土地取引の指標を簡単表示。「不動産情報ライブラリ」地価公示・地価調査の便利な検索・表示方法
不動産情報ライブラリとは?
国土交通省では、円滑な不動産取引を促進する観点から、オープンデータ等を活用し、不動産取引の際に参考となる情報(価格、周辺施設、防災、都市計画など)を重ね合わせて表示できるWebGIS「不動産情報ライブラリ」の運用を令和6年4月より行っている。
不動産取引の際に参考となる情報の多くは、国や地方自治体などの複数の機関から、さまざまな形式で公開されているが、不動産情報ライブラリは、これらの情報を一元的に集約しており、簡単に誰でも無料で閲覧できる。
また、地図上でのデータ閲覧だけではなく、掲載情報の一部をAPIで取得でき、民間事業者や自治体の新たなサービス創出の基盤となることが期待されている。
不動産情報ライブラリ:https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
今回は、不動産情報ライブラリのコンテンツの中でも注目度の高い、土地取引の指標となる地価公示と地価調査について紹介する。
地価公示と地価調査について
地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が標準地を設定し、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を判定し公示するものであり、地価調査は、国土利用計画法に基づき、都道府県知事が基準地を設定し、毎年7月1日時点における基準地の標準価格を判定し公表するものである。
土地は衣服や食品のように頻繁に取引されるわけではなく、全く同じ土地というものは二つとないという特性があるほか、取引する人の事情や動機によって価格が左右されがちである。そのため、土地の適正な価格がいくらであるか一般の人にはわかりにくくなっているが、地価公示や地価調査は、土地の取引の際に、土地の適正な価格を判断するにあたっての客観的な目安等として活用いただくことが可能である。
詳細は制度と用語を確認してほしい。
(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/about/)
不動産情報ライブラリでは地価公示・地価調査を簡単に確認できる。確認方法は「地図から検索」と「データ検索」の2種類がある。下記でその方法を紹介する。
不動産情報ライブラリでの検索・表示方法(1)地図から検索
地図上での検索方法を紹介する。
(1)不動産情報ライブラリのトップ画面から地図表示を選択(図2)
(2)「価格情報」タブで地価公示・地価調査にチェックし、必要に応じて「条件設定」で用途区分や調査年※を選択できる。(図3)
地図表示は位置情報が付与されている平成15年からのデータが対象となる。それ以前のデータを検索したい場合は後述する「データ検索」を活用してほしい。
※調査年で最新年を指定すると令和7年度地価公示と令和6年度地価調査が表示される。それ以外は指定した該当年度の情報が表示される。令和7年は、令和7年6月時点では地価公示のみ公表されているため、地価調査は表示されない。最新の地価調査を確認したい場合は、最新年もしくは令和6年を選択してほしい。
(3)条件設定で設定後、決定を押すと地図上に地価公示・地価調査が表示される。地価公示は○、地価調査は▲で表示されている。詳細は「凡例」を確認してほしい。
(4)地図上で確認したい地価公示・地価調査の地点をクリックするとポップアップがでる。「詳細表示」で個別画面が出るので詳しい情報を確認できる。地価公示に関しては、過去5年分であれば鑑定評価書の内容も確認できる。(図4)
各画面の詳細や確認方法は下記に示すURLを確認してほしい。
地価公示の個別画面の見方はこちら
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/manual/#manual6
地価調査の個別画面の見方はこちら
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/manual/#manual7
地価公示は鑑定評価書も確認可能。
鑑定評価書の見方については下記のURLを参照のこと。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/realEstateAppraisalReport/manual/
不動産情報ライブラリでの検索・表示方法(2)データ検索
データ検索の方法をご紹介する。データ検索では、地価公示は昭和45年、地価調査は平成9年より検索が可能である。
(1)不動産情報ライブラリのトップ画面→「地価の情報をご覧になりたい方へ」で「データの検索」を選択。(図5)
なお、本項目では詳細を割愛するが、「データのダウンロード」では、2021(令和3年)~2025(令和7年)の鑑定評価書情報(CSVファイル)をダウンロードできる。
(2)区分(①)、地域※(②)、用途区分(③)、調査年(④)に検索したい項目をいれる。個別の地点名がわかる場合は、「標準地番号・基準地番号から検索」(⑤)が便利。地点名を入れると候補が出る。(図6)
※地域の地名選択は、データがある地域のみリスト表示される。候補がでない地域は地点がない地域となるのでご注意を。
(3)候補から地点を選択し、一覧表示を押すと該当の地点の情報が表示される。
(4)「標準地番号または基準地番号」をクリックすると個別画面(①)が、「所在及び地番」をクリックすると該当の地点の地図(②)が表示される。(図7)
そのほかの項目は下記のURLを参照のこと。
地価公示の一覧表示
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/manual/#manual4
地価調査の一覧表示
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/manual/#manual5
APIでの提供
地価公示・地価調査のデータをAPIでも提供している。
1995(平成7)~最新年(令和7年6月時点では、地価公示は2025年(令和7年)、地価調査は2024年(令和6年)まで)の情報が取得できる。
APIの詳細情報は下記を確認してほしい。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual/#titleApi8
取得したデータをぜひいろいろな用途で活用していただきたい。
活用事例の紹介
地価公示及び地価調査は土地の価格の推移を見ることができるため、過去のデータと比較し地域経済の動向を探るなど、様々な分析に用いられている。
国土交通省では主要都市の高度利用地等を対象として、四半期ごとの地価動向を調査し先行的な地価動向を明らかにする地価LOOKレポートも公表している。
不動産情報ライブラリと併せて活用していただきたい。
地価LOOKレポートの詳細はこちら
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk4_000050.html
■活用事例
実際に不動産情報ライブラリを活用している事例も紹介する。
つくるAI:デベNAVI(デベロッパー向け物件管理システム)
株式会社つくるAIは、デベロッパー向けのサービスとして「デベNAVI」を提供している。
「デベNAVI」は、地番を選ぶだけで、周辺の用途地域や日影規制、容積率、道路幅員を取得でき、独自開発のAIによって、自動でボリュームチェックができる。
また、ボリュームチェックに基づいた、開発用地想定での土地代も瞬時にシミュレーションできるため、「不動産情報ライブラリ」の地価公示・地価調査情報を取得するAPIと連携し、その土地代の妥当性を瞬時に確認できる。
今後は、防災情報や学校などの周辺施設情報、人口推計情報等も掲載し、土地購入検討ための情報を充実させていく予定とのことである。
「デベNAVI」の詳細はこちら
https://tsukuru-ai.co.jp/deve-navi
ご意見募集中
今回は地価公示・地価調査の便利な検索・表示方法を紹介した。今後も継続して便利な利用方法を紹介していく予定なので注目してほしい。
不動産情報ライブラリでは、随時アンケートにてご意見を募集している。
掲載してほしいデータやAPI提供してほしいデータがある方はぜひ利用者アンケートに回答をお願いしたい。
アンケートはこちら
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/questionnaire/
前回、今回と紹介した活用事例以外にも不動産情報ライブラリを通じて不動産取引を促進する流れが広がっている。直近では内閣府が公開している「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」の別冊「地理空間データ連携基盤」において、不動産情報ライブラリのAPIが紹介されたほか、不動産情報ライブラリのAPIを活用した取り組みである広島県のDoboxについても紹介されている。広島県のDoboxについては今後改めて紹介予定である。
「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」の別冊「地理空間データ連携基盤」はこちら
https://www8.cao.go.jp/cstp///society5_0/smartcity/scra-gs_2_3.pdf
上記のように、不動産情報ライブラリの活用事例がある場合も、ぜひ上記アンケートのURLからご連絡いただければ幸いである。