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「ノリで笑いは取れない」人気コメディ作品に挑む!青春の会『大洗にも星はふるなり』稽古場レポート

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ゴツプロ!Presents 青春の会 第六回公演『大洗にも星はふるなり』

2024年8月28日(水)より下北沢・「劇」小劇場にて、ゴツプロ!Presents 青春の会 第六回公演『大洗にも星はふるなり』が上演。東京公演のほか、9月14日(土)・15日(日)扇町ミュージアムキューブCUBE 01にて大阪公演も予定されている。

本作は、青春の会の佐藤正和も所属するブラボーカンパニーにて、福田雄一の作・演出で2006年に初演、2009年、2019年に再演され、2009年には福田の脚本・監督で映画化された同劇団の人気コメディ作品。今回の公演では、小松台東の松本哲也が演出を担当する。
舞台はクリスマス・イブの茨城県大洗海岸。夏の間のバイト仲間だった男たちが、憧れのマドンナからの手紙によって真冬の海の家に集められ……マドンナを巡る妄想合戦がスタートする。

海の家のマスター役を井上賢嗣(青春の会)、海の家の撤去を求める弁護士・関口役を佐藤正和(青春の会)が務め、オーディションで決定した葉山昴、牛窪航平、杉田大祐、和田慶史朗、笹田怜の5人が、バイト仲間の杉本、仁科、猫田、松山、林をそれぞれ演じる。

稽古10分前に開始されたのは、毎回やっているという体幹トレーニングのプランク。20代から50代の男性キャストばかりが集まる稽古場は、体育会系の雰囲気もありつつ和気あいあいとしていた。
上手奥の平台には扇風機やござタイプの座布団、壁には若干懐かしい雰囲気のある瓶ビールのポスターが貼られ、中央のテーブルの上にラジカセが置かれている。

自分こそがマドンナに愛されていると思う理由を男たちが順に主張する中盤のシーンから稽古が始まった。弁護士の関口(佐藤正和)が法廷にでもいるような雰囲気で松山(和田慶史朗)に質問し、松山は得意げに馴れ初めを説明する。聞き入るマスター(井上賢嗣)、杉本(葉山昴)、仁科(牛窪航平)、猫田(杉田大祐)4人の表情には、驚きに加えて次第に悔しさと焦りが入り交じる。
マドンナが松山を誘った理由は他にあると関口が分析すると一転、ナルシストの杉本が鬼の首を取ったように茶々を入れる。葉山扮する杉本は、怒るときも悔しがるときも全身で感情を表現し、ナルシストを通り越してクレイジー。

続いて「僕で決まりじゃないですか?」と言い出した仁科が、二人で温泉に行ったとテンション高く告白。しかし、関口が刑事のような鋭さで話の矛盾を指摘する。そして、それまで椅子に座って口数の少なかった猫田の「メールにハートの絵文字入ってたことある!」という発言をきっかけに、どんぐりの背比べのような言い争いが展開される。
演出の松本は、ときに同じシーンを何度も繰り返してタイミングを微調整し、気持ちがどこに乗っているか、意識がどこに向いているかを細かく確認しながら演出をつけていく。なかなかうまくいかずに謝るキャストには、松本が穏やかに「申し訳なくない、それが稽古だから」と言って雰囲気を和ませる。キャストたちも積極的に松本へ質問していた。

稽古後半には、なぜがずっと外で待っていたという林(笹田伶)が海の家に現れる。聞けば読み合わせ以来、立ち稽古は初めてのシーンだったというが、天然キャラの林が次第に壮大な妄想を膨らませていく様子を、笹田が体当たりで表現していた。男たちの争いは解決へ向かっているように見えたが、林の登場によって物語は思わぬ方向へ動き出す。

とにかく前向きな空気感のある稽古場だった。経験豊富な葉山を中心に牛窪、和田、笹田らが勢いをみせ、今回が初舞台という杉田もそれに喰らいついていく。ベテランの佐藤と井上もフルスロットルで臨み、松本が手綱を引いてそれぞれのキャラクターの個性を引き出す。休憩中も各々がセリフや動きを合わせたり、意見を交わしたりと、カンパニー全体がトライ&エラーを繰り返して作品と向き合っていた。
松本が「120%のコメディ作品」という本作は、台本のそこかしこに笑いが散りばめられている。ブラボーカンパニー版を観たことがある方も初めての方も、個性的な男たちの底知れぬ妄想合戦に腹を抱えることだろう。

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