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春の紫外線は要注意! ビタミンB不足も意識した“ほどよい日光浴“

ミキハウス

春の紫外線は要注意! ビタミンB不足も意識した“ほどよい日光浴“

子どもとのお出かけが楽しくなる春。この季節のお出かけでもっとも注意したいこと。それは紫外線です

紫外線から受ける健康被害は問題視されていますが(※1)、一方で極端に日を避けることのデメリットも報告されています。

そこで本記事では、日を浴びることのメリットもデメリット、紫外線に対する基礎知識について、国立国際医療研究センター小児科診療科長の七野浩之先生への取材をもとにまとめます。

目次紫外線のメリットとはどんなものがある?春の紫外線は曇りの日でも対策が必要です“ほどよい”赤ちゃんの紫外線対策

紫外線のメリットとはどんなものがある?

そもそも紫外線は光の一種。下の表にあるように光は波長によって長いものから「赤外線」「可視光線」「紫外線」と分かれます。可視光線は読んで字のごとく目に見える光のことで、それ以外の赤外線と紫外線は目に見えない光となります。紫外線(UV=ultraviolet)と言われますが、その中でも波長によってUV-A、UV-B、UV-Cにわかれます。

紫外線のように波長が短い光は、細胞の中に入りやすいという特徴があり、それだけ細胞にも影響を及ぼすということになります。

紫外線を浴びるメリットとして、体内のビタミンDを生成するという働きもありますが、これも光が細胞まで及んでいるから。日焼けも、これと同じで、紫外線が肌の細胞を壊してしまった症状のひとつです。日焼けがひどいとヒリヒリして痛みが出るのは、肌の細胞が壊されたからです」(七野先生)

紫外線を浴びすぎると肌に影響を及ぼすことになりますが、一方で体内のビタミンDを生成するという大きなメリットもあります。ビタミンD欠乏症は骨の発育不良を起こし、「くる病」の原因にもなります。昨今は、日焼け防止を徹底するあまりビタミンDが不足しているママも多いといわれています。また乳幼児のビタミンD欠乏症が増加しているとのこと。紫外線対策は必要ではあるのですが、あまり過度にはせず、日光浴のメリットについても意識されたほうがよいかもしれません。

春の紫外線は曇りの日でも対策が必要です

紫外線の強さは太陽との位置関係や天候と大きく関係しています。同じ気象条件なら、太陽が真上に近いほど紫外線が強くなります。

こちらの図は、1997年から2014年に札幌、つくば、那覇で観測された紫外線(UV-B)照射量の平均値をグラフにしたもの。紫外線は南に行くほど多く降り注ぎ、夏に強く冬に弱くなっていることが分かります。

なお地表に降り注ぐ紫外線には、UV-AとUV-Bの2種類があります。上記の表はUV-Bの照射量を示したもので、この場合は春よりも夏の方が、照射量が多いことがわかります。一方、UV-Aは春先から4月〜8月にかけて照射量にあまり変動がありません。

特にUV-Aは雲やガラスなども透過する性質を持っているので、天気の悪い日でも、室内や車内にいても、思いもかけず肌にダメージを蓄積させていることもあります。春から紫外線対策が必要だというのは、そうした背景があります。

時刻別にみると紫外線量が一番多くなるのは正午前後で、午前10時から午後2時までの間に夏は一日の照射量のうちの約60%、冬は70~75%が降り注いでいます。もっとも紫外線量が多いのが夏場も冬場も12時〜13時となっています。

メラニンがつくられにくい「色白」の方ほど紫外線対策が必要です

紫外線には直接太陽から届くもの、何かに当たって散乱して届くもの、地面などで反射して届くものがあります。屋外で日陰にいても日焼けをするのは、散乱や反射した紫外線が当たっているから。雪山や砂浜でひどい日焼けをしてしまうのは、そういう理由があります。

「そもそも日焼けというのは私たちのからだが紫外線にさらされることで、メラニンという色素が表皮につくられ、それに覆われることで肌の色が褐色になる状態を指します。先程、『紫外線が細胞を壊す』というお話をしましたが、表皮がメラニンに覆われることで、体内の細胞や遺伝子が傷を負わないように守ってくれるのです」(七野先生)

