メキシコが生んだ芸術の魅力に開眼!企画展「メキシコへのまなざし」が5月11日まで北浦和『埼玉県立近代美術館』で開催中
1950年代のメキシコの美術に熱視線を注いだ日本の美術家を取り上げ、彼らがメキシコをどのように捉えたのかを振り返る企画展「メキシコへのまなざし」が、さいたま市の『埼玉県立近代美術館』で2025年5月11日(日)まで開催されている。
日本の美術家を夢中にさせたメキシコ美術コレクションが登場
メキシコ美術が展覧会や雑誌を通じて盛んに紹介され、その鮮やかな色彩や、古代文明や革命の歴史と結びついた力強い造形表現に多くの美術家が魅了された1950年代の日本。
本展では1955年に『東京国立博物館』で開催された「メキシコ美術展」に出品した作家の中から、メキシコ壁画運動を牽引したホセ・クレメンテ・オロスコ、ディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ=シケイロスや、次世代を代表するルフィーノ・タマヨなどの作品を紹介。改めてメキシコ美術の魅力を伝える内容となっている。
展示担当者は「本展覧会は岡本太郎、福沢一郎、芥川(間所)沙織、利根山光人、河原温(かわらおん)の5名の美術家の視点を中心に、豊富な作品と資料によって、戦後日本とメキシコとの文化交流を多角的に掘り下げていきます。1982年の開館以来、メキシコ美術に関する展覧会をたびたび開催し、コレクションを形成してきた当館ならではの展覧会です。ぜひご覧ください」と見どころを語ってくれた。
5人の美術家がメキシコに注いだそれぞれのまなざしとは
1950年代にメキシコに惹(ひ)かれた美術家、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温。古代文明や壁画への憧れ、色彩や造形的な影響、言語への関心など、それぞれの視点からメキシコを捉え、自らの制作に反映させていった5人の足跡をたどる。
また『埼玉県立近代美術館』のメキシコ美術コレクションのために尽力し、メキシコ美術の普及に努めた初代館長・本間正義の仕事も合わせて紹介。作品や資料、開催された展覧会、さらにメキシコで撮影した写真や蒐集した民芸品、当時の雑誌なども交えて、彼らがメキシコに注いだまなざしについて検証する。
数々のイベントでメキシコ美術の魅力を体感!
2月24日(月・休)レクチャー「岡本太郎とメキシコ」
講師に元『川崎市岡本太郎美術館』学芸員・仲野泰生氏を迎え、レクチャー「岡本太郎とメキシコ」を2月24日(月・休)15時~16時30分、2階講堂で開催。定員80名(申し込み不要、当日先着順)、参加費無料。
3月1日(土)トーク「1960年代メキシコ紀行―利根山光人のカメラを通して」
利根山光人の長女でメキシコ民芸品店とメキシコ家庭料理の店を経営していた立花雅子氏を迎え、当時の思い出やメキシコの美術家との交流についてトークを繰り広げる「1960年代メキシコ紀行―利根山光人のカメラを通して」が3月1日(土)14時~15時30分、2階講堂で開催。利根山がメキシコで撮影した貴重な写真も紹介する。定員80名(申し込み不要、当日先着順)、参加費無料。
3月22日(土)制作実演+トーク+映像上映
カラフルな彩色木彫りで知られるメキシコ民芸作家・イサイーアス・ヒメネス氏がメキシコより初来日! 制作実演を交えながらのトークと、イサイーアスの父でありオアハカン・ウッド・カーヴィング(メキシコのオアハカ州で作られる彩色木彫り)の創始者、マヌエル・ヒメネスのドキュメンタリー映像も上映される。3月22日(土)14時~15時30分、2階講堂で開催。定員80名(申し込み不要、当日先着順)、参加費無料。
開催概要
「メキシコへのまなざし」
開催期間:2025年2月1日(土)~5月11日(日)
開催時間:10:00~17:30(展示室への入場は~17:00)
休館日:月(ただし2月24日・5月5日は開館)
会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
アクセス:JR京浜東北線北浦和駅から徒歩3分
入場料:一般900円、高校・大学生720円、中学生以下と障碍者手帳を提示の方(付き添い1名含む)無料
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館☏048-824-0111
公式HP https://pref.spec.ed.jp/momas/2025eyes-on-mexico
取材・文=前田真紀 画像提供=埼玉県立近代美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。