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【インタビュー】物件の買取からサポートまで自社で完結「すべての人により快適でより安く安心安全な住まいを提供したい」株式会社和朋(新潟県五泉市)【動画あり】

にいがた経済新聞

株式会社和朋 代表取締役 岡朋子氏

初掲載:2024年7月11日(最終更新日:2024年7月23日)

株式会社和朋 岡朋子代表取締役「うちで買い取れない物件はほとんどありません」―――株式会社和朋(新潟県五泉市)の岡朋子代表が話す言葉は、ひとつひとつが力強い。いま、深刻化する日本の少子高齢化により人口減少は加速し、さまざまな問題が引き起こされている。”空き家の増加”はその問題の一つだ。

総務省の「2023年住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家率は13.8%だった一方、新潟県の空き家率は15.3%と全国平均を上回った。県内の空き家の管理や活用は地域社会全体で取り組むべき課題といえるだろう。

空き家率が上がる背景には「売り方がわからない」「家の中の片付けが終わらない」という悩みのほか、売りに出しても「買い手がつかない」現状がある。売却しようにも引き取り手がなく、手放せない所有者が増えているのだ。

株式会社和朋は、そんな買い手がつきにくい物件でも取り扱える可能性が高く、売却に困った所有者からの相談が増加している。5年前に会社を立ち上げるまでパート勤務だったという岡代表は、不動産事業においてどのような取り組みを行っているのだろうか。

母子家庭や高齢者、低所得者向けの住居を提供

株式会社和朋 所有アパート

株式会社和朋は2019年7月10日の創業以来、不動産賃貸業および不動産コンサルティング業を主軸に事業を展開している。取材に応じてくれた岡朋子代表は、事業の内容について次のように説明した。

「現在の物件所有数は6棟全32室で、弊社は特に母子家庭や低収入の高齢者を対象とした部屋を提供しています。買い取った物件を自社でリフォームし、入居者募集まで一貫して行うことで、大手不動産企業では難しい低価格帯での提供を実現しています」

一方、不動産コンサルティング業では、クライアントが不動産の購入や売却、投資を行う際に必要な市場分析や各種法律に関するアドバイスをしている。土地開発から建築に至るまでの幅広いサポートを行っており、特に介護施設の分野に特化。創業から現在まで、計6棟の土地開発、建築、運営管理に全面的に携わってきた。

株式会社和朋はこれらの2つの事業を主軸に、社会的な責任を果たしつつ需要の高い不動産サービスを提供する。

「自分で事業がしたかった」そのタイミングで訪れたアパート購入のきっかけ

株式会社和朋 岡朋子代表取締役

岡代表は新潟県五泉市(旧村松町)の出身。学生時代は生徒会長を務めるリーダータイプだったという。高校卒業後、地元の総合病院で医療事務の仕事に就いたあと、営業周りの仕事やアルバイトをしながら将来を模索していた。

経歴だけ見ると不動産業やリフォーム関係とは無縁に思えるが、ターニングポイントが訪れたのは岡代表が36歳のときだ。知人の不動産会社からアパート購入の打診があった。

「ずっと、自分で何かしたいと思っていました。とてもいいチャンスだと思ったんですが、周りは大反対でしたね。両親も友人も”騙されているに決まってる”って」

だが、岡代表の意思は固い。「反対を押し切ってはじめて買い取ったのは1棟8室のアパートで、そのうち4部屋が空室でした。本当に何の知識もなくて、1部屋も入居者が決まらず半年間が過ぎました」

”このままではだめだ”と一念発起した岡代表は、友人のすすめで新潟の不動産オーナーが集まるコミュニティに参加。そこでリフォームと入居者募集(客付け)の方法を教わり、アドバイスを受けながら、3ヶ月で4部屋すべてをたった1人でリフォームしたという。岡代表にとって、この時が初めての本格的なリフォームだった。

「やり切らなければ先はない、と思っていたので必死でしたね。当時は名刺もないなか、地域の不動産会社を足で回って、物件の紹介をお願いする飛び込み営業を続けました。おかげでようやく部屋が埋まり、現在もそのアパートは満室で稼働しています」

「大家にトイレットペーパーを頼むんですよ(笑)」——密なコミュニケーションで徹底的に入居者に寄り添う

近年多くの不動産屋では、高齢者や身寄りのない方、母子家庭など”一般的に安定して家賃を払っていくのが難しい層”の入居を断らざるを得ない状況が増えている。同社の賃貸業の強みは、大手がカバーできない部分に手を伸ばせることだ。

「そういう方たちこそ、住まいが確保できずに困っているわけですよね。安いからボロくてもいい、安全に暮らせなくても仕方ないなんて常識にはしたくないんです。工夫をすれば安くても快適な住まいは提供できます」と岡代表。

また、同社では入居者との密接なコミュニケーションに重きを置き、定期的な訪問を行っている。

「他愛ない世間話をして様子を伺うのがメインです。なかにはガス代が払えないとか、家賃を一か月待って欲しいなどの相談をうけることもあって、そういう時は、都度できる方法を一緒に探っています。本格的に家賃の支払いや生活が厳しい入居者さんには、一緒に役所にいって生活保護の申請をすることもあります」

付き合いが長くなってきた入居者のなかには、様子を見にきた岡代表に「トイレットぺーパー買ってきて」とお使いを頼むこともあるという。自身を世話焼きで面倒見がいい方だと話す岡代表。時には入居者に仕事を紹介し、あるいは自社の仕事を手伝ってもらって対価を支払うというから驚く。

「コミュニケーションを密にとって彼らの安全を確保することが、安定した経営につながるんです。何かあったら相談できる関係を作れていれば、一緒に対策を考えられますから」

壁紙の貼り替えから電気工事まで自社で完結するからこそ、低価格帯の家賃を実現

現在リフォーム中の物件

同社で購入する物件の多くは築20年以上経っているものがメイン。同年数の物件は市場にも数多くあり、入居者の確保に苦戦するオーナーも多いなか、同社が客付けに困ることはないという。リフォーム中だという物件にお邪魔し、他社との違いはどこにあるのかを聞いた。

「外壁の塗り直しや補修はもちろん、部屋は床から壁紙まですべて手直しします。弊社スタッフに電気工事士の資格を持っている人間がいるため、古いイメージがつきやすいスイッチ周りや電気系統は必ず取り替えています」

キッチンのリフォームもお手の物

同社の場合、そのほとんどの部屋が同条件の他社物件より平均して5000円から1万円ほど安い。

「賃料をなるべく抑えるのは弊社が非常にこだわっている部分です。一方で”安いんだからこのくらいか”という妥協を生まないようにしています。お値段以上だと思ってもらうことが大事なんです」

同じ人が長く住み、解約率が下がれば入退去の手間が少なくなる。新規入居に伴うリフォームなどの必要もないため、”入居者が満足して長く住み続ける”ことが、結果的に経営状況を安定させるのだ。

同社の取り扱う物件は、入居者募集をすればすぐに満室になる良物件だらけ。今は物件の仕入れが追い付いていない状態だという。岡代表は続ける。

「最近は、ほかの不動産屋で買い取れないと言われたアパートや戸建てのご相談が多いです。そういう物件の多くは接道がなく、新築はもちろん増築や改築など建築工事を必要とする建築ができません」

”接道がない”とは、簡単にいえば大きい車が入らず重機も入れられない場所のこと。解体やリフォームが困難であり、再販用に整えると利益が出にくく、不動産屋が買い取れない場合が多いのだそう。

「うちは自社でリフォームして賃貸として出すので、買い取れない物件はほぼありません。ほかのところで断られても、ぜひ一度相談してほしいですね」

「地域のお母さん」のような存在になりたい

株式会社和朋の岡朋子代表(左)、同社スタッフ和田卓大さん

株式会社和朋の事業のうち、今回は不動産賃貸業に焦点をあてて話を伺った。中古物件の購入からリフォーム、入居者の募集に留まらずその後のコミュニケーションまで自社で行う岡代表。そのエネルギーは入居者だけでなく、関わる人すべてに向けられている。

「これからオーナーになりたい人と一緒に物件を見に行って、良し悪しの判断基準を教えることもあります。特にコンサル代をいただいているわけではなく、地域を良くしようと思って参入してくれる方に、正しい知識をいかに伝えるかが重要だと考えています」

岡代表は、そうした人と人とのつながりを大切に広げ、自社だけではなく地域全体が豊かになることを望んでいる。大手企業が届かない範囲に対応することで「だれでも安心して生きられる場所」の提供を目指す。

「収益を得て会社を回していくのはもちろん大切ですが、地域に貢献したりだれかの役に立ててこそ”事業”だと考えています」と岡代表。

最後に今後の目標を聞いた。「まずは5年後までに取り扱う部屋数を100室に増やします。新潟で誰かが『どこか住めるところはない?』と聞いたときに『岡さんに聞いたら見つかるよ』と言っていただけるようになれたら嬉しいです。困ったときに頼りにされる『地域のお母さん』のような存在になりたいですね」

(インタビュー・文 井高あゆみ)

【企業情報】
株式会社和朋
住所:新潟県五泉市上木越甲20-40
事業内容
・不動産賃貸業
・不動産コンサルティング業
・リフォーム業
問い合わせ先:tomogolf86@yahoo.co.jp

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