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映画から学びたいスタイルがある。あの名作の名優の着こなしを参考にコーデを組んでみた!

Dig-it[ディグ・イット]

1950〜70年代の旧い映画に登場する名優たちの装いには、ボクたちの憧れとロマンが詰まっている。銀幕の中で粋に装う彼らが、もし現代に生きていたらどのような着こなしを見せてくれるのだろうか。そんなトラッドファン垂涎のテーマのもと、西口修平さんが組んだコーディネイトを解説してもらった。

メンズファッションディレクター・西口修平さん|国内外の様々なブランドのディレクションを手がける。多くの服好きたちの支持を集めており、インスタグラムのフォロワーは16万人超え。YouTubeチャンネル「西口と服。」も必見!

【STYLE 01】『アニー・ホール』のウディ・アレン

1978年公開。ウディ・アレンが監督・脚本・主演を務めるロマンスコメディ。ニューヨークを舞台に、主人公の漫談芸人アルビーとクラブ歌手のアニー・ホールとの複雑な恋愛模様を描く。アメリカ軍の[M-51]ジャケットやプリーツ入りのチノパン、ツイードジャケットやチェックシャツなど、この映画を象徴するアイテムが数多く登場。数多くの業界人が自身のスタイルのバイブルとして挙げる、“ファッション史に残る名作”である。

インナーの色遣いにこそスタイリングの真髄がある

「『アニー・ホール』は、ファッション史に残る映画として、ご存じの方も多いのではないでしょうか。ミリタリージャケットやツイードジャケット、チェックシャツなど、この映画のウディ・アレンを象徴するアイテムが多く登場するのですが、私がいちばん痺れたのは中に着ているTシャツの色遣い。適当に着ているだけなのか、はたまた計算しているのかはわかりませんが、白TシャツではなくカラーTシャツを着ているというのが最高にかっこいいんですよね。今回は彼のアイコニックなアイテムをバランスよく選びつつ、色を拾ったオリーブのカラーTシャツがポイントになっています。劇中では『ラルフ ローレン』2プリーツのチノパンを穿いていると言われていますが、今回は『もっと良いモノを穿かそう』ということでボトムスは[M-43]ミリタリーチノを。足元はいまの自分自身の気分的にも『ジェイエムウエストン』の[ゴルフ]を選んで現代的に纏めています」

M-51ジャケット1万6500円、シャツ8800円、チノパン2万9700円/すべてヴィンテージ、ツイードジャケット1万6500円/ポロ ラルフローレン、ボタンダウンシャツ6600円/ギットマン ブラザーズ、シューズ8万8000円/ジェイエムウエストン

【STYLE 02】『コンドル』のロバート・レッドフォード

1975年公開。CIAの外郭団体として、世界各国の雑誌書籍の情報分析を行うアメリカ文学史協会に務めるロバート・レッドフォード演じる主人公、“コンドル”ことジョセフ・ターナーがCIAの陰謀を暴くために奮闘するサスペンスアクション。逃走中に拉致同然で巻き込んだ女性カメラマンの自宅にあった男物のピーコートや、70年代らしいブーツカットのデニムパンツ、トップバーのアイウエアなどが象徴的なアイテムとして挙げられる。

シーンとシーンを掛け合わせた粋なレイヤードスタイル

「劇中の装いをミックスさせたようなスタイリングです。難しいことはせず、素直にスタイリングを組みました。劇中でピーコートを着ているシーンでは、ジャケットを着てはいないのですが、別のシーンで着ているグレーのヘリンボーンジャケットをレイヤードした方が洒落ていると思い、2つのシーンを掛け合わせたというわけです。クラシックな10ボタンのピーコートは劇中のロバート・レッドフォードと同様に無造作に襟を立てるのがポイント。パンツはこの映画が公開された1970年代を象徴するようなブーツカットにトレッキングブーツという、こちらも劇中の装いをサンプリングしています。このブーツカット×トレッキングブーツは当時における定番の合わせともいえますが、いまの時代においても新鮮に感じられますよね。コーディネイト全体を見ても、時代性はありつつも現代にいても何ら違和感のない、程よいバランスに仕上がったのではないかと思います」

