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40周年を迎えた新潟市南区の老舗うどん店「手打ちうどん どん兵衛」。

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40周年を迎えた新潟市南区の老舗うどん店「手打ちうどん どん兵衛」。

新潟市南区、国道8号線沿いに佇む看板のないうどん店が、今回ご紹介する「手打ちうどん どん兵衛」です。シャキッとしたコシの強い麺と天ぷらの相性が絶妙な「天ざるうどん」と、ふんわりした麺に熱々の豚汁がよく絡む「豚汁釜うどん」をいただきながら、店主の高野さんに、手打ちうどんへのこだわりについて聞いてきました。

手打ちうどん どん兵衛

高野 和男 Kazuo Takano

1949年長岡市生まれ。東京の大手製菓会社で働いた後、兄と共に経営した牛乳店、自身で経営したラーメン店を経て新潟へ帰郷。長岡のうどん店で修業し、1985年より新潟市南区で「手打ちうどん どん兵衛」を開業する。スポーツや絵画など趣味は広く、なかでもカラオケは7時間も歌い続けるほどハマっている。

大手企業のサラリーマンから、うどん職人として開業するまで。

——こちらのお店はいつから続いているんでしょうか?

高野さん:1985年に開業したから、もう40年続いているんだよ。

——それはすごいですね。高野さんは、最初から料理の仕事をされていたんですか?

高野さん:最初は東京にある大手製菓会社に勤めていたんだけど、やりたかった機械のメンテナンスじゃなくて製造の仕事にまわされたんだよ。でもやっぱり自分のやりたい仕事をやりたいから、サラリーマンには向いていないなと思って、会社を辞めて親戚の牛乳店を手伝っていたんだ。

——それって、あのガムで有名な会社ですよね。すごい大手なのにもったいないような……。

高野さん:でもそのおかげで、自分が生涯続けてきた「うどん職人」の仕事に巡り会えたと思ってるんだよ。

——その「うどん職人」の道へは、どうして進むことになったんですか?

高野さん:じつは27歳のときに埼玉でラーメン屋をはじめたの。まだ若かったから、お客さんはみんなアルバイト店員と勘違いしてたね(笑)。それでお金を貯めたので、長岡に帰ってうどん屋をやろうと考えたんだよ。

——はじめたのがラーメン、というのは……?

高野さん:誰もがとっつきやすい食べものだし、私も好きだからね。

——それなのに、長岡ではうどんを。

高野さん:うどんも好きだったんだよ(笑)。粉からつくる手打ちうどんに挑戦してみたかったのもあったし。それで長岡の手打ちうどん店で1年間修業したんだ。「給料いらないから勉強させてください」って言って。

——本当に無給で修業したんですか?

高野さん:師匠が「さすがにそれはマズい」って言うから、気持ちだけもらっていたけどね(笑)

——修業はキツかったんじゃないですか?

高野さん:師匠はとても気難しい人だったので、従業員がすぐ辞めちゃうんだよ。周りの人たちも私がいつまで続くか賭けていたくらい(笑)。でも私は公私共に仲良くさせてもらってたんだ。無趣味な師匠にスキーやバイクを教えて「うどんではあなたの弟子だけど、スキーやバイクでは私が師匠ですからね」なんて言ってたよ(笑)

——師匠に可愛がられたのは、高野さんの人柄もあったんでしょうね。

高野さん:そんなことはないよ。でも、辞めるときは大変だったな。なんだかんだ引き止められちゃって(笑)。最後は暖簾分けを提案されたけど、自分の好きなように経営したかったから断ったんだ。それでもなんとか円満に退職することができて「手打ちうどん どん兵衛」を開業したってわけ。

手打ちうどん専門店としての、麺や出汁つゆへのこだわり。

——讃岐うどんの店って、今でこそたくさんありますけど、開店当時の新潟ではあまり馴染みがなかったんじゃないですか?

高野さん:そうそう。うどんを出す店はあっても、専門店はほとんどない時代だからね。食堂でラーメンやそば、丼物と一緒に出されてたくらいで……。でも、最初から讃岐うどんひと筋でやっていこうと思っていたんだよ。最初は丼物を一切やってなかったんだから。

——そうだったんですね。

高野さん:丼物はお客さんからの要望があまりに多かったから、少しずつやるようになっていったの。そのうちうどんと丼物のセットメニューが人気になり過ぎて、やめられなくなっちゃったんだよ(笑)

——セットメニューはお得感がありますもんね。では、うどんのこだわりについて教えてください。

高野さん:粉をはじめとした素材にはこだわっているかな。どれだけ腕が良くたって、素材が悪かったら美味しくつくれないもん。だから素材を見極める目は大事だね。

——麺をつくる際に気をつけていることはあるんでしょうか?

高野さん:生地をしっかり熟成させることかな。季節によって加水量も変わってくるから気をつけているね。ただ、生地で失敗したとしても麺打ちでカバーできるし、最終的には茹で方でカバーすることができるんだよ。だから茹でる作業は経験や勘が必要だし、いちばん大事なんだ。

——へぇ〜、そういうものなんですね。出汁つゆについても、こだわりがあるんじゃないですか?

高野さん:洋食でいうところのデミグラスソースと同じだからね。かえし醤油は甕に入れて1年以上熟成させてから使っているよ。そうすることで角が取れたまろやかな味になるし、醤油臭さもなくなるんだ。昆布や煮干しで出汁を取るんだけど、同じ産地の同じ種類を使っているのに味が違うことがよくあるの。だから分量をきちんと量るだけではなく、自分で味見して微調整しているんだよ。

健康に気をつけながら、長く営業を続けていきたい。

——こちらのお店は、どんなお客さんが多いんですか?

高野さん:やっぱり常連さんが多いね。だって看板も出してないんだから(笑)。でも家族連れや年配の夫婦、若いカップルも来るよ。昔は週末の夜になると、カップルがやたらと多かったんだよね。でも昔に比べてお客さんの数も減ったから、最近は月曜を定休日にすることにしたんだ。

——えっ、今までは定休日がなかったんですか?

高野さん:特別な用事がない限りは営業してたよ。特に盆や正月は休まなかったし、大晦日なんて朝まで夜通し営業してたからね。商売って甘いもんじゃないんだよ。だから息子たちには継がせたくないの(笑)

——ほとんど休まないで40年近く営業してきたとは……。

高野さん:健康を維持するためにも身体を休めようと思って、定休日を設けることにしたんだよ。いくら美味しいうどんをつくりたくても、健康じゃなければそれもできないからね。お客さんからも「長く続けてほしい」と言われるから、健康には気をつけながら長く続けていきたいと思っているんだ。

手打ちうどん どん兵衛

新潟市南区高井東1-1-21

025-362-6651

11:00-14:30/18:00-21:30

月曜他不定休

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