土方歳三の記念館が閉館…「おこづかいで買えますか」小学生から届いた手紙【函館】
江戸から明治…激動の時代を生きた土方歳三。その歴史を語り継ぐ場所がまもなく消えようとしています。
函館のマチと湯の川温泉の間にある、「哀愁テーマパーク土方・啄木浪漫館」は10月末で閉館予定。
新選組・土方歳三の足跡をたどる資料の数々を前に、”土方愛”あふれる館長は寂しさを隠せません。
惜しまれつつ消える「土方・啄木浪漫館」を取材しました。
江戸末期に活躍し、新選組”鬼の副長”と呼ばれた土方歳三。
戊辰(ぼしん)戦争で北海道函館市にわたり、1869年に34歳の若さで戦死しました。
その最期の地とされる場所には、いまもファンが足を運びます。
「土方・啄木浪漫館」にも多くの人が訪れます。
1階は土方歳三に関連した資料。2階は函館市にゆかりのある石川啄木の資料を展示しています。
この浪漫館が10月31日に閉館することになりました。
建物の老朽化と、佐藤豊館長が経営していた珍味製造会社の倒産が理由です。
「展示資料は貴重なものばかり。非常に辞めるのは惜しい」
浪漫館は1999年にオープン。
その5年後、HBCは土方に扮した佐藤館長を取材していました。
「土方があなたは俺の生まれ変わりだから『ぜひ記念館をやってくれ』と夢に出た」と当時、話してくれました。
佐藤館長は土方の歴史にまつわる日本刀や文献などの資料を集め続け、その数は1300点以上にのぼりました。
そんな”土方愛”がつまったコレクション。
佐藤館長は、閉館後の行く末を心配しています。
「バラバラになるのが困る。本社の債務を返さなきゃならない。歴史を大切にしている企業が、資料を一括して引き受けてくれるのが望み」
会社の債務返済もあり、展示資料を買って欲しいのが本音です。
そして、消えゆくのは施設だけではありません。
小学生からのお手紙「私のお小遣いで…」
函館で毎年開かれてきた「土方歳三コンテスト」。
なりきりナンバーワンを決めるイベントですが、参加者やスタッフの人員不足により、37回目の今年が最後の開催となりました。
人々から土方の記憶は薄れていくのか…そんな時、浪漫館に来たことがある小学生から手紙が届きました。
「浪漫館に行って土方歳三が大好きになりました。閉館はとても悲しいです。私のお小遣いで展示品を買うことはできますか?」
そんな応援の手紙は、連日届いているということです。
ことし9月の来館者は、去年9月よりも約1.5倍に増えています。
函館戦争の舞台・五稜郭を見下ろすタワーには土方のブロンズ像が展示されています。
土方をはじめとする函館戦争の戦没者を祀る「碧血碑(へきけつひ)」などが函館市内には数多くあり、ゆかりの地をめぐる観光は今も人気です。
土方・啄木浪漫館の閉館は10月31日です。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年10月4日)の情報に基づきます。