ピーコート1万6500円/ヴィンテージ、ツイードジャケット1万6500円/ポロ ラルフローレン、シャツ1万6500円/ローバック、ジーンズ2万7500円/リーバイス、シューズ7万7000円/マルモラーダ

【STYLE 03】『クレイマー・クレイマー』のダスティン・ホフマン

1979年公開。ダスティン・ホフマン演じる仕事人間の夫・テッドが帰宅すると、妻のジョアンナが息子を置いて家を出ていく。残されたテッドは苦労しながらも育児に奔走し、父子の深い絆が生まれるが、家でから1年後にジョアンナが息子ビリーの養育権を求めてテッドを提訴するというファミリードラマ。アメリカントラッドを軸に70年代の要素をミックスしたような装いが随所に見られ、トラッドスタイルの奥深さを感じられる。

「『クレイマー・クレイマー』のダスティン・ホフマンの装いからは非常に“トラッド”が感じられます。なかでもポイントはビットローファー。アイテム自体には“色気”といったニュアンスが感じられるのですが、劇中ではあくまでナチュラルに取り入れられており、『こう履くんだ』という気づきを与えてくれます。こちらもシーンとシーンを掛け合わせたスタイリングで、チェックシャツ、ツイードジャケット、トレンチコートという構成。劇中では『アクアスキュータム』を着ていると言われていますが、『バーバリー』の1枚袖のフルセットがあったのでこちらを代用しました。トップスのレイヤードや、ブーツカットにビットローファーという合わせ、トーンを揃えたカラーリングのバランスなど、現代においてもかなり洗練されたコーディネイトだと思います」

トレンチコート6万9300円/バーバリー、ツイードジャケット7万7000円/ダブルアールエル、ボタンダウンシャツ6600円/ブラックフリース、コーデュロイパンツ6600円/リーバイス、ビットローファー2万9700円/グッチ

【STYLE 04】『冒険者たち』のアラン・ドロン

1967年公開。夢を追うパイロット、エンジニア、彫刻家の3人がアフリカ沖の海底に沈むという財宝を求めて冒険する青春ドラマ。若者たちの夢と挫折、それを取り巻く愛と友情が描かれる。フレンチアイビーのバイブル的作品として知られ、アラン・ドロン演じる主人公の[B-3]の着こなしに代表されるように、アメリカ的なプロダクトをクリーンなスタイルに落とし込んだフレンチの風味が香る絶妙なスタイリングに昇華されている。

旧きよきヴィンテージスタイルにフレンチトラッドのスパイスを

「『冒険者たち』は、フレンチアイビーのバイブル的な作品で、随所に“フレンチ”が感じられる装いが多く見られます。劇中でのアラン・ドロンはダブルポケットのブルーシャツに重厚感のある[B-3]を合わせているのですが、今回は季節が秋ということもあり、少し軽めの[G-1]を選びました。装いを楽しむのであればレイヤードしたい、ということで[G-1]より丈の短い〈リーバイス〉の[2nd]を間に挟んでいます。アイテム自体はコテコテだけど、全体としてクリーンで洗練された装いを意識しました」

G-1ジャケット3万3000円/ウィリス&ガイガー、デニムジャケット44万円/リーバイス、シャツ9900円/ラングラー、パンツ8万8000円/リー、ブーツ4万4000円/オールデン

【STYLE 05】『セルピコ』のアル・パチーノ

1973年公開。ニューヨーク市警に蔓延する汚職と腐敗に立ち向かうアル・パチーノ演じる刑事、フランク・セルピコの姿を描いた社会派ドラマ。組織から孤立した正義感溢れる新人警官が経験する孤独と葛藤を描く。セルピコが覆面警官であることから、様々な職業に扮するため、様々なテイストの着こなしを見ることができる。「リー」のカバーオールやメキシカンベストなどが代表的なアイテムであり、アメカジ好き必見の作品だ。

