甲斐拓也が移籍した巨人とソフトバンクの許盗塁と阻止率を比較 「穴」は埋まったのか?
盗塁阻止率.143、許盗塁6個も重用される甲斐
ソフトバンクからFAで巨人に移籍した甲斐拓也が絶好調だ。これまで打率3割を打ったことのない32歳が打率.353をマーク。正捕手として期待する阿部慎之助監督が自ら現役時代に背負っていた背番号10を与えたが、予想以上にバットで貢献している。
今のところ打者としては申し分のない働きをしているが、本職の捕手としてはどうなのか。まだ14試合とサンプルが少ないため参考程度ではあるが、ここまでの盗塁阻止率は.143。広島・石原貴規(.500)、ヤクルト・中村悠平(.500)、DeNA・山本祐大(.333)、中日・木下拓哉と加藤匠馬(ともに.333)の後塵を拝している。
2018年に盗塁阻止率.447、2021年には.452をマークするなど「甲斐キャノン」と呼ばれた強肩の持ち主としては寂しい数字。ただ、2024年は.284と初めて3割を割っており、目に見えない衰えがあるのかもしれない。
ここまで許した盗塁は6個。中日・岡林勇希、阪神・中野拓夢(2個)、島田海吏、広島・羽月隆太郎、二俣翔一と俊足選手に走られている。
肩だけに関して言えば物足りなさは残るものの、ここまで全試合でスタメン出場。他の捕手は岸田行倫が途中出場したのみで、大城卓三は代打起用、小林誠司は二軍暮らしが続いている。
阿部監督が甲斐を重用するのは強肩だけでなく、「扇の要」としてチームを支える存在を重要視しているからだろう。もちろん、打撃面での貢献も大きい。
開幕スタメンマスクの谷川原健太は二軍落ち
では、長年の正捕手を失ったソフトバンクはどうなのか。下の通り、許した盗塁は8個となっている。
開幕スタメンマスクをかぶったのは、豊橋中央高から入団10年目の谷川原健太だった。3月28日の開幕ロッテ戦では高部瑛斗と小川龍成にいきなり2盗塁を許し、チームも2-8で敗れた。
翌29日の2戦目は6年目の海野隆司がスタメン。しかし、岡大海に走られ、チームも連敗した。
その後、谷川原は計3試合にスタメン出場したが、7日に二軍落ち。12年目のベテラン嶺井博希が10日に昇格し、渡邉陸も含めた3人態勢となっている。
海野の盗塁阻止率は.000。トップの楽天・太田光(.500)からオリックス・若月健矢(.333)、西武・古賀悠斗(.333)、日本ハム・伏見寅威(.250)、田宮裕涼(.222)と続き、ロッテ・佐藤都志也(.000)とともにリーグ最下位だ。
開幕3連敗を喫し、予想外に出遅れたソフトバンク。その要因を捕手だけに求めることはできないが、結果を見ると甲斐の穴は埋まっていないと言わざるを得ない。数字に表れない部分も多い捕手の重要性を考えさせられるシーズン序盤となっている。
※成績は4月14日現在
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記事:SPAIA編集部