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【ふじ・紙のアートミュージアムの「青木一香展」】 鎖状に連なる「無」の字、球体

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は富士市のふじ・紙のアートミュージアムで9月16日まで開催中の「青木一香展」から。
和紙を見つめ、墨を含んだ筆を手に取り、呼吸するように「無」の文字をさらさらと書いていく。沼津市在住の美術家青木一香さんが30年前から取り組むシリーズは、鎖のようにつながった無数の文字を介して作家の、そして鑑賞者の心模様を映し出す。

ガラスケースのような部屋に入ると「無」の字を書き連ねた紙、その紙でつくった球体によるインスタレーションの中に、見る側が「放り込まれる」。点在する球体。太陽系、宇宙の模式図か? と一瞬の解釈。だが、違う。

もっと親密な気配が漂っていることに、じわじわと気づかされる。それぞれの球体が、意志を持ってお互いの距離を測っている。そこには何らかの「事情」や「節度」が介在している。しているように見える。

それは「命」とは何か別のものだ。そうしたものどもの間に、あたかもアナログな感情が漂っているかのように見せている。これこそがアーティストの力だろう。(は)

<DATA>
■ふじ・紙のアートミュージアム
住所:富士市蓼原町1750 富士市文化会館ロゼシアター1階
開館:午前10時~午後6時(9日休館)
会期:9月16日まで

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