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【大阪国際女子マラソン】福士加代子氏、現役時代の松田瑞生対策明かす「戦略として遠ざけていた」

SPAIA

福士加代子氏,Ⓒカンテレ

2020年は松田瑞生の気迫に押されて途中棄権

第43回大阪国際女子マラソンが28日に開催される(同日正午~カンテレ・フジテレビ系全国ネットで生中継)。

パリ五輪マラソン日本代表の最後の1枠を争う“マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ”の1つで、五輪出場権を獲得するには2時間21分41秒の設定記録を突破した上で、3月に開催される名古屋ウィメンズマラソンを含めた日本人最高タイムとなる必要がある。

国内外からトップ選手が多数出場予定。解説を務める福士加代子氏(モスクワ世界選手権銅メダリスト)が見どころを語った。

「今年は何が起きるんでしょう!パリ五輪代表“最後の一枠”をかけたレースになるので、松田瑞生選手(ダイハツ)、前田穂南選手(天満屋)、佐藤早也伽選手(積水化学)ら有力選手のせめぎ合いが見たいです。いろいろな戦法がある中でどんな戦い方をするのか、最後まで目が離せないです!」と胸を膨らませた。

「今年はすごく対照的なメンバーがそろっています」と切り出した福士氏は「まずは現役時代一緒に走った松田選手。当時は、自分の気を全部持っていかれて乗っ取られそうだったので、あまり近づかないようにしていました(笑)。話しかけられてもあまり会話を盛り上げなかったり、そもそも話しかけられない位置にいたり、戦略として彼女を遠ざけていました(笑)」と打ち明ける。

「松田選手は仕上げてきているのが目に見えて分かるので、下手なレースは絶対にしません。レース終盤まで一緒に残っていると嫌でしたし、逆に序盤は前にいなくても中盤から恐ろしいほど上がってくるので、ずっと気は抜けなかったです。東京五輪の出場権がかかった2020年大会では、松田選手が前に出てきた時に“ここは彼女に譲って私は3月の名古屋に切り替えよう”と途中棄権しました。それほど、上がってきたら落ちることが想像できない勢いのある選手です」と絶賛した。

選手としての強さを聞くと「目に見える圧倒的な練習量と、見えないところでの体幹トレーニングが、あの安定感につながっていると思います。パリ五輪代表を目標に掲げたら、そこに向かってブレずに突き進み、成し遂げるまで諦めないメンタルも彼女の強さです」と評価した。

さらに「周りへの感謝の気持ちが人一倍強い選手でもあります。それも含めて自分のパワーにしてしまうので、集中して全てを発揮できた時の彼女の強さがどんなものになるのか、すごく楽しみです!怪我をしていたので体の調子がどうなっているかは心配ですが、結婚してノリノリですし、過去には2時間19分台に近いレースもありましたし、“大阪で五輪を決める”気持ちが誰よりも強いと思うので、ゴールした時に感情を爆発させる姿を見られたらうれしいです」と期待を寄せた。

転倒した翌年は何度も試走して最後は神頼み

続いて名前が挙がったのは佐藤。「佐藤選手はすごくスピードがあります。勝負した時の強さは去年のクイーンズ駅伝で見られたので、終盤まで前にいられたら最後の勝負は強いんじゃないかと思います。自己記録の更新に挑む選手の方が、意外とうまくいくかもしれません。計り知れないものがあるので楽しみです!」と話した。

また、佐藤が転倒して途中棄権した2023年大会を振り返り「今年は転倒しないことを祈っています。集団走りを怖がらなければいいんですけど…」とポツリ。

「私も2019年大会で転倒して、翌年そこを走る時は異常な緊張感を持って挑んだことを覚えています。その場所が気になってしまって、イメージを消すように、恐怖心を拭うように、何回も何回も試走しました。大会直前の夜中にも1人で見に行って、できることはやり尽くしたので、近くにあった神社でお参りをして。せっかく邪気を払おうとしたのに、私が行ったタイミングでカラスがいて、何か不吉な予感が…。お祈りしておきながら“もういい加減にしてくれよ!”って思っていました(笑)。佐藤選手もぜひ神社でお祓いをしてほしいです」と助言した。

福士氏は前田にも注目しており、「2019年のMGCで東京五輪を決めた走りを思い返すと、前田選手にはまだまだ伸びしろしかないと思います。天満屋の超有名な武冨監督が仕上げてくるので、すごく楽しみです。天満屋からは、松下菜摘選手や大東優奈選手も出場するので、チームとしてどういう状態で来るのかも期待しています」と話した。

続けて、昨年のMGCを振り返り「前田選手の走りはあんな状態ではないはずなので、不本意だったと思います。前半で使い切っちゃって波に乗れず、雨で滑って空回りしているようにも見えたので、今回は良い天気のもとで面白い走りを期待したいです。MGCまでの練習の蓄積と、そこからの修正が楽しみです!」と前向きに語った。

また「松田選手との一騎打ちを見てみたいです!松田選手の方が強気なイメージがあるので、勝負するとなった時に前田選手がどういう戦法で挑むのか。最後の最後までデッドヒートを繰り広げてほしいです!」と、大阪薫英女学院高の先輩・後輩関係にあたる2人の直接対決を熱望した。

外国人選手についていけるかがカギ

ペースメーカーについては「しっかりレースを進めてくれる新谷仁美選手(積水化学)がいるので安心です。選手は、ペースメーカーが外れる30km地点までに自分のリズムさえつかめば、何も考えずについていって大丈夫だと思います」と話し「今回は設定タイムを目指すだけなので、意外とシンプルに“早く走ればいい”っていう気持ちでいられると思います。一発勝負になるので勝負に徹して、ここでやるだけやるくらいの覚悟を持って、とにかく守りに入らずに攻めればいいです」と選手を激励した。

また「海外から2時間18分台の選手も来ています。外国人選手はガツガツしていないのに、私たちが疲れてきた30km付近からようやく勝負を始める感じで、一緒に走ると並々ならぬ強さを肌身で感じられます。どういう呼吸やリズムなのか、それさえも全部自分の経験値に変えるくらい、そしてこれを世界選手権だと思うくらいの気持ちで挑んでほしいです」と力を込めた。

さらに「外国人選手が前に出た時に、すぐに反応してついていけるかが1つの目安になりそうです。日本人だけの集団になってしまうとペースが落ちてしまうかもしれないので、迷いは一切なくして思い切りついていった方がいいと思います。そこでついていけるか次第で勝負が決まる可能性があるので、自重せずにつけるだけついて!縄でつながってるくらいの勢いで、どんどん前に出てほしいです。日本人選手と外国人選手が勝負するレースを見られたらいいですね」と笑顔を見せた。

最後に、大会当日に務める解説について「去年は渋井(陽子)ちゃんにずっと話しかけて怒られましたが、今年はめげずに会話を続けていきたいです(笑)。去年よりも自由に喋って、ぶっこんでいけたらいいなと思いま す!」とやる気満々に意気込んだ。

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記事:SPAIA編集部

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