【黒ミサレポート】「死に損ないが帰ってきたぜ!老害になって帰ってきたぜ!」聖飢魔II、氣志團万博大トリに御光臨!<サントリー オールフリーpresents 氣志團万博2025 関東爆音パビリオン powered by Epson>
11月15日・16日、千葉・幕張メッセにてロックバンド・氣志團が主催する音楽フェス「サントリー オールフリーpresents 氣志團万博2025 関東爆音パビリオン powered by Epson」が開催されている。
【写真】氣志團万博大トリに降臨した聖飢魔II(全8枚)
1日目となる15日の大トリに聖飢魔IIが降臨。氣志團万博の1日目を締めくくるにふさわしい、圧倒的な歌唱と演奏で、幕張メッセを完全制圧する黒ミサを執り行った。本記事では、その一部始終をレポートする。
不穏なSEが流れ出すと、場内の空気が一気に張りつめる。暗転したステージに閃光が走り、荘厳なイントロと共に構成員たちが姿を現した瞬間、会場は大きなどよめきと悲鳴にも似た歓声に包まれる。黒衣とメイクに身を包んだ聖飢魔IIが壇上にそろうと、そこはもう幕張ではなく地獄の祭壇。開経のごとく放たれたのは『創世紀』。印象的なギターリフが鳴り響いた瞬間、客席の拳が一斉に突き上がり、サビでは大合唱とヘドバンが渦巻く、とんでもない熱狂で黒ミサは幕を開けた。
続く『Fire After Fire』では、デーモン閣下(Vo)の圧倒的な声量が全てを飲み込む。美しく、そして鋼のように強靭な高音ロングトーンが場内の隅々まで突き刺さり、その一声一声に合わせて観客の身体が揺れる。会場は「このまま全て焼き尽くされてしまうのでは」と錯覚するほどの熱量に包まれ、曲が終わると、割れんばかりの拍手と歓声が長く続いた。
空気を一転させるように披露されたのは『老害ロック』。タイトルからして刺激的なこの楽曲で、黒ミサは一気に説教タイムへ突入する。デーモン閣下が「去年の氣志團万博の様子を見ていた。若い連中のマイクの持ち方がなってない…」と、独特の間合いで語り始めると、客席からはクスクスと笑いが漏れる。すると構成員から「おいそこの老害!話が長い!」と一喝が飛び、場内は大爆笑。強烈な自虐と毒舌を交えながらも、どこかチャーミングなやりとりで観客の心を鷲掴みにし、そのまま曲に雪崩れ込むと、ヘヴィでタフなサウンドに合わせてフロアは再び大熱狂の渦へと飲み込まれていった。
MCでは、デーモン閣下が「死に損ないが帰ってきたぜ!老害になって帰ってきたぜ!」と高らかに宣言。自らを老害と笑い飛ばす余裕と貫禄に、客席からは割れんばかりの歓声と拍手が送られる。続いて重厚なビートと共に始まったのは「Kiss U Dead Or Alive」。鋭く刻まれるリズムと、ギターの攻撃的なフレーズが絡み合い、サビでは観客が一斉に腕を振り上げる。ステージと客席のエネルギーがぶつかり合い、会場の熱気はさらに一段階上がっていった。
その後、ステージは突如としてブラックアウト。音も光も消えた静寂の中、客席からは構成員の名を叫ぶ声だけが響く。張りつめた暗闇を切り開くように、妖しく歌い上げるギターソロがステージ上空を舞い、『アダムの林檎』がスタート。デーモン閣下はステージの左右を縦横無尽に歩き回り、指先から視線の先まで全てを使ってドラマチックな世界観を描き出す。その圧巻の表現力に応えるように、観客もサビでは身体を揺らし、拳を突き上げながら大きな歓声を送った。
黒ミサも終盤戦に差し掛かったところで、会場に突如バースデームードが訪れる。「お前も蝋人形にしてやろうか。お前の誕生日を祝ってやろうか!」とデーモン閣下が不穏かつ楽しげに煽ると、会場にはお馴染みのフレーズに沸く信者たちの歓声が響き渡る。来週11月21日には、構成員・ライデン湯澤殿下(D)の発生日(誕生日)が控えており、そのお祝いとしてステージ上には巨大なケーキが登場。客席からは自然発生的に拍手が巻き起こり、祝福と笑いが入り混じった温かい空気に包まれる。その流れから『蝋人形の館』へとなだれ込むと、イントロが鳴り響いた瞬間、会場のボルテージは最高潮に。サビではお決まりの蝋人形コールが起こり、地鳴りのような大合唱が幕張メッセを揺らした。
黒ミサのクライマックスには、氣志團の團長・綾小路 翔が、聖飢魔II風のメイクと衣装に「イメチェン」した姿でステージに召喚される。悪魔軍団の中に混じっても違和感のない出で立ちで、デーモン閣下との掛け合いや煽りで客席をさらにヒートアップさせていく。その光景は、氣志團万博でしか見られない「悪魔とヤンキー」の夢の共演と言っていいだろう。
ラストを飾ったのは『Jack The Ripper』。切り裂くようなギターと唸るベース、暴れ回るドラム、そしてデーモン閣下の強烈なボーカルが一体となり、会場は阿鼻叫喚の大騒ぎに。サビでは拳がいくつも突き上がり、ヘドバンとジャンプが入り混じるカオスな光景が広がる。最後の一音が鳴り終わると、黒ミサの終焉を惜しむように、拍手と歓声がいつまでも鳴り止まなかった。