夏の災害でもし収集が2週間ストップしたら……におい対策は? 知っておきたい正しいごみ管理法
日中は30℃を超える気温の中で2週間、10袋のごみ袋とともに生活をする ―― ちょっと想像しただけでも、かなり気がめいる光景ではないでしょうか? たとえ備えが十分でなかったとしても、身近にあるものを上手に活用することで自分や大切な人の命を守るライフハック、防災グッズレビューなどをお届けしている本連載。11回目となる今回は、「災害が起こった際、大量に発生するごみってどうなるの?」というみなさんの疑問に防災士がお答えします。災害時の正しいごみの管理方法や、におい対策として備えておくべきおすすめのアイテムなどについても解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
災害が発生したら、ごみ収集ってどうなるの?
地域差はあると思いますが、可燃物であれば通常、週に2回程度は収集に来てもらえるところが多いのではないかと思います。しかし、地震などの災害が起こると、自治体によるごみ収集はしばらくの間行われなくなる可能性があります。
たとえば、2011年3月に発生した東日本大震災では、一般家庭の定期的なごみ収集は発災から4日後と比較的早く再開したものの、収集の頻度は週に1回以下に。通常通りにごみの収集が行われるようになったのは、発災から約2か月後でした。
2024年1月に発生した能登半島地震では、一部地域で発災から2週間後に、生ごみなど腐敗が進む可燃ごみのみ収集が再開。収集が再開されるまで、自宅に保管していた汚物や生ごみを含むごみ袋が、10袋に及んだ方もいらっしゃったようです。
災害時は自室保管が基本! ごみの正しい管理方法を知っておこう
災害の影響を受け、ごみ収集が行われない間は、ごみは自室管理が基本となります。「ごみがごみを呼ぶ」事態を避けるため、収集が再開されるまでは、マンションのごみ置き場や地域のごみステーションにもごみを置かないように、各家庭で徹底することが大切です。
同じ可燃物でも、「においが出るもの」と「そうでないもの」で分けて管理が必要
また、災害時に発生するごみは、大きく「災害ごみ」と「生活ごみ」の2種類に分けられます。それぞれについて正しいごみの管理方法を知らなければ、深刻な衛生上の問題に発展することも……。平時から正しい管理方法を把握しておき、もしもに備えておきましょう。
図表:災害時に発生するごみの種類と正しい管理方法
災害ごみ生活ごみ分類災害の影響を受けて発生するごみ
例)壊れた家具・家電製品、割れた食器やガラス製品など普段の生活において発生するごみ全般
(在宅避難などにおいて発生した、トイレごみ、生ごみを含む)管理法自治体から回収の案内があるまで、敷地内、もしくは自室で保管
・収集再開後も、回収されるごみは限定的となる可能性あり。可燃物は、「生ごみ」「し尿(トイレごみ)」「その他」などに分けてごみ袋に入れ、衛生上回収を急いだ方がいいものと、そうでないものは別々に管理する(収集再開後は、自治体の指示通りに出すこと)
・し尿は凝固剤で固め、防臭袋などに入れた上でごみ袋へ
・生ごみはキッチンペーパーなどでしっかりと水分を吸収させ、防臭袋などに入れてごみ袋へ。防臭袋の用意がなければ、ラップやアルミホイルで包んで捨てるか、チャック式のビニール袋に入れると、におい漏れ対策になる
【日常使いにも便利!】防災士がおすすめする防臭袋3選
10月が近づいても秋の気配が遠い昨今、これほど気温が高い中で、ごみを何週間も、自宅で保管しなければならないとしたら……。何も備えがなければ、ちょっと想像しただけでもゾッとしてしまうと思います。
そこでここからは、備えとしてあると便利な防臭機能付きポリ袋を3つご紹介します。
ニオワイナ 消臭ポリ袋
日本サニパック「ニオワイナ 消臭ポリ袋 箱 白半透明 大サイズ(50枚入)」
化学反応を用いた消臭機能付きポリ袋で、即効性があるだけでなく、におい戻り(においの再放出)も防いでくれます。サイズの選択肢が豊富で、用途に合わせて選べるのもうれしいポイント。写真の商品は、箱型で取り出しやすく、マチ付きの袋で使いやすいので、普段から生ごみ処理などに活用しています。
おむつが臭わない 高機能防臭袋
matsukiyo「おむつが臭わない 高機能防臭袋(200枚入)」
医療メーカー開発の高機能防臭袋。おむつはもちろん、生ごみやサニタリーなどの処理にも使えます。最大のポイントは、箱ティッシュよりコンパクトなサイズで、200枚も入っている点。コストパフォーマンスは最強です。自家用車がある方は、簡易トイレなどと一緒に車内に備えておくのも良いでしょう。
取っ手付消臭ポリ袋
ダイソー「取っ手付消臭ポリ袋(26枚入)」
100円均一ショップでお手頃に購入できる、消臭機能付きポリ袋。袋にはマチがあるのでごみを入れやすく、持ち手が付いているため結びやすいのも特徴です。
使い捨て手袋の備えがなくても、し尿(トイレごみ)の処理がしやすいので、私は普段から簡易トイレとセットにして備えています。こちらもいろいろとサイズ展開があるので、用途に合わせて適切なものを選んでみてください。
災害時のごみ問題を解決するには、防臭袋のようなアイテムを普段から備えておくとともに、そもそもごみ自体を減らす努力も重要になってきます。ご家庭や会社で話し合いながら、どうしたら日常生活の中でごみを少なくすることができるのか、ぜひ考えてみてください。