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「うつ」で休職中、復職せずに退職する手順は?休職中にもらえるお金や、同僚の視点でも解説します

ささえるラボ

「うつ」で休職中、復職せずに退職する手順は?休職中にもらえるお金や、同僚の視点でも解説します

本日のお悩み

11月から鬱で休職中です。
復職せずに退職を選ぶ場合はどういう手順で退職したらいいのでしょうか?

関係法令をしっかり押さえて、ストレスのない退職を!!

解説者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

ご質問ありがとうございます。
鬱病を患い休職中とのこと。ご質問者さんの一日も早い回復を願うばかりです。
今はゆっくりと体と心を休めてくださいね。

まずは自分の雇用形態を確認しましょう

休職中に退職する際の手順ということで回答させていただきます。
まず、ご質問者さんが、正社員等の無期雇用職員かパートやアルバイトなどの有期雇用職員なのかで、退職の流れが変わってきますので、ご自身がどちらの雇用形態なのかを労働条件通知書や雇用契約書等の事業所との契約内容をご確認ください。

簡単に無期雇用職員・有期雇用職員をご説明すると、雇用の条件に期間の定めがあるかどうかという事になります。
正社員や無期雇用職員であれば、期間の定めなく雇用が継続されていく雇用形態となり、パートやアルバイトなど、有期雇用の場合は、何月何日から何月何日までといったように、期間に定めがある雇用形態となります。
期間満了日を迎えるにあたり、契約更新の取り交わしが行われることになります。

無期雇用契約(正社員など)の場合

関係法令と共に、それぞれの退職のルールや流れについてご説明させていただきますね。
労働基準法では、労働者が10名以上いる場合は『就業規則』というルールの義務付けを行っています。ご質問者さんの事業所にもこの『就業規則』があると思われます。
その内容は、労働時間や休日、懲戒に関する事項や退職に関する事項など、様々なルールが記載されています。その内容は事業者によって異なります。
例えば、退職についても『1か月前に申し出なければならない』や『3か月前に申し出なければならない』など、事業者によってそのルールが異なってくるという事です。

では、この就業規則を順守しなければならないのかというと、そうでもないのです。
退職のルールは民法でも定められており、就業規則のルールよりも民法のルールが優先されることになります。

民法ではどのように規定されているのかという事ですが、『雇用の期間の定めがない場合は、当事者はいつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。』となっています。
よって、退職の意思表示をきちんとすれば、2週間後には退職ができるという事になります。

就業規則で退職の申し入れを1か月後や、3か月後に定めている理由についてですが、
新たな従業員を補填するための猶予期間と考えられますね。
会社側と円満に退職を望むのであれば、就業規則に基づいた退職の申し入れをお勧めします。

有期雇用契約(パート・アルバイト)の場合

パートやアルバイトの有期雇用契約の場合ですと、少しルールが変わってきます。
会社と労働者が、お互いに合意をしたうえでの期間となりますので、原則として契約期間内での退職はできないこととされています。
ただし、結婚や出産等、『やむを得ない事由』がある場合はこの限りではありません。
また、会社と労働者が協議の上、合意が得られた場合も退職が可能となります。
更には、契約期間の初日から1年が経過していれば、自由に退職ができることとなりますので押さえておいてくださいね。

退職の意志表示をすることから始めましょう

退職についてのルールをご説明させていただきましたが、退職の意思表示をすることが大切です。
一般的には、『退職願』や『退職届』となります。
こちらには退職についての詳しい内容を記載する必要はありませんので、『一身上の都合により』と、簡潔に記載される内容でよろしいかと思います。

また、『退職願』の場合は、『退職をしてもよろしいか伺います』といった、承認を得る意味合いになりますので、承認を受けて初めて退職となります。

つまりは、会社が承認するまでの期間は、退職を撤回することもできます。
また、承認されないといったケースもありますので、ご注意ください。

退職が承認されない場合は?