70sのヒッピーを軸に現代的なエッセンスを注入

「70sのヒッピースタイルを愛する主人公が覆面捜査官という職業柄、様々な装いを見せてくれる、服好きには堪らない作品です。劇中でのアルパチーノの休日服と、変装のための装いをミックスしました。フレアシルエットのパンツやバンドカラーシャツがポイントです。トラッドというよりは、“ヴィンテージカジュアル”といったイメージですね。正統派のヒッピーなら足元は『サボ』が定番ですが、『ビルケンシュトック』も良いのではないかと。現代においてもかなり新鮮なスタイルなのではないでしょうか」

カバーオール27万5000円、パンツ5500円/ともにリー、ベスト4万9500円/トルフィリオス、プルオーバーシャツ8800円、ハット5500円/ともにヴィンテージ、サンダル2万5300円/ビルケンシュトック

【STYLE 06】 『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロ

1976年公開。ロバート・デ・ニーロ演じる孤独なタクシードライバー、トラヴィスがニューヨークを舞台に都会の闇と人間関係に苛まれ、次第に過激な行動へと向かっていく模様を描いたサスペンスドラマ。監督はマーティン・スコセッシ。物語の冒頭で着用しているタンカースジャケットや後半から登場する[M-65]ジャケット、ウエスタンブーツなどが代表的なアイテム。主人公の心情が彼自身の見た目にも反映されるのもポイント。

ストレートデニム×ウエスタンブーツが装いの肝

「有名な[M-65]ではなく、タンカースジャケットのシーンを選びました。ポイントはストレートシルエットのデニムにウエスタンブーツという合わせ。ウエスタンブーツには、一般的にはブーツカットを合わせるのが定石だと思われがちですが、膝下ストレートのパンツにもバッチリとハマります。ちなみにロバート・デニーロはバックルの大きなベルトを付けていますが、私はジャストサイズのデニムにはノーベルトを推します。また、トップスをややオーバーサイズにすることで現代的にアップデートしました」

タンカースジャケット17万6000円、ウエスタンブーツ1万9800円/ともにヴィンテージ、シャツ6600円/リーバイス、ジーンズ2万9700円/リー

【STYLE 07】『北北西に進路を取れ』のケーリー・グラント

1959年公開。スパイに間違われたケーリー・グラント演じる広告マン、ロジャーが、国際的な陰謀に巻き込まれながらアメリカ各地を逃亡するサスペンス。逃亡しながらも真実を追う主人公の心の葛藤や恋模様が巧みに描かれる。とにかく逃げ続けるという内容であるため、主人公の装いは基本的にグレースーツのみだが、スーツと同色のグレーのサテンタイを合わせたVゾーンなど、ドレススタイルならではのエレガントさが感じられる。

スポーティとの距離感を楽しむのがドレススタイルの醍醐味

「ケーリー・グラントが劇中のほとんどのシーンで着用していたライトグレースーツの装いを軸に、少しテイストの“足し引き”を加えました。無地と比べるとややカジュアルなグレンプレイドのスーツを選びつつ、劇中にはないチーフや、よりドレッシーな『ジョンロブ』のローファーを合わせることで、ドレッシーとスポーティの間における着地点を微妙にずらしています。エレガントだけど、どこか抜け感がある。そんなスーツスタイルを目指しました。シャツが実はボタンダウンだという点もポイントです」

スーツ11万0000円/オラツィオ ルチアーノ、ボタンダウンシャツ4400円/ローレン ラルフローレン、タイ8800円/ラルフローレン パープルレーベル、チーフ1100円/ノーブランド、シューズ7万7000円/ジョンロブ

【問い合わせ】
サファリ3号店
TEL03-6808-9787

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