年々増える「子どもの教育費」賢く老後資金を準備するには?
子どもの教育費は年々増え続けています。大学の学費はもちろん、習い事や塾、留学費用など、「教育にお金を惜しみたくない」と思う親心は自然なものです。
しかし、ふと気づけば、自分の老後資金の準備が手薄になっていることも…。
この記事では「子どもの未来を応援したい。でも、自分の老後も安心したい」そんな葛藤を抱える方に向けて、どうやって老後資金を準備していくべきかを考えてみます。
教育費と老後資金のバランスを考える
教育費はいくらかける? 無理のない範囲を決める
教育費はどこまでかけるべきでしょうか? 親として子どもの可能性を広げたいと思う気持ちは当然ですが、そのために老後の資金計画を圧迫してしまうのは避けたいところです。
親が出す教育費の上限を決め、家計全体のバランスを考えながら計画的に教育費を貯めていくことが重要です。
教育費の準備方法
教育資金を準備する方法には、さまざまな選択肢があります。
学資保険は計画的に積み立てられるメリットがあり、NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、効率的に増やすことも可能です。
どの手段を選ぶかは家庭の収入、資産状況、教育費がかさむ時期までの年数に応じて慎重に考えるべきです。
子ども自身が負担するという選択肢
親が出す教育費の上限では足りない場合、子ども自身が奨学金を利用したり、アルバイトをしたりすることも一つの選択肢です。
奨学金には、返済しなくて良いもの(給付型奨学金)と、卒業後に返済しなければならないもの(貸与型奨学金)があります。
奨学金は子ども自身が返済額や期間について熟知したうえで、利用を決定することが大切です。
収入を増やすことで、老後資金を貯める
副業や転職で収入を増やす
まだ体力がある若い間にスキルを活かした副業や転職で収入を増やすことは有益です。収入が増えると、老後資金の準備は大きく前進します。
最近では、オンラインを活用した副業やフリーランスの仕事も増えているので、副業を始めるハードルも下がってきています。
働く期間を延ばすことで準備が必要な金額を下げる
定年退職後同じ職場で再雇用として働く、違う職場に就職する、フリーランスの副業を続けるなどの方法で、老後に無理のない範囲で働くことも収入を増やす工夫の一つです。
たとえば、老後の生活費に月10万円の貯蓄を取り崩す必要がある方が、働く期間を延ばすことで月6万円の収入を得ることができれば、取り崩す貯蓄は半分程度に減ります。
このように、働く期間を延ばすことで、必要な老後への準備の金額を下げることができます。
資産運用で老後資金を増やす
iDeCoやNISAを活用して効率よく資産形成
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月積み立てることで将来の年金を増やす制度で、掛け金は全額所得控除の対象になります。つまり、節税しながら老後資金を確保できるのです。
iDeCoは60歳以降に引き出しが可能になるため、「長期でコツコツ貯める」戦略には最適です。
一方、NISA(少額投資非課税制度)は、運用益が非課税となる制度です。特に2025年に始まった新NISAは年間360万円までの投資枠があり、老後資金を増やす手段として非常に魅力的です。
NISAで行う資産運用は、長期にわたり運用することが基本ですが、安全性の高い商品を選ぶことで、運用期間が中期でも活用することができます。
運用しながら取り崩し、老後資金を長持ちさせる
iDeCoやNISAを運用しながら計画的に取り崩す
老後資金は「貯める」だけでなく、「増やしながら取り崩す」ことで、長期間にわたり安定的に活用できます。
iDecoやNISAで運用した老後資金は、定年したからといって全額を現金に換える必要はありません。必要な分だけ現金化して使うことで、今必要ない資産は引き続き運用して増やすことができます。
例えば、適切な投資商品で資産運用した場合、年間4%程度の取り崩し率に抑えることで、資産を30年以上持続させることが可能とされています。
支出を見直し、賢くお金を使う
老後資金を確保するためには、収入を増やすだけでなく、支出の見直しも重要です。
子が独り立ちし、終わり生活スタイルが変わると、お金の使い道が変わります。例えば、親に万が一の事があった時に子どもの教育費を払える金額が下りる生命保険を持っているのであれば、保証額を下げても良いかもしれません。固定費の見直しも、支出のスリム化に役立ちます。
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ここまでで見てきた
・教育費の上限を決める
・収入を増やす
・資産運用を行う
・計画的に資産を取り崩す
この4つを行うことで、老後のお金の心配はぐっと小さくなることでしょう。無理なく将来の生活を安定させるために、今できることを積極的に取り組みましょう。
「子どもの未来も、自分の未来も大切に。」そんなお金のバランスを、今日から意識してみませんか?
【執筆者プロフィール】
アンドリューズ美和子
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファミリーファイナンスアドバイザー/子ども英語アドバイザー
家族の希望を最大限に活かす『教育費を無理なく準備するための家計の仕組みづくり』が好評。得意分野は「iDeCo、NISAを活用した資産形成」。アメリカ留学の経験を生かし、ネイティブ講師の子ども専門英会話教室「アドベンチャーイングリッシュ」を経営。3児の母。
(ハピママ*/キッズ・マネー・ステーション)