも、記事にして残しておくべきであろう。
他の9種類の商品があれば充分そうに見えるが、ファミマはあえて火中に身を投じた。実は最近、これと似た事例を当サイトで取り上げた。大手寿司チェーン「くら寿司」が、9月5日より月見バーガーを発売し、傍目には無関係の戦場に、越境してまで突撃していた件である。
月見バーガーというものには、人間の闘争本能を刺激する作用が秘められているのかもしれない。ともあれ、「くら寿司」に勝るとも劣らぬ勇姿を見せたファミマの腕前を確かめるべく、筆者は「チーズに溺れろ! 月見チーズバーガー」を入手した。価格は税込430円だった。
説明書きに従い、電子レンジに入れて500Wで1分15秒温めたのち、パッケージの上半分を剥く。このままの状態で食べられるようだが、せっかくなので皿の上に出すことにした。
そしてお目見えしたのは、バンズまでチーズにまみれたバーガーであった。「人をチーズに溺れさせたいのなら、まず自分が溺れなくてはならない」と言わんばかりの風体であった。
期待を抱きつつ、こちらもその気合いに応じるようにバーガーを頬張る。ふんわりと柔らかなバンズの食感に次いで、特有の弾力を備えた卵のつややかさを感じ取ったのも束の間、口内に濃厚なチーズの風味が炸裂した。
正直、食べてみると「溺れる」と言うほどではないが、しかしいわゆる月見バーガーよりも、チーズが大きく前面に出ているのは確実である。奥深くに敷かれた玉ねぎが、小気味良いアクセントを演出しているのも特徴的に感じた。
何より好印象だったのは、要冷蔵の商品でありながら、それぞれの具材に違和感がなく、月見バーガーとしての骨格が緩みなく確立されていたことである。「他店の月見バーガーの代替品」に収まらない個性とクオリティを見出すことができた。加えてボリュームにも文句はない。
弱みとなりうる要素を挙げるなら、430円という価格設定だろう。例えばマクドナルドの公式サイトには、月見バーガー単品の最低価格が440円と書いてあり、つまり大手チェーンの価格と大して変わらないわけである。
それならコンビニではなく大手チェーンに行く、という人も出てくるかもしれない。しかし大手チェーンと競り合えるレベルの月見バーガーがコンビニで補給できることは、単純に喜ばしいことではないかと筆者は思う。
そういうわけで、このたびのファミマの勇姿を記した本記事を、筆者は拍手で締めくくりたい。もし同店の月見バーガーに興味の湧いた方がいたら、是非とも手に取って、初陣の熱気を味わってみてほしい。
これから先、月見商戦はいかなる展開を迎えるのか。ファミマよりもさらに大胆な企業は現れるのか。未来はまだ妖しくぼやけている。秋の夜、むら雲に揺らめく月のように。
参考リンク:ファミリーマート ニュースリリース、マクドナルド 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.