<介護で……裏切り?>母の最期の願い「仕事を辞めてそばにいてほしい」叶えたのに?【まんが】
私(ユカ、50代)は夫と2人の子どもたちと暮らしています。数年前、近所に住むひとり暮らしの母が入院。それ以降、日常生活に手助けが必要な状態になりました。当時すでに子どもたちは中高生で、あまり手がかからなくなっていました。弱気になった母にすがられ、私はフルタイムの仕事を辞めて面倒をみはじめたのです。私は3人きょうだいで、姉(サユリ)と弟(キミヤ)は遠方に住んでいます。数年前、母の退院が決まって連絡したときのこと……。
退院する母に私は、今後どうしたいかをたずねました。母の願いは「思い出が詰まった自宅にできるだけいたい」というものでした。そして私には「仕事を辞めてそばにいてほしい」と……。遺産を多めに残すからと懇願され、私は夫に相談しました。
姉と弟に報告したところ、感謝どころか逆にバカにされてしまいます。憤った私は、こうなったら徹底的に母に寄り添おうと決めたのです。私は実家で母とともにたくさんの時間を過ごしました。 しかしあれから数年、母が亡くなると……。
「遺産はきょうだい3人で等分してください」母が遺したその言葉に、私は愕然としてしまったのでした。何もしていない姉や弟が、尽くした私と同じだけの遺産を手にするなんてありえません。母だって私に世話になるたび、口ぐせのように「ユカには多めに遺産を残すからね」と言っていたのに……。 母に強くお願いされ、仕事まで手放して寄り添った私はなんだったのでしょうか。もっともこれまでのきょうだいとの関係性を考えると、遺産をどう分けようがいずれは疎遠になりそうです。姉や弟との仲がこじれるのを覚悟して、介護をした私が多めにもらいたいと主張してもいいのかなと思っています。
遺産は平等に!?亡き母がついていた「残酷な嘘」虚しい悔しい
母はことあるごとに、私に「多めに残すからね」と言っていました。しかし本心ではそのつもりはなかったのです。手紙からは「ユカなら許してくれるだろう」という思いが伝わります。なんだか軽んじられていた気がしてショックです。
夫も病院への送迎や連絡、さまざまな手続きなどで協力してくれました。そんな夫にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。謝ることしかできません。遺言書は姉や弟もすでに見ていて2人ともすっかり母の言うとおりに遺産をもらう気でいます。
私はこの数年間、仕事を辞めてまで母に寄り添ってきたのです。姉や弟が遠くにいて何もしないから、「できるだけ自宅にいたい」という母の願いを叶えてあげられるのは私だけだったのです。 しかし葬儀にやってきた姉と弟からはねぎらいの言葉も、感謝を示されることもありませんでした。そのことがよけいに私を虚しくさせます。お金が欲しいわけではありませんが、やはり見返りはあってもいいのではないでしょうか。 私が遺産について主張すれば、きょうだいで揉めてしまうかもしれません。でも今でも姉や弟とはほぼ交流もないし、切れてしまうならそれまでの縁だと思いました。
介護したのに非難?「仕事を辞めたのはアナタの意思」姉の意見
姉に電話をしてみると……。
シングルで子どもを育てて経済的に苦労している姉は、遺産をもらえる権利があるなら一銭でも手放したくないのでしょう。私の納得できない気持ちを感じ取ると、姉は「母は孫たちに平等にしてあげたいはず」という論理を持ち出してきました。
たしかに母が元気な頃、私はよく子育てを助けてもらいました。遠方の姉や弟のところには、そこまでの手伝いはしてあげられなかったはずです。「子育てを手伝ってやったのだから、ユカが私を介護するのは当然」という認識だったのでしょう。
どうやら姉は、私が母の面倒をみたことを「やりたくてやった」という話で済ませたいようです。おそらく弟も同じでしょう。確かに数年前、母の手助けが必要になったときには2人とも「介護は大変だから施設に入れた方がいい」と言っていた記憶があります。 母から私への「遺産を多く渡すから」は、しょせんお世話を続けてもらうためのその場しのぎの言葉だった……。姉との会話にいっそうのショックを受け、私は電話を切りました。 そして母がなぜ私を頼りにしてきたのか、その理由がわかったような気がしました。「こちらが世話してやったのだから、介護してもらって当然」という認識だったのでしょう。母の本音を知ってしまい、かえって気持ちが沈む羽目となってしまいました。亡くなった母はどこまで私を傷つけるのでしょうか。
恨みつづけるってしんどい!私が仕事を辞めてまで介護した理由
トクイさんに話をしながら、私は必死で介護をしたのに何も報われなかったという思いを強くしていました。でも義母の介護を経験したトクイさんは「自分のことを誇れる生き方を選んだ、と思うようにした」と語ってくれたのです。
そう、大切な母だったからこそ、残された時間に精一杯寄り添うことを決めたのです。人を恨みつづけるのは本当にしんどいです。母のためにも自分のためにも十分やりきったのだから、もう恨みや後悔の気持ちは手放そうと思います。
きょうだいで遺産をキッチリ3等分してからは、姉と弟から一切連絡がありません。今はそこまでの関係だったのだと割り切っています。嘘をつき続けた母の気持ちは今となってはわかりません。けれどもし私に「すがりたい」とか「見捨てられたくない」という気持ちがあったのなら、私は母に必要とされていたのかなと思います。 裏切られたショックはまだ消えませんが、確かに母は手助けが必要な状態だったし、やるだけのことはやったと良い方向に考えたいと思います。悪い気持ちに囚われず、母と過ごした幸せな時間を忘れないように、しっかり心に刻んでおくつもりです。