【高知家の後継者募集】県外客に大人気!西日本有数のダイビングスポット大月町でダイビング事業を引き継ぐ 高知県・大月町「うみほたる」
容赦なく照りつける夏の日差しの下で、その人は赤銅色の笑顔を見せていた。視線の先に広がる海は、限りなく青く澄み渡り、陽光を反射する波がうねる。
着ているオレンジのTシャツが、海と空の青をバックに映える。
胸に書かれているロゴは「うみほたる」。経営するダイビングサービスの屋号だ。
上野耕作さん(70)。高知県の西端に位置する幡多郡大月町安満地で開業して四半世紀が経つ。
開業する前は、この海で一本釣りの漁師をしていた。
元々、潜水士の免許を所有、釣果が芳しくなくなってきたこともあり、1999年に今の事業を始めた。
漁師をしながら海に潜っていたため、付近の海は庭のようなもの。
海底の地形はすべて頭の中にあり、何処にどんな魚がいるかも手に取るように分かっている。
その知識と経験を生かして、観光客ダイバーの案内を長年続けている。
「海外の海にも潜りに行ったけど、ここがずっと綺麗。すぐに大ファンになりました」
横浜市から来ている女性客(61)が安満地の魅力を語る。
訪れる人の多くはリピーターで、98%は県外観光客だそう。
上野さんが案内する海の魅力に憑りつかれた人々が、全国からやって来る。
事務所棟の横には、観光客用のゲストハウス(定員約10人)も完備。
朝夕の食事つき宿泊プランも提供している。
ピーク時には、一日10人以上を案内していたこともあったそうだが、最近は年齢的にきつくなり、「かなりお断りしている」状況。
「もうそろそろ潮時」と廃業を考え始めたのだが、「せっかく美しい海があり、多くのお客さんが喜んでくれている。誰かに今の事業を引継いでもらいたい」として、全国をターゲットに継業者を募集することにしたという。
現在使用している事務所棟(約60㎡)と内部の備品類、10年ほど前に新築したゲストハウス(65㎡)と内部の備品類などを格安で譲渡するという。
土地は漁協からの賃貸なので、この地区に住み、漁協に所属する必要がある。
継業には潜水士の免許やダイビングのインストラクターの資格は必要で、使用する船は自分で用意しなければならないものの、この事業に興味のある人にとっては魅力的な条件だ。
「この美しい海の良さを、真面目に安全にお客さんに伝えてくれる人に引き継いでもらいたいんです」
やや強くなってきた午後の海風を受けながら、漁港の外海に目を向けた。
国外のダイビングスポットにも負けない海景を有し、多くのダイバーを魅了している安満地の海。
上野さんが創り上げてきた海の財産を、未来につなげてくれる海の有志が求められている。
店舗情報
ダイビングサービスうみほたる
高知県幡多郡大月町安満地460-3
経営は上手く行っているのに、後継者がいないために廃業せざるを得ない――そんな悩みを持つ企業が全国的に激増し、大きな社会問題になっている。
高齢化先進県である高知県は全国に輪をかけて、事業承継の課題が山積している。「県内での事業承継を少しでも増やしたい」。
このコーナーは、事業を譲りたい人と受け継ぎたい人を繋ぐ連載です。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
電話:088-802-6002
メール:kochi-center@kochi-hikitsugi.go.jp
担当:谷、野本