退職の意志が固いにも関わらず、退職が承認されない場合は、『退職届』を再度提出して、
退職の意志が固いことを示すのも良いかと思います。
こちらの『退職届』には、会社の承認を得ずに一方的に退職の効力が発生します。
先述した2週間後には退職できるという事ですね。
退職届を提出した後には撤回は原則できませんのでご注意くださいね。

いずれにせよ、退職の意向を伝えた時点で、特定の事由に該当しない場合は、事業者は退職させないという事はできませんので、まずは上司の方に退職の意向を伝えるのが、よろしいかと思います。

最後に

持病のこともあり、人と会う事や、上司と話すことで病態が不安定になったり、悪化する可能性があれば、退職を伝えるための手段として、内容証明郵便で退職願や退職届を提出されるのもよろしいかと思います。

ご質問、ありがとうございました。

休職中・退職後にもらえるお金は?

解説者/専門家

山本 武尊

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/23

お金の不安を解決!うつ病等で体調不良になった介護職が安心して休むためには

うつ病などを理由に体調を崩し休職中や休職を経て退職をすることになった場合にお金の不安はありますよね。無理に働くことで病状を悪化させてしまうことも少なくありません。

一方で退職をした後もお金の不安は続きます。
ここでは介護職の皆さんが治療に専念して安心して休むことができるようにお金の不安を解決したいと思います。

在職〜休職中について

■ 労災保険の対象か確認をしましょう

まずはうつ病など体調不良の原因を考えてみましょう。

体調不良の原因が長時間労働による場合や業務上過度な負担が原因であった場合、労災保険の対象になる場合があります。労災認定が下りた場合は治癒するまでの医療費やその間の月々の生活費(約6割〜8割)、また障害認定が認められれば、障害補償年金などの所得補償がされます。

ただしこれは明らかに業務に起因するものでないと労災認定がおりません。

■ 会社の休職制度を確認しましょう

一般的にはここからになります。
勤務している事業所の就業規則または休職規定の確認しましょう。

会社に休職制度がある場合はそのルールに従って休職することになります。
休職制度は法律で義務付けれているものではありません。
休職期間や休職時の給与支給の有無は会社によって異なりますが、一般的には無給の会社が多いです。

また休職期間中は社会保険料の支払いは免除されませんのでご注意ください。

■ 傷病手当金(健康保険)の申請をしましょう

ではどこでお金の不安を解決するかというと、社会保険加入の方であれば健康保険から傷病手当金の支給があります。以下の要件を満たせば給与(標準報酬月額)の3分の2が支給されます。

期間は通算1年6ヶ月となります。
この間に復職をされる方もいますし、復職されて再度体調を崩され休職をしても、所得が補償されるため安心して治療に専念できると思います。会社の人事労務担当者に確認してください。

<要件>
・業務外の病気やケガで療養中であること
・療養のため労務不良であること
・4日以上仕事を休んでいること
・給与の支払いがないこと

※標準報酬月額とは、4月~6月の3か月間の給与を平均したものです。

扶養内でパート・バイトをしている場合

上で記載した「傷病手当金」を受け取ることができるのは、自分自身が健康保険の「被保険者」である必要があります。配偶者や家族の扶養控除内でパート・バイトをしている場合は、傷病手当金を受け取ることができません。
逆に、パートなどの雇用形態であっても、自分自身が健康保険の「被保険者」の場合は受け取ることができます。
詳しくは、自分の保険証を確認してみましょう。

退職後について

次に会社の休職期間中に復職ができなかった場合、退職となった場合を考えてみましょう。
以下の制度からお金がもらえます。

■ 傷病手当金(資格喪失後の継続給付)

以下の2点を満たしている場合に限り退職後も引き継き傷病手当金を受けることができます。

<要件>
・退職までに継続して1年以上の被保険者期間があること
・資格喪失時に傷病手当金を受けている、または受ける条件を満たしていること

■ 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)

個別の事情によりますが、1年6ヶ月経過後に傷病手当金の支給がなくなり、それでも症状が回復をしなかった場合には障害年金の受給の可能性があります。
障害等級や世帯構成や月々の収入によっても異なりますが、平均7万円〜15万円ほどの受給が可能となります。

まとめ:休職中・退職後にもらえるお金を理解し、安心して治療に専念しましょう

うつ病を発症された方は非常に真面目な方が多い印象があります。
ある程度の経済的な下支えがあることで持病を抱えながらも安心して働くことが可能な社会保障制度になっています。

治療に専念してまた元気になられ介護職として復帰されることを心より祈っております。

その他退職後に受け取れるお金と、退職後も支払わなければいけないお金は?