人種や住んでいる地域によって肌の色がさまざまなのは、このメラニンが大きく影響しているため。メラニンが多いほど肌は黒く紫外線に対する抵抗性があり、少ないほど色白で紫外線への抵抗性がないということになります。

黄色人種である日本人は、“世界レベル”でみるとメラニン量はちょうど中間くらい。メラニンの多い人も少ない人もそれぞれいますが、より紫外線への抵抗性がない色白の方はメラニンがつくられにくい体質だと考えられるため、しっかりとした紫外線対策が必要になってきます。

“ほどよい”赤ちゃんの紫外線対策

「紫外線の害のうち急性疾患の代表は日焼けです。ただこうした疾患は時間が経てば自然と治ることは経験したことがあれば誰でもご存知でしょう。一方、慢性的な疾患としてはシミやほくろ、皮膚がん、白内障などがあります。

目の水晶体の白濁によって視力が落ちる白内障は、高齢者の発症が多いことから長年紫外線を浴びることが関係するのではないかと言われています。ただ長期的な紫外線の影響については個人差もあり、原因と結果を断定することは非常に難しい」(七野先生)

長期的な紫外線の影響――特に皮膚がんについては個人差もさることながら、地域間、人種間でも大きな差があると七野先生。たとえば世界でもっとも皮膚がん発生率の高い国のひとつと言われるオーストラリアでは、70歳までには3人に2人が発症し、毎年多くの方が皮膚がんで命を落としています。

皮膚がんの最大の原因は過度に紫外線にさらされてしまっていることと言われています。

「皮膚がんについてはさらなる注釈が必要です。そもそも日本人など有色人種では皮膚がんの発症率が低い。もちろん全くないわけではないですが、紫外線のほかにも原因があることも分かっていますので、そこは知識として知っておいた方がいいかもしれません」(七野先生)

紫外線対策のやりすぎはビタミンD欠乏症の要因にもなり、まったくやらなければ大小さまざまな皮膚への疾患が起こりうる。では、“バランスのいい紫外線対策”とはどのようなものなのでしょうか。

環境省が発行する「紫外線 環境保健マニュアル」(※2)では、以下のような紫外線対策が奨励されています。

特に乳児については、「赤ちゃんの日光浴で気をつけること」として長い間日光に当てないようにし、日差しの強い9時~ 15時頃を避け、朝夕の涼しい時間帯に外出する。さらにベビーカーのカバーなどで強い日差しが直接当たらないように工夫することなども付け加えられています。これは、赤ちゃんが大人と比べて皮膚が薄く、紫外線の悪影響を受けやすいため。また雲に覆われた薄曇りの日でも、紫外線は80%以上透過しているので、くれぐれも油断してはいけません。

ビタミンDを生成するために必要な日光浴の時間は、地域や天候、季節によって大きく異なります。一般的には15~30分が目安と言われますが、外出にまだ慣れていない小さな赤ちゃんの場合は、まず1日5分くらいから始めるのがよいでしょう。

「長い時間直射日光に当たらないようにすることが、紫外線の害を受けないための最良の対策といえるでしょう。ただ、紫外線の強さは住んでいる地域や季節で違いますから、どの程度が許容範囲かはママ・パパの経験を生かして考えていただくのが一番確実かもしれません。そして紫外線がビタミンDをつくり出す大切な役目を持っていることも、無視してはいけません。紫外線についての正しい知識を身につけて、赤ちゃんの健康を守ってもらえるといいですね」(七野先生)

いかがでしたか?紫外線対策をしつつ、気持ちのいい日には日差しを適度に浴びながら、赤ちゃんと一緒にお出かけを楽しんでくださいね。

<参考資料>※1「オゾン層保護(ウィーン条約とモントリオール議定書)」(外務省HP/2018年12月19日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/ozone.html※2「Be SunSmart」(Cancer Council Australia/2018年)
https://www.cancer.org.au/preventing-cancer/reduce-your-risk/be-sunsmart.html

<!--※3「紫外線 環境保健マニュアル2015」(環境省/2015年3月改定)
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_full.pdf-->

七野浩之(しちの ひろゆき)

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 小児科医師。専門分野は小児血液腫瘍学、小児がんの子どもの長期フォローなど。

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