【第1回】釣りルールとマナーの基本遊ぶ前に知っておきたい最低限の知識
HEATでは魚釣りを末永く楽しむために、また、魚釣りの社会的地位をより盤石にするため、「釣りのルールやマナー」に関して、日ごろから協力してくれているライターさん向けにアンケートを実施。その結果と貴重な意見をまとめ、今後の釣り人への指針となるようお伝えしていこうという当企画。
その第1回は、釣りという「遊び」の本質と、釣りをするうえで知っておかなければならない、守らなければならない「すべての釣りジャンルに共通する最低限の知識」についてお届けしたい。
「あくまで遊び」を肝に銘じて
太古の昔、魚釣り(魚獲り)は人類にとって食料を得て命をつなぐための生活手段のひとつだった。時代は進み魚釣りを生業とする漁が盛んになると同時に、生活に余裕が生まれると釣りは趣味のひとつにもなった。
われわれは楽しみのために魚を釣るアマチュアアングラーだ。そう、われわれの釣りはあくまで遊び、趣味なのである。自然界で魚を釣ることで楽しみを得ているのである。一方、プロの漁師さんは違う。生活がかかっているので命をかけて漁に出ることもあるだろう。
生活がかかった漁師さんの漁と、あくまで遊びであるわれわれアマチュアの釣りを同列に語ることはできない
スポーツフィッシングという言葉があるが、勘違いしてはいけないのは「魚は楽しみを得るための道具ではない」ということだ。生き物なのだ。魚という自然の恵み、命に感謝しなければならない。
海や川や湖や池、すべての自然は自分だけ、さらには人間だけのものではないということを、しっかり肝に銘じて釣りを楽しもう。
以下、「釣りってどんな遊び? 知っておきたい最低限のルールは?」という問いに対する回答をもとに、安全面への配慮や釣りのルール・マナーをまとめてみた。
まずは安全を心がけて!
まずは安全面。
釣りに限ったことではないが、楽しく遊ぶためには、まずは安全面への注意と配慮、そして準備を整えたうえで楽しむ必要がある。以下のポイントを押さえておこう。
●釣りはあくまで遊びである以上、命がけではいけない。安全第一だ!
●天候、気象、海況(の確認)
●自分の安全確認
●周囲への安全配慮
●充分睡眠をとる(無理な長距離運転も×)
●ライフジャケット、グローブ、キャップなど安全装備を身に付ける
●家族を心配させない(行動計画の周知)
安全第一! ライジャケやフィッシュグリップなど安全装備、安全対策を徹底しよう
「とにかく無理をしない」「自分の命は自分で守る」「家族に心配をかけない」「他人に迷惑をかけない」ということが何より大切だ。
水辺を利用する際のルール
海や川、湖は誰のものでもなく万民共有の財産(ため池など所有権があることも)だが、水辺に接する陸地部分はその限りではないし、水域や魚種よっては漁業権が設定されていることもある。それらは禁漁期間や禁止漁法も含め各都道府県ごとの漁業調整規則に定められているので、われわれアマチュアの釣り人も従わなければならない。すべての水域で自由に釣りができるわけではないことを踏まえておこう。
ローカルルール遵守!
釣り場でまず気を付けたいのは、「立入禁止・釣り禁止」になっている場所(多くの場合は禁止の看板などが設置されている)に進入しての釣りを絶対にしないことだ。また、地元の漁協などに漁業権があり遊漁料が設定されている場所(河川などに多い)は、必ず入漁料を支払う(遊漁券購入)必要がある。
●立入禁止、釣り禁止エリアに進入して釣りをしない
●遊漁料が設定されている場合は、必ず遊漁券等を購入してから釣り場に入ること
立入禁止区域や釣り禁止区域では絶対に釣りをしてはいけない!
「立入禁止・釣り禁止」の理由はさまざまだが、要するにそのエリア独特のルールを遵守するということ。遊漁料未払いで釣りをするのは「密漁」にあたり検挙されることもあるので絶対にアウトだ。
禁漁期間や体長制限など地域ごとに定められたルールに従うこと迷惑行為を絶対にしない!
当たり前だが「人に迷惑をかけない」ことも重要だ。「魚釣り」だからということではなく人として最低限のマナー。守るようにしよう。
●違法駐車をしない
●騒音を立てない
●釣り場にゴミを放置しない
●釣りをしたあとは必ず清掃する
●トイレ以外での用足し、喫煙など周囲に気を配ること
●漁業者への配慮
漁港などで釣りをする場合は、漁具には絶対触れず漁船などに勝手に乗り込まないこと。漁師さん相手に限らず、釣り場周辺の住民に迷惑をかけないことが釣り人としてのマナーだ。
広い漁港の敷地などで地元の人が駐車して釣りをしている場合もある。駐車禁止の表示がなくても地元の人に駐車可能かの確認をとったほうがよいだろう
漁港内で釣りができる場所もあるが、許可なしに漁船に乗り込んだり漁具などに絶対触れないように!みんなで仲良く釣りをしよう!
