季節限定イベント「君津の朝めし」廃校をリノベした施設で開催!羽釜めし炊飯体験と新鮮卵から始まる一日【君津市】
君津市内を散策中、あちこちで「君津の朝めし」なるのぼりを見かけました。これは気になる…と調査したところ、君津の山奥にある旧秋元小学校を再利用した清和地域拠点複合施設「おらがわ」で、自分たちで羽釜を使って炊いたご飯と君津産の新鮮な卵で朝食をとるという、何とも楽しそうでぜいたくなイベントを発見!
イベントの様子や開催のきっかけ、そして気になる羽釜炊きご飯の味などを、君津の朝めし代表、永井直樹さんにうかがいました。
地域を愛する頼もしいスタッフが運営する「君津の朝めし」とは?
「君津の朝めし」とは、君津市の支援を受けて2023年秋に活動を開始した市民活動団体であり、催しそのものの名前でもあります。
君津の朝めしを運営するのは、地元・清和地区ににぎわいを呼び起こしたいという志を持った20代から80代まで約30人の地元スタッフたち。
いわゆる普通の農村部である君津市の清和地区には、テーマパークやショッピング施設のような観光資源はありません。
地域を活性化させるために、地元の魅力を生かした自分たちにしかできない活動はないか…と、考えた現・君津の朝めしスタッフの皆さんは「参加者自らがかまどに火を起こし、羽釜を使ってご飯を炊き、君津の名産である卵をおかずに朝ご飯を食べてもらおう」というアイデアを思いつきます。
この地区では、ほんの数十年前まで羽釜炊きのご飯が一般的でした。これらの知識や経験は、何物にも代えがたい財産ではないか、と考えたのです。
「観光で訪れる方は、日中を観光施設で過ごして帰りは渋滞を考えて動くだろう。ならば清和地区に立ち寄ってもらうチャンスは朝しかない、と昼や夜ではなく「朝めし」を食べてもらう企画を考えたんです。君津の朝めしは12時には終了するので、その後に観光に出かけるなど一日を有意義に過ごせますしね」と話すのは君津の朝めし代表の永井さん。
こうして2023年、君津の朝めしの計画は動き出しました。しかし、若いスタッフの多くは羽釜での炊飯をしたことがありません。そこでまずは炊飯のプロである地元農家の高齢スタッフに指導してもらい、自分たちで米を炊いてみることに。
最初は経験者でも台所ではない屋外で炊いた経験がなかったり、数十年ぶりの炊飯だったりで、芯が残るなどしてうまく炊けませんでした。しかし数回繰り返すとすぐに経験者の勘は戻り、上手に炊き上げられるように。
「成功した羽釜炊きのご飯を初めて食べた時、こんなにおいしいご飯があるのかと感動しました」(永井さん)
君津の朝めしでは、スタッフは炊飯のやり方やアドバイスを行いますが、調理は参加者自身で行います。初めての体験に、参加者の皆さんおっかなびっくりしつつも目を輝かせて作業にあたるのだとか。
「実は火加減や湿度、気温などの条件から、経験豊富なプロでさえ同じように米を炊き上げるのは難しいんです。しかし、多少の上手下手はありますが、今まで大失敗の炊き上がりはありません。もしおこげがたくさんできてしまっても、個性があってそれぞれおいしいんですよ。おこげならではの楽しみ方もありますしね」と永井さん。
何でも、おこげができたからこそできる楽しみがあると言うのです。これは気になりますね。
では、君津の朝めしではどのようなご飯が食べられるのでしょうか。
リピート参加も続出!君津の朝めしの魅力
君津の朝めしは、屋外開催であり、生卵を扱うことから、暑さや寒さを避け、春(4月~6月初旬)と秋(9月下旬~11月中旬)限定の開催となっています。
2024年4月21日の初開催から、6月9日の春季開催の最終日まで毎週日曜日に行ってきた君津の朝めしには、これまで約200人の参加がありました。
千葉県を中心に、神奈川県や東京から家族連れなど多くの参加者が訪れ、初日を除いて全て満員。中には開催終了直後に次回の予約を入れていく人もいるほど大好評なのだそう。
君津の朝めしがどのように行われているかを、永井さんに教えていただきました。
「会場は清和地域拠点複合施設『おらがわ』です。こちらは廃校になった旧秋元小学校をリノベーションして作られました。
受付開始は当日朝9時30分から。参加者の皆さんには朝10時ごろまでに集合していただきます。炊飯道具や食材は用意してありますので手ぶらでお越しください。
受付後、お米の量を選び、食器などと一緒に受け取ったら体験開始。まずは自分たちで使う薪を作ってもらいます。