退職金や失業給付金も受け取れるかも

退職金

施設によって退職金制度が整っている場合があります。
詳しくはこちらの記事を確認しましょう。

介護職にも退職金は出る?制度の仕組みや金額の目安を知っておこう | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/567

失業給付金

もらえる金額:退職前6か月の賃金(ボーナス除く)の合計÷180 の50%~80%
※年齢によって異なります

もらえる期間:被保険者期間10年未満…90日、10年以上20年未満…120日、20年以上…150日
※受給期間(お金を受け取れる期間)は離職日の翌日から1年以内です。まだ給付日数が残っていても、この期間を過ぎると給付金は受け取れません。早めに申請しましょう。
※離職理由、年齢、雇用保険の被保険者だった期間によって異なります。

【パート・アルバイトの場合】
31日以上の雇用で、週20時間以上のシフトが見込まれる場合は雇用保険の被保険者となり、失業保険を受け取ることが可能な場合があります。(働き始める前にもらう雇用契約書で確認できます。)

【注意点】
・失業給付金を受け取るには、雇用保険の加入期間が離職前の2年間で、通算12か月以上なければいけません。
・失業給付金を受け取るには、ハローワークで所定の申請を行う必要があります。
・実際に給付金が支払われるのは、自己都合退職の場合、申請の2~4か月後です。

退職後も支払い続けなくてはいけないお金とは

「健康保険」「国民年金」は、在職中は給与から天引きされている場合が多いですが、退職後は自分で支払う必要があります。

・健康保険
2年間までは、それまで加入していた健康保険を任意継続できます。保険料は健康保険組合ごとに異なります。
国民健康保険に加入する場合は、保険料は地域ごとに異なります。

・国民年金
保険料は、月額16610円(令和3年度)です。

うつ病で休職する同僚のことを「ずるい」と思ってしまう…そんなときは?

解説者/専門家

島田 友和

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/8

うつ病で、同僚が休職してしまった…。
そんなとき、今まで一緒に働いてきた周りの職員や、その方のぶんの仕事を負担する同僚も、いろいろな思いを抱えるはずです。

そんなときの対処法や切り替え方を教えます!

うつ病とは?

一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。

日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。

対処法① うつ病を理解する

うつ病を理解することで休職者に対しての考えや感情が変化します。うつ病は誰でもなる可能性があります。

うつ病は、しっかりと休養をとることが大切です。
うつ病の治療を考える前に、まず、心身の休養がしっかりとれるように環境を整えることが大事です。職場や学校から離れ自宅で過ごす、場合によっては、入院環境へ身を委ねることにより、大きく症状が軽減することもあります。精神的ストレスや身体的ストレスから離れた環境で過ごすことは、その後の再発予防にも重要です。

うつ病の治療には、医薬品による治療(薬物療法)と、専門家との対話を通して進める治療(精神療法)があります。また、散歩などの軽い有酸素運動(運動療法)がうつ症状を軽減させることが知られています。

引用:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス (厚生労働省のページに遷移します)

対処法② 「セルフモニタリング」をしてみる

「セルフモニタリング」とは?

自動思考(その時々に頭に浮かぶ考えやイメージ)に気づきを向けるトレーニングです。

「ずるい」と思った瞬間にリアルタイムで気づくことを指します。
「自分はこの人をずるいと思っているんだな」と、もう一人の自分が自分を眺める感覚です。眺めていると自分の思考や気分・感情に巻き込まれずに距離をとれるようになっていきます。客観的に眺められるようになると、手放せるようになってきます。

自分の思考や気分・感情に評価・判断・分析せずにそのまま受け止めることをマインドフルネスと言います。ストレスに対処するうえでも、ずるいと思っていることに気づかなければ対処できません。まず、このトレーニングをしてみてください。このセルフモニタリングだけでもかなり効果があります。

