KDDIとJAL、遠隔操縦者1名でドローン3機を同時運航に成功
KDDI株式会社(以下、KDDI)、日本航空株式会社(以下、JAL)は2024年5月15日、埼玉県秩父市吉田地区において、1名の操縦者が都内より遠隔操縦の上、ドローン3機体を同時運航し、防災用品・食品を配送する実証(以下、本実証)に成功した
本実証はNEDOが推進する「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」の一環として実施した。なお、本実証はドローンの搭載カメラから歩行者を確認するなど一定の条件を満たせば、地上の補助者や立ち入り管理措置が不要となるレベル3.5飛行で実施した。
本実証では、KDDIとKDDIスマートドローン株式会社が共同開発する運航管理システムに、JALが航空事業で培った安全運航の知見・ノウハウに基づく機能の追加やオペレーション・プロシージャーを組み合わせ、安全・安心に複数機を遠隔操縦できる体制を構築の上、実施した。
2社は1対多運航の事業化に向け、今後も運航要件の検討や運航管理システムの開発および実証を行い、ビジネスモデルの確立に向けて取り組んでいくという。
また、本実証の知見を活用し、1対多運航に関するルールづくりを推進し、より安全かつ効率的なドローンの社会実装を目指すとしている。
1名の操縦者による3機体同時運航の様子
背景
物流の2024年問題や生産年齢人口の減少に伴う労働力不足、社会インフラの老朽化、地域の過疎化や高齢化など、国内におけるさまざまな社会課題の解決に向けて、1名の操縦者が複数のドローンを運航する1対多運航が期待されているという。
「1対多運航」のイメージ
本実証について
実施概要
1名の操縦者が同時に複数機を安全・安心に遠隔操縦できる体制づくりとして、運航管理システムおよびオペレーション・プロシージャーを検討・開発し、その有用性を検証した。
限られた情報を基に的確な状況把握・判断が必要となる遠隔操縦においては、自動運航される機体の運航状況や気象状況について、運航管理システムを通してリアルタイムかつ精緻に監視の上、必要に応じ手動操作を加えるなど、高度なドローン運航管理が求められる。
複数機(本実証は3機)の同時運航においては、システムの自動化と情報集約を進めるなかで、操縦者とシステム(マン=マシン・インターフェイス)の役割分担を明確化した安全管理体制の構築がさらに重要だ。
本実証では、運航管理システムの表示機能の改善・向上とともに、イレギュラー時も含めたオペレーション・プロシージャーを構築し、1名の操縦者が遠隔自動操縦にてドローン3機体を安全に運航の上、防災用品・食品の同時配送が可能なことを検証した。
運航管理システム画面:複数機体の情報表示は直観的なUIデザインとし、視点移動を抑えるレイアウトの仕様を開発
実証場所(飛行ルート)
埼玉県秩父市吉田地区
ルートA:秩父市吉田総合支所⇒阿熊地区(約2.5km) ルートB:道の駅 龍勢会館⇒阿熊地区(約2.5km)
本実証における飛行ルート
使用機体
防災用品・食品を運ぶ「PD6B-Type3(PRODRONE製)」項目詳細全長2181 x 2398mm高さ676mm最高飛行速度60km/h最大航続時間約35分最大ペイロード30kg ※推奨20kg
各社の役割
会社名役割KDDI本プロジェクトの実施主体
1対多運航に対応した運航管理システムの開発
1対多運航に対応した機体の開発
1対多運航の事業性検証JAL1対多運航のオペレーション要件の検討
本実証の実施に伴う申請手続の実施
検討したオペレーション要件に基づく運航の実施
1対多運航の事業性検証
KDDI
JAL