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筧利夫「皆さんだけにとっておきの私たちをお見せします」~ブロードウェイミュージカル『クラスアクト』インタビュー

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筧利夫

2024年5月30日(木)東京・サンシャイン劇場を皮切りに全国で上演される、ブロードウェイミュージカル『クラスアクト』。この度、筧利夫のインタビューが公開された。

「コーラスライン」の作詞家であるエド・クレバンの成功と挫折、そして取り巻く登場人物たちの感動の実話を描いた本作。

1970年代のニューヨークエンターテイメントの原点を描き出した意欲作である本作の主人公エド役の筧利夫、エドのよき理解者ソフィ役の紫吹淳、ミュージカルワークショップの同級生ルーシー役の高橋由美子、「コーラスライン」の作曲家マーヴィン役の吉田要士、エドがエンターテインメントを学んだミュージカルワークショップの教師リーマン先生役のブラザートム など実力派が揃い、全国を巡る。

今回、主演の筧利夫のインタビューが到着した。

ーー出演の話が来た時はどう思われましたか。

ミュージカルは6年ぶり。僕は基本ミュージカルの人間ではないので、ミュージカルの話が来るたびに、なぜ僕に? って思うんですよ。かつて『ミス・サイゴン』のエンジニア役を務め、挙句の果てに市村正親さんの代役までやったので相当なものだろうと思われているのかもしれませんね。
この『クラスアクト』は架空の話ではなく、実在の人物であるエド・クレバンさんの話をエンターテインメントにしています。ですから架空の話とは責任の持ち方が違うというか、自分の想像だけではできないなと思っています。今回、僕は役を演じるのではなく、僕がエド・クレバンさんのイタコみたいになって代弁するイメージです。だから毎日寝る前にお願いしています。舞台で失敗なく、あなたをやれますように! と。稽古が始まる前までに僕がやることは、台本を読んで台詞と歌を覚えて練習して、あなたのことが日本の皆さんに伝わりますように! って祈ることだけです(笑)。

ーー台本を実際にお読みになった印象は?

演出家の西田直木さんが翻訳なさっていて、読みやすくわかりやすい台本で、すごく面白かったです。第1稿を読んだ時は、これ、コントみたいにできるんじゃないかな? って思ったんです。でもいろいろ調べたら、以前日本で上演された時に作家の方が来日した写真を見つけて、ふざけた気持ちでやったらダメだなと思いました。実は1回お断りしたんですよ。ところがしばらくして、再びお話を頂いた。断った話を再度いただくことはまずないので、風水の人やタロット占い人に調べてもらったら、「筧さん、これは絶対にやった方がいい」と(笑)。そこで考え直しました。
早めに台本をいただき、毎日台本と向き合い考えています。一人で稽古しているとだんだん身体に浸透してきて、何となくわかってくるんですよね。稽古初日に、僕がどれくらいエド・クレバンさんになっていられるかが勝負。稽古が始まったら具体的にやるべきことが多いので、それまでに土台は作っておきたい。どうしても謎な部分は稽古場でカンパニーの方々と一緒にやって、わかっていけばいいなと思っています。

筧利夫

ーー筧さんが演じるエド・クレバンはどんな人物だと捉えていますか。

自分の才能を相当信じています。本当は作曲がやりたいのに、作詞の方に能力があるんでしょうね。よく「人は二番目のことで成功する」って言われますが、エドさんもそうだったのかも。ものを作る人って作品が我が子みたいに大切なんです。本当は作品を売るためには商店の棚に乗せなきゃいけないけれど、エドさんは作曲で成功したいと思うが故にこだわってしまう。その点、作詞は二番目のことだから、頼まれて多少嫌でも「やりますよ」となるんです。その結果、作詞が評価されるように。これって結構、ミュージシャンあるあるという気がしますね。

ーー音楽の印象はいかがですか?

ザ・ミュージカルって感じですね。芝居で急に歌い出すスタイルは1回やったことがあり、その時はポップスでした。今回はまさにミュージカルの曲なので、その辺りの気恥ずかしさを乗り越えられるかな? なんせ舞台は4年ぶり、ミュージカルに至っては6年ぶりですから。
僕、ミュージカルをやるようになって、ここ数年でわかったことがあります。ストレートプレイの俳優には自分の音符があって、自分の音符に台詞を乗せているんです。だけど歌の部分は音楽がありますから、それに沿うために自分の音符を外さなければいけない。僕はつかこうへい作品などで野太くやってきましたから、自分の音符を外す作業に苦労するんです。特に今回みたいに芝居と歌が混在する場合は、自分の音符を入れたり外したりが必要なんだなと、このインタビューで気づきました(笑)。

ーーこの公演を楽しみにしていらっしゃる全国の皆さんに、メッセージをお願いします。

ミュージカルである以上、そして皆さんから大切なチケット代をいただく以上、楽しませるという責任がございます。とにかく今回はミュージカル史上初と言ってもいいくらい、舞台に出てくるのは美男美女だけ! ものすごい人たちしか出てきません。皆さんだけにとっておきの私たちをお見せしますので、劇場に足をお運びください。

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