「ずるい」と思った瞬間を客観的に見つめてみよう

ずるいと思った瞬間のことを紙に具体的に書き出し整理しましょう。

いつ:○○年○月○日○○時○○分
どこで:スタッフルームで
誰に:上司の○○さんからの共有
ずるいと思ったきっかけ:○○の理由で

次にその時の自分の体験を書き出します。
認知:休んでずるい
感情:イライラ、モヤモヤ
行動:舌打ち
身体反応:少し重い感じ

※ネガティブな態度や行動は、自分も相手も傷つきますので建設的な行動をしていきましょう。同じような状況になった時は、ゆっくり深呼吸してみましょう。

このように書き出して整理しておくことでデーターベースができてきます。同じような状況になった時に対処しやすくなります。

自分の「ずるい」という気持ちと向き合ってみる

紙に書いたことを見返し、その場面をありありとリアルに思い出して、どうしてずるいと思ってしまったのか内省してみましょう。心に問いかけてみましょう。ずるいと思った背景を考えてみてください。

たとえば、
・私だって本当は休みたいよ・・・。羨ましいなぁ。
・いまも人員不足なのに、もっと大変になる・・・。
・もう限界なのに、もっと私が頑張るしかないのか・・・。

自分の体験を充分に体験すると気持ちが落ち着いてきます。落ち着いて少し冷静になったらずるいと思われた相手はどんな気持ちなのか、反対に自分がずるいと思われたらどんな気持ちなのかイメージしてみてください。

マインドフルネス呼吸法も試してみて

姿勢はあたまのてっぺんが天井に引っ張られるイメージをしましょう。呼吸に意識をむけゆっくり吸って、ゆっくり吐いて呼吸を整えます。
自分の中にたまっていたネガティブ、悪いものを全部外に出すような気持ちで吐いてください。全部だしきったら、きれいな空気を思う存分吸ってください。そのエネルギーが体全体に広がる感覚を十分に味わいましょう。

これを数回繰り返して、心身がリラックスしたら自分の頭のてっぺんから足の爪先まで、サッとスキャンするような感じでいまの自分の体の感覚にあるがままに気づいてみましょう。今の自分のちょっとした感覚、変化に気づくことができます。ゆっくり深呼吸して心が穏やかな状態、マインドフルな状態になりましょう。

対処法③ プローブ(いたわりの言葉かけ)をやってみる

マインドフルネス呼吸法をした後に、自分にいたわりの言葉かけをしてみましょう。
いたわりの言葉を聴きながら、自分の心やからだの感じにどんな変化が生まれてくるか感じてください。

・「○○さんは、本当に頑張りましたね。本当によく頑張ってきましたね」
・「自分にやさしくてもいいんですよ。あなたは、もっともっと自分にやさしくしてあげていいんです。」
・「○○さんのせいじゃないよ。あなたは悪くないよ。」
・「○○さんは、怒っても、いいんですよ。もっと怒ってもいい。」

どの言葉かけが、心や体の感じが反応しましたか。その感じをしっかり味わってみてください。
これ以外でも、自分が言われて嬉しい言葉がありましたら、自分に言葉かけをしてみてください。

対処法④ クリアリング・ア・スペース(心の整理術)を試してみる

ずるいなと思うと、モヤモヤしたり、イライラしてしまいます。
ずるいと思った時は、ずるいを認めて、眺める。ずるいの「置き場所」をつくってください。そのうち距離がとれて気にならなくなります。

クリアリング・ア・スペースはフォーカシングの中の1つの方法です。部屋の掃除をするように心の部屋もお掃除をするイメージです。心の部屋を掃除して整理整頓できると、スッキリして気にならなくなり、楽になります。

ネガティブな感情、モヤモヤなどの気持ちを「認めて、眺めます」。認めて眺めていると、自分と「ずるい」との間におのずと「間」がとれてきます。自分の内側に意識を向けながら、「どこに置いておけばいいのかなぁ」とやさしく問いかけてみましょう。

机の引き出し、ビンの中、金庫の中、公園のベンチ、山の上、海がキレイな砂浜など、自分が落ちつく場所に置いておきましょう。うまく置けないようなら、場所を変えてみましょう。
※置くことがしっくりこない時は、ずるいがどこにいきたかっているか問いかけてみてください。

これらの対処法を試してみて、効果があったものをできる範囲で実践してみてください。スキルがアップすれば効果も高まります。

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