なかなか寝ない!子どもの寝かしつけのコツは?良質な睡眠のためにできること【専門家監修】子育ての悩み(10)
お昼寝をしても、していなくても、とにかく夜になかなか寝てくれない…。上手に寝かすコツや注意点が知りたい!という3歳男の子のママからのお悩みです。
宮川三平さん
聖徳大学 教育学部 児童学科 教授
医学博士。日野市立病院副院長などを経て、2006年に聖徳大学へ入職。小児保健学・小児栄養学を主に研究。
幼児期の睡眠は発育に関わる大切な時間
3~5歳までのお子さんに必要な睡眠時間は11時間とされています(出典:Roffwarg HD他1966年)。ですので、翌朝の起床時間が午前7時であれば、逆算して午後8時には就寝するのが望ましいですね。そして午後10時から午前2時の、ヒト成長ホルモンが集中的に分泌される時間帯に「深く」(ノンレム睡眠状態)眠ることが大切です。
ヒト成長ホルモンには、身長や筋肉、各器官の発育・発達を促す働きがあり、お子さまの健やかな成長に役立ちます。これが就寝時間を過ぎても寝付けないと、ヒト成長ホルモンの分泌が期待できないため、発育に支障をきたす可能性があります。さらにホルモン失調による肥満や高血圧など、子どもの生活習慣病を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。寝だめや、遅く寝て遅く起きるといった睡眠時間の帳尻合わせもおすすめできません。
子どもの良質な眠りのために保護者ができること
とはいえ、社会全体が夜型生活化する中でライフスタイルの見直しは容易ではありません。まずはご家族で話し合い、できることから実践していきましょう。
例えば、昼間に太陽光の下、お散歩したりリズム運動をするのもいいですね。太陽光を浴びることで、睡眠の質を左右する「メラトニン」の原料となる「セロトニン」が生成されるからです。また、大豆食品や乳製品、卵などに含まれる「トリプトファン」も「セロトニン」の材料になるので、食事に取り入れましょう。それから入眠しやすい環境を整えるのも大事。入浴の際は40度前後のお湯にゆっくりと漬かる。就寝時間が近づいたら部屋を暗くし、テレビやスマホなどの液晶画面はオフに。夏場の暑い時はエアコンを活用し室温の調整を。
乳幼児期は、脳と体が大きく成長し、発達する重要な時期です。早寝をして良質な睡眠を確保することが何より大切なので、まずは一歩、踏み出してほしいと思います。