釣り場でのコミュニケーションも大切だ。
●挨拶、声かけ
●先行者優先
●無理な割り込み禁止(声かけ)
●他ジャンルの釣り方への理解と配慮
混雑する釣り場では「横で釣りさせてもらっていいですか?」などの声かけと配慮が必要だし、渓流釣りなどで川を遡行する場合は先行者を追い越さないのが暗黙のルール。また、エサ釣り・ルアー釣りなどの釣り方の違いで、それぞれの釣りに迷惑をかけることがあるので、お隣とある程度の距離を取るなど注意が必要だ。
混雑した釣り場では無理やり間に割り込まないように。スペースがある場合も、一声かけてから釣りをさせてもらおう
渓流釣りやアユ釣りなど川を遡行する釣りでは先行者優先。決して追い越して川を遡ってはいけない
魚類保護に向けての心がけ
末長く釣りを楽しむために、そして多くの人と同じ楽しみを分かち合うためにも、魚を減らしてしまっては元も子もない。
釣りや釣り場の将来を考えると、魚と釣り場の扱いには配慮が必要だ
自然の恵み、魚に敬意を!
釣果、魚の取り扱いに関しては以下のような具合だ。
●リリースする際は、できるだけ魚を弱らせず水に帰す
●規定サイズを守る
魚種や地域によって「何cm以下の魚は水に帰すこと」という規則があるので、これは絶対守ること。
●ゲスト魚、エサ取りなどを放置しない
防波堤や磯などでけっこう見かけるのが干からびた魚たち。目的以外の魚が釣れた場合は優しく海に帰してやろう。ハリに掛かったフグやキタマクラを地面に叩き付けて殺す…などという人も以前は見かけたが、心が痛まないのだろうか?
●必要以上に魚をキープしない
よく釣れるからといって、必要以上に食べきれないものまで持ち帰るのはいかがなものか? ということ。「めったにない大漁だから」ということもあるだろうし「親戚や知人に配る」ということもあるだろうから、一概にダメとはいえないが、いずれにしても「節度をもって」魚をキープするようにしよう。
これ以上釣っても食べきれない……。釣果の持ち帰りは節度をもって現代独特の問題
その昔はスポーツ紙や釣り雑誌ぐらいでしか釣果情報を得ることはできなかったが、現在ではSNSなどでリアルタイムに釣り情報を得られるのが普通になった。
●SNSでの投稿は慎重に。さまざまなことに配慮して
SNSで情報を発信すると「情報を見て釣り人がワッと押し寄せ、その釣り場がダメになる」ということも、なかにはあり得る話。
「たくさん釣れた」と自慢したい気持ちも分かるし、逆に「自分たちだけで密かに楽しんでいた釣り場を知られたくない」という気持ちも当然なので、一概に情報発信がダメとも言えず、ひじょうに難しいところである。さまざまな状況を加味し、慎重に投稿するという配慮が求められる時代だ。
現在はリアルタイムで釣り情報が得られる便利な時代。それだけに、すぐに釣り場がダメになることもある……
「知っておきたい最低限の知識」まとめ
今回は釣り全体に共通するルール、マナーをまとめたが、われわれアマチュアアングラーは「自然界で遊ばせてもらっていることに感謝し、節度をもって……」が大原則だ。
最後に、改めて今回のポイントをまとめておくので、ポイントを参考に気持ちよく、安全に釣りを楽しんでいただきたい。
ルールやマナーを守り自然の恵みに感謝しながら釣りを楽しもう!
【今回のポイント】
●安全第一!
・天候・気象・海況の確認を
・装備・十分な睡眠など、自身の安全確保を
・家族への連絡も含め、しっかりとした行動計画を
・周囲への配慮を忘れずに
●釣り場を汚さない
・ゴミを放置しない
・エサなどで汚れたら清掃する
・トイレは決められた場所で
●釣り場に迷惑をかけない
・釣り禁止・立入禁止の場所で釣りをしない
・施設利用料・遊漁料が必要な場合は、確実な支払いを
・違法駐車をしない・決められた場所に駐車する
・騒音を立てない
・漁業者への配慮を
●仲良く釣りをする
・挨拶、声かけ
・先行者優先
・無理な割り込み禁止(声かけ)
・他ジャンルの釣り方への理解と配慮を
●魚の保護を念頭に・ほか
・魚の規定サイズを守る
・ゲスト魚、エサ取りを放置しない
・魚は必要な分だけをキープ
・リリースは魚が弱る前に
・SNSの投稿は慎重に