雅な五色のパステルカラー!可愛らしい小さな麩焼き煎餅/【連載】達人おすすめのお取り寄せ
京都の和菓子には、店構えやお包みにもその店の世界観が感じられます。何百年という老舗も少なくない京都で、明治創業の末富さんは「新しい方の老舗」でありながらその存在感と風格が頭抜けている一軒。ハッとするような美しさの「末富ブルー」を生み出した独自のセンスには、伝統を守りながらも新たな挑戦を続ける末富さんの進取の気性を感じます。
実家にいつもあった「野菜せんべい」やいただきもので多かった「うすべに」は今も懐かしく感じるお品ですが、自分でお菓子を買うようになってからは、麩焼き煎餅の「白酔墨客」と「華ふうせん(現在の京ふうせん)」が定番となりました。他にもわくわくするようなラインナップがたくさん!
華ふうせんは、「白か黒」が基調の麩焼き煎餅の概念を覆した一品でした。カラフルで小さい! 初めて見たときはなんと可愛らしい麩焼きなのかと、驚きと興奮で目がハートになりました。かさばらず収まりの良い小箱は大げさでないお遣いものにもピッタリです。
実は末富さんには色々と思い入れがあるんです。
先代(三代目)の山口富蔵さんに仕事で取材したことがあり、末富ブルーやお菓子作りについても色々とお話を聞かせていただきました。初代はこれまた私の大好きな「亀末廣」さんで修業なさったそう。その系譜にも心感じるものがありました。
同じ頃だと思うのですが、京都グルメの特集でお仕事をさせていただいた「ぷっすま」というTV番組で、ロケに同行した際に演者さんに差し入れたのも華ふうせんでした。あのツヨシくんもとっても気に入ってくれたんですよ。
なぜ、大切な差し入れにこれを選んだのかというと、まずお包みの美しさに驚かせ、開封してまたその華やかな色合いと可愛らしさに驚かせ、食べてさらに美味しさに感動させることができるから。
甘いものが苦手な方にも軽く召し上がっていただける穏やかな甘みは京都の麩焼き煎餅の特徴ですが、このサイズと色合いは唯一無二。絶対、みなさんに喜んでいただける自信がありました(笑)。
平安時代から女官装束に用いられた「かさねの色目」の五色を、ふうせんに見立てた小さな麩焼き煎餅に淡く砂糖で色づけた華ふうせん。いつしかその銘は現在の「京ふうせん」と変わりましたが、お味も意匠もそのまま。京菓子であることがわかりやすくなったように思い愛用し続けています。
店舗により高島屋で入手することもできますが、オンラインだと商品の特徴がよくわかり選びやすいのも魅力です。もちろん、機会があればぜひ本店へも!京都限定バージョンもあるようですよ。季節を問わず召し上がれますが、柔らかなパステルカラーは春をことほぐのにピッタリです!