君津の朝めしでは近隣に生えている竹を使ってお米を炊きます。木の薪よりも火力が強く一気に炊き上げるので、おいしく炊き上がるんですよ。
薪づくりが終わったらいよいよ炊飯。お米を浸水、炊飯している時間に、きな粉づくり体験や薪割り体験ができます。
大豆を石臼でひいて作るきな粉作り体験は毎回大人気です。出来上がったきな粉はお持ち帰りください、とお伝えしていますが、出来たてのきな粉がおいしいと、その場で食べてしまう人がほとんどなんですよ。
ご飯のおかずは卵のみ! 君津市は卵の一大産地なんです。君津の朝めしに使用する卵ももちろん君津産。殻の色も鮮やかな数種類の卵の中から、好きな卵を2つ選んでいただきます。
おすすめは卵かけご飯ですが、生卵が苦手な方にはフライパンを貸し出しますので、目玉焼きや卵焼きを作ることもできます。
味付けは卵かけご飯専用のだししょう油。目玉焼きはもちろん、ご飯との相性もばっちりですよ。
羽釜炊きのご飯にはおこげがつきもの。
上手に炊けたら、おこげが少なくご飯が多いのですが、火かげんでおこげ多めの炊き上がりになることもあります。
でも失敗ではないんです。こそげ落として食べるおこげは美味ですし、おこげが付いた釜だからこそできる絶品メニューがあるんです。
それは、釜に出汁、ご飯と一緒に炊いただし昆布を刻んだものと、溶き卵を入れてしょう油で味付けしたおこげスープです。
おこげのついた釜を洗いやすくするための、先人の知恵から生まれたメニューなのですが、これが『本当におこげと出汁、しょう油だけなの?』と疑いたくなるほど滋味深い味なんです。
羽釜炊きだからこそ味わえる特別メニュー。ぜひ体験してもらいたいです」
山の中のきれいな空気の中で食べる炊きたてご飯。聞いているだけでお腹が空いてきます。参加した方の反応や感想はいかがだったのでしょうか?
「燃料の薪を作り、かまどで火を起こし、羽釜でご飯を炊く経験は、参加者全員が初めて。なので、まずは皆さんうまく炊けるかが不安なんですね。炊き上がりを試食して、ご飯の状態を確認した瞬間皆さん笑顔になります。おいしさもさることながら、うまくいったこともうれしいようです。予想以上にご飯を食べる人が多く、『もっとたくさん炊けば良かった』という声もよく聞きますよ」(永井さん)
今後の展開や予約方法などは?
君津の朝めしへの参加は完全予約制で、1回に参加できるのは10組まで。申し込みは君津の朝めし公式HPより行います。
2024年秋の開催は9月29日(日)~11月17日(日)内の毎週日曜日の開催を予定していますが、今年の夏の暑さを考え、開催時期が10月に延期になる可能性があります。
開催時期は公式HPで公開されますが、予約開始のお知らせを希望する方には通知もしてくれるとのこと。
なお人気イベントのため満席となる可能性があります。
予約申し込み、予約開始通知希望、キャンセル待ちは、公式HPから受け付けます。問い合わせフォームにその旨を記載して送ってください。
最後に永井さんに、活動のご苦労や、印象に残った出来事、今後の展望についてうかがいました。
「活動してきて良かったのは、参加者皆さんに喜んでいただけていることですね。苦労は屋外での活動なので天候に左右されることです。春の開催時期に一度だけ強風で中止になったことがあります。秋は台風も心配です。
始めたばかりで印象に残ることだらけです。手探りでやってきたなかで、スタッフのまかないから絶品おこげスープが誕生したり、石臼体験が想像以上に好評で、石臼の数を増やしたりするなど、思ってもいなかった反応や発見がありました。今後も取り入れられることはどんどん試し、長く活動を続けていきたいですね」
地域を愛する人々の知恵から生まれた「君津の朝めし」。
房総観光のスタートに加えてみてはいかがでしょうか?
君津の朝めし
開催日/春季(4月~6月初旬)秋季(9月下旬~11月中旬)
開始時期やスケジュールは公式HPからご確認ください
開催時間/午前9時30分から受付 正午には終了
開催場所/清和地域拠点複合施設「おらがわ」※旧秋元小学校グラウンド(千葉県君津市西粟倉36)
アクセス/君津駅から車で約40分、君津ICから車で約15分
料金/体験セット1組(1席)2000円(最大6名)、米1人400円(1合/人)、卵1人300円(2個/人)、薪1組200円(薪割り体験あり)
駐車場/有(無料)
HP/https://www.asameshi.club/
問い合わせ/君津の朝めし公式HP 問い合わせフォームよりお願いします