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【藤沢市】ハマボウフウ×ビール 「スッキリ爽やかな味」 藤沢本町駅近ブルワリーで堪能

タウンニュース

『はまかぜエール』を手にする小島さん(右)と大浦さん

海岸の砂地に自生するセリ科の多年草「ハマボウフウ」の種を使用したクラフトビールが現在、藤沢本町駅近くにあるブルワリー「オーラブルーイング」で販売されている。日本大学生物資源科学部やハマボウフウを再生させる活動を30年以上続ける市民団体「湘南海浜植物育成会」などがタッグを組み、今春から始まったプロジェクトの一環。ビールからハマボウフウの存在を知ってもらい、湘南の風景を残す狙い。

次世代につむぐ湘南の風景

ハマボウフウは「浜防風」とも記載され、根が深く張ることで砂が風で飛散するのを防ぐ植物。枝葉が生い茂ると、津波などの被害も軽減され、防災の目的で植栽されるケースもある。

日本大学生物資源科学部の博士で助教の小島仁志さんは、生態学分野で絶滅危惧種の研究や保全活動に取り組んでいる。「浜辺にひっそりと咲くハマボウフウの花。地味だが、海岸の草原風景を維持する重要な役割がある。次世代に残したい」と学生らとプロジェクトを立ち上げることに。

詳しく調べて見ると、カルシウム、鉄分、カリウムなどが豊富な「健康食」ということが分かった。また全国各地で伝統的な調理法があり、市内では江戸時代から藤沢宿にある老舗和菓子店「豊島屋本店」がハマボウフウなどを使った「砂糖漬」を参勤交代の土産として提供していた記録が残っていた。

「まずは食品開発でファンを増やそう」と小島さんは関係企業協力の下、葉の粉末を入れたジェラートを開発。試食者へアンケートを実施すると好評だった。さらに新メニュー候補に「ビールを作ってほしい」との声が上がったことから、藤沢宿にあるブルワリーの店主、大浦真琴さんに相談。快諾をもらい、開発に乗り出した。

学生が実の皮をむいて出てきた黒い種を提供。「独特の香りとほろ苦さをどう際立たせるか」と大浦さんは種を「焙煎」「そのまま」「砕く」の3パターン用意し、ベルギー発祥のビアスタイル「ベルジャンホワイト」を採用することに。通常はコリアンダーシード(パクチーの種)などを使用するが、ハマボウフウの種で代用。試行錯誤の末、発酵は成功し、先月中旬から販売を開始した。学生のアイデアを採用し、商品名は『はまかぜエール』とした。

常連客からは「スッキリ爽やかな味で飲みやすい」と人気なようだ。売り上げの一部は同会の活動資金に寄付される。

小島さんは「ユニークなビールを通じ、湘南の海岸を守るハマボウフウを知る人が増えてほしい。そして今後も可能性を掘り出していきたい」と展望を語った。

海岸に自生するハマボウフウ(小島さん提供)

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