恋の陶酔『DREAMS』、愛の考察『LOVE』、性の再考『SEX』ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の3作品を一挙公開「オスロ、3つの愛の風景」
「第75回ベルリン国際映画祭」にて、ノルウェー映画で初めて最高賞【金熊賞】を受賞したダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の『DREAMS』が、トリロジーとして制作された『LOVE』『SEX』と共に、特集上映「オスロ、3つの愛の風景」として、9月5日(金)より3作品を一挙公開する。このたび、『DREAMS』『LOVE』『SEX』の各ポスタービジュアルが解禁となった。
「恋」「愛」「性」という答えのない永遠の問いを探求する
金熊賞を受賞し、世界的監督の仲間入りを果たした北欧の名手ダーグ・ヨハン・ハウゲルード。作品に共通するのは、自らの心の奥底にある欲望に気づいた人々が繰り広げる、ウィットに富んだ会話の数々。
『DREAMS』のコピーは<恋の陶酔。>女性教師に初めての恋をする主人公ヨハンネが思いにふける表情が印象的。恋をしたヨハンネは相手の一挙手一投足に様々な思いを巡らせ、まさに陶酔状態に陥る。そんな彼女が書いた初恋の手記をめぐり、母や祖母を巻き込みながら物語が展開される。
女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないようにと自らの体験を手記にする。その後、この気持ちを誰かに共有するため詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。 ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は経験したことのある相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬などあまりにも無垢な初恋。そしてその気持ちを秘密にしておきたい、でも誰かに共有したいという矛盾した思いが、祖母や母を巻き込み、ヨハンネの手から離れた手記の行方が、モノローグで綴られる。娘の手記を見て、詩人の祖母は自らの女性としての戦いの歴史を思い出し、母は”同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称し、現代的な価値観にあてはめようとする。3世代で異なる価値観を持つ3人が初恋手記を通して辿る運命は—。
『LOVE』のコピーは<愛の考察。>女性医師のマリアンヌと男性看護師のトールが、それぞれ向かい合う相手に優しい眼差しを向けている2つの場面が捉えられている。ステレオタイプな恋愛を避け、どこかドライな恋愛関係を続けていた2人だったが、ひょんなことから様々な出会いと会話を通じて自分にとってしっくりくる愛し方を探していく。
泌尿器科に勤める医師のマリアンヌと看護師のトール。共に独身でありステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌはある晩、友人から紹介された男性と対面するが、子どもがいる彼との恋愛に前向きになれない。その後乗ったフェリーで偶然トールに遭遇すると、彼はマッチングアプリなどから始まるカジュアルな恋愛の親密性を語り、マリアンヌに勧める。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の方法の可能性を探る。一方トールはフェリーで知り合った精神科医のビョルンを偶然勤務先の病院で見かけー。 色んな手段で出会うことが簡単になった現代の恋愛観がリアルに映し出されており、主人公達は劇中に度々登場するフェリーのように本能と理性をゆっくり行き来しながら、”親密さ”を模索する。恋愛に不器用な大人たちが、静かな本音をさらけ出しながら、あらゆる“愛”を肯定し模索する、3作で最も今を映し出した1作。
『SEX』のコピーは<性の再考。>ヨーロッパでは幸福の象徴といわれている煙突そうじ人が主人公。妻子がいる男性2人が、一人は見知らぬ男性との衝動的なセックス、もう一人はデヴィッド・ボウイに女として意識される夢をみるという、奇妙な体験をしたことで自らの“男らしさ”を疑うようになり、「自分は何者なのか」を再考する異色のコメディ作だ。
煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との思いもよらない一度きりのセックスを通じて新しい刺激を覚えるが、悪びれることなく妻にこの体験を話してしまったことで夫婦間にひずみが生じてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他人の視線によってどう形成されていているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は、衝撃的な出来事がきっかけで自らの“男らしさ”を見つめ直すようになる。 当たり前だと思っていた、自らの性を疑うきっかけとなる出来事を語る会話のなかには「どこからが浮気か」「夢は現実世界にどんな影響を与えるのか」といった誰もが一度は考えたことのある普遍的なテーマが散りばめられている。また“セックス”や“セクシュアリティ”といったデリケートな話題を出しながらも、飄々とした語り口調で会話し続ける登場人物たちはどこか滑稽でオフビートな空気を纏う。3作で最もコメディタッチな異色作。
「オスロ、3つの愛の風景」は9